
最新のランニングウォッチにはコーチング機能が搭載されています。普段のトレーニングから走力や疲労を推定し、トレーニングメニューを提案してくれたり、休養するように警告してくれたりしますが、SNSを見ていると「Garminの提案を無視して……」という投稿をよく見かけます。
Garminというのはランニングウォッチの中でも大手で、日本のランナーの多くが利用しており、コーチング機能がかなり充実しています。パーソナルトレーナーが必要ないくらい、しっかりコーチングしてくれるので、それに従っていれば高確率で自己ベストを更新できます。
ところが、Garminに休養するようにという表示があっても、それを無視する人が少なくありません。ここが日本人らしいところで、個人的には改善すべきところだと感じています。高負荷なトレーニングをすればするほど走力が上がるという思い込み。
実際に走力を上げるには、必ず休養が必要になります。トレーニングと食事と休養はセットであり、すべてのバランスが取れていないとある程度のところで走力は頭打ちします。でも、未だに休養を軽視して、トレーニングを積み重ねる人が後を絶ちません。
これはスポーツ漫画やアニメが影響しています。主人公が常識を外れたトレーニング量で格上のライバルを倒していく描写が多く、「リカバリーのために12時間寝る」なんて描写をすることはありません。むしろ「休む」は悪いこととして描かれます。
でも実際には「休むも練習」なわけです。だからランニングウォッチが「休みましょう」と提案してきたら、「休む」べきであり、ランニングウォッチが提案してきた練習量を超えたトレーニングは避けるべきです。それらを無視するなら、最初からコーチング機能があるランニングウォッチなんて購入しなければいいのにとも思うわけです。

ランニングのログを残すだけなら、1万円台のスマートウォッチで事足ります。1万円台のスマートウォッチなら「休め」とか「今日はこの練習をしましょう」なんて口うるさく言ってくることはありません。でも、そういう人たちはガーミンやポラール、スントがいいわけです。
「高負荷な練習をすればするほど走力が上がる」「ランニングウォッチは専用メーカーのものがいい」。そう信じてまっすぐ突き進む。日本人らしいなと思いつつ、もっと本質を掴む習慣をつければいいのにとも思います。
目指すところは「走力アップ」であり、そのために何をすべきか、何を手に入れるべきかを自分なりに調べ、論理的に考えて、今やるべきことを決めていく。そしてあとