3回目の鹿児島マラソン。 過去の2回は鹿児島の粗い路面に悩まされてきましたが、もちろん路面の状況は変わることはありません。今年はそれに加えての裸足練習不足。2月の愛媛マラソンに集中していたのもあり、2週間前からの突貫工事でした。
そんな練習で乗り切れるほど裸足ランニングは甘くないとは分かってはいるものの、鹿児島マラソンは裸足で走る以外の選択肢はありません。そうなるとやれることをやるだけ。だから前夜祭を満喫したわけです(やれることは、楽しむことだけという判断……)。
鹿児島マラソンは前夜祭が本番
前夜祭で振る舞ってもらった焼酎は7杯。その後に食事に行ってビールを1杯。さらにゲストハウスに戻り、日本縦断しながらこのタイミングで鹿児島にやってきてしまったことを後悔していたスイス人を交えて、また1杯。もう走らなくてもいいのではないかと思いましたが、朝にはきちんと目覚めるもの。
鹿児島マラソンは前夜祭が本番みたいなところがあるから仕方ありません。ただ、この前夜祭も鹿児島マラソン2019で終了となっています。少し残念ですがさすがにこんなに焼酎を出し続けるのは無理があります。これで真剣に走れると喜んでいる人もいるはず。
もっとも振る舞い酒があるからマラソンを真剣に走れない人は、きっと振る舞い酒がなくても酔い潰れることになるんでしょう。ただ不思議なもので、私は普段はまったく芋焼酎を飲まないのに、悪酔いしたりはしないんですよね。だから飲みすぎてしまうんですが。
鹿児島マラソン2019は桜島が号砲
前日の雨の影響で路面は冷たく濡れているものの、雨は止んでおり絶好の裸足日和でした。ゲストハウスからスタート地点までの数百メートル歩いただけで、足裏がヒリヒリしていましたが。3月の鹿児島とはいえ、太陽が顔を出していなければまだまだ明け方は寒いものです。
スタートブロックはBでしたが、いつも通り最後尾スタートを選びました。裸足で前のブロックにいるのは迷惑でしかありませんし、起きたときから芋の香りが全身から漂っているわけです。普段はビールしか飲まない私が、1年で唯一芋っぽくなる1日。
泣いても笑ってもスタートラインに立ってしまったら、もうあとは走るしかありません。足裏が痛いとか痛くないとかは後から考えればいいと腹を括ってスタートエリアで待機していたら、スタート直前に桜島が噴火。火山の噴火なんてはじめて見ましたが、振る舞い酒に続いての薩摩の粋な演出となりました。
大変だったけどペースは最初から最後までほとんど変わらず
走りは順調だったと思います。「思います」というのはGARMINを持ってくるのを忘れて、ペースを確認をしなかったためです。持っていても使っていなかったかもしれませんが。最近はペースをあまり意識せずに走っています。裸足ランニングのときだけでなくシューズを履いているときも。
1分1秒を削るための緻密な計算をするというタイプではないので、体の声と実際の体力、うまく整合性をとれるようになりたいなと。そもそも鹿児島マラソンのように路面が粗いコースを裸足で走る場合には、ペースをチェックしてもなんの意味もありませんから。
路面が比較的フラットな前半は、そこそこ快調な走りができていたと思います。GARMINでの計測はしていませんが、ランナーズアップデートに5kmごとの記録が記載されていましたので、結果的にどれくらいのペースで走ったのかチェックしておきましょう。
5km | 38:13 |
10km | 33:48 |
15km | 33:00 |
20km | 33:13 |
25km | 32:11 |
30km | 40:25 |
35km | 33:41 |
40km | 34:14 |
こうやって見てみると、最初から最後まで極端にはペースは落ちてないですね。感覚的には後半はけっこうダレてたと思ったのですが。5kmまでと25〜30kmでペースが遅いのは私設エイドに立ち寄ったから。35〜40kmもエイド分の遅延です。
実はエイドが充実している鹿児島マラソン
鹿児島マラソン2019は5km地点手前に鹿児島黒牛の焼き肉エイドがあり、30km手前には大きな私設エイドが並んでいて、もちろんそこに寄り道してしまいました。でも……タイムを来にしているわけではないので、食い意地が張っているランナーとしては食べないなんて選択肢はありません。
走って鹿児島マラソンは体重が増える 大会。そういえば指宿の菜の花マラソンも体重が増えるといった噂をよく耳にします。振る舞い酒といい、鹿児島の人たちはおもてなしの度合いがちょっと飛び抜けています。そこが鹿児島らしさでもあるのですが。
日本列島の端だから、他の地域の影響を受けにくいのかもしれません。鹿児島にはかつての日本人らしさが強く残っているような気がします。もしくは薩摩隼人の気質がDNAとして残っているのかもしれません。いずれにしても鹿児島マラソンは食べ物に困ることはありません。
カメラのレンズが雨に濡れて、食べ物の写真がことごとくダメになっているので、何があったのかお見せできないのが残念ですが、そこは実際に走ってからのお楽しみということで。
鹿児島マラソン名物「ハイタッチ」のおもてなし
鹿児島マラソンの魅力といえば、ボランティアの学生さんたちとのハイタッチ。わたしのような中年のおっさんランナーが合法的に若者とふれあえる数少ない機会を逃すわけにはいきません。それは冗談としてもハイタッチをすると足裏の痛みが軽減されます。
とにかくみんな元気。どんなに足裏が痛くても、痛い顔や頑張っている顔を見せたくなくなるくらいにフレッシュでキラキラしてて。学生時代の貴重な1日をマラソン大会のサポートに使ってくれる。そしてずっと声を出し続けてくれるわけです。
「河童さん、裸足で頑張って!」「河童さん、すげー!」という応援にテンションが上ります。まれに「河童、がんばれ!」と上から目線で呼び捨てにする女学生がいて、「こう見えて人生の先輩なっ」と小一時間説教したくなりましたが、それも含めて楽しいわけです。
でも、鹿児島マラソン2019では学生だけでなく、沿道の声援もいつもよりも密度が濃く、市街地を走っているときにはいくつもの声援をもらえました。これがあるから裸足でも走れるわけです。小さな子が一生懸命に手を伸ばしてハイタッチを求めてくるので、嬉しくなって路面の粗さなんて気にせずに右に左にと大忙し。
いったい、どれだけ余計に走ったことでしょう。必要以上に足を痛めつけてしまいましたが、最後に試練がやってきます。ラスト3kmの地点で、サブ5の可能性があることを知ってしまい、足裏は痛み以外の感覚がないにもかかわらず、最後は5時間以内の完走を目指して全力疾走。
足裏が痛いので、もはや普通の路面を歩くことすら難しい状態。ただ痛み回避のために歩道沿いの白線上を走るから、応援してくれる人たちとの距離が近くなって、よけいに声援をもらえます。そして残り数百メートルで4時間58分30秒。間に合うか間に合わないかのギリギリのライン。
「あの角を曲がれば、あとはゴールに駆け込むだけ」
そう思って最終コーナーを曲がったところで、路面は白線のない鋭利で凶暴なアスファルト。流石に無理でした……そこからの200mは大失速。薄氷を踏むようなスローラン。ゴール前に集まった応援の人たちに、痛いのを悟られないようにするために余裕の表情で「ゴール前のランをゆっくり楽しんでます」雰囲気を作ってみたものの、顔は明らかにひきつっていました。
5時間1分57秒。
最後尾スタートでしたので、ネットタイムは4時間51分37秒で5時間を切っていますし、1年前よりも30分近くタイムを縮めているので、そこそこいい走りができていたようです。何よりも鹿児島マラソンでケガをすることなく帰ってこれましたので、それだけで裸足ランナーとしては合格点です。
かなりくたびれてしまいましたが、これが鹿児島マラソン。決して速いペースでなくても足裏は完全に消耗し、その消耗に見合うだけの満足度があります。いつも走り終えてから数日は「もう鹿児島マラソンは裸足で走らない」なんて思ってしまうのですが、1ヶ月もするとそんなことを忘れて「また走りたい」となってしまいます。
ゴール後に千葉ちゃんと写真を撮れるご褒美
42.195kmを裸足で駆け抜けたわたしに、マラソンの神様からのご褒美が待っていました。「裸足すごいですね、足裏は大丈夫ですか?」と、後ろから話しかけられ、「痛いけど大丈夫ですよ」と答えながら振り向くと、そこには大好きな千葉ちゃんの姿が。
千葉ちゃんは好きすぎて、シャイな私はいつも目を合わせることもできないんですが、完全に不意打ちでした。あの子はきっと天使の生まれ変わりだと思っています。もしくは可愛いの天才か。スタート前は鹿児島マラソンは今年で最後かななんて思っていたのですが、こんないい思いをさせてもらったらやっぱりやめられません。
ちなみに今年の鹿児島マラソンは後夜祭も用意されてました。後夜祭は焼酎1杯&エビの唐揚げが無料で振る舞われたんですが、レース後の大雨によって会場には人が少なく、エビの唐揚げはお代わりし放題。もう、おもてなし感が半端ありません。
鹿児島マラソンに来て前夜祭と後夜祭に出ない人もいるようですが、それでは鹿児島マラソンの楽しさが半減どころか90%くらい不足するのにと思いながら、貴重な1杯をゆっくりといただきました。そして後夜祭の締めには大迫淳英さんの演奏があり、グッとくるものがありました。
今回泊まったゲストハウスもかなり居心地が良かったので、また泊まりに行きたいわけです。田中カレーもまた食べたいし。東京マラソンと同日開催が続くかと思いますが、私はやっぱ鹿児島マラソンだな。まずは抽選に当たらなくてはどうにもなりませんが……抽選に外れても行くのは自由ですから。
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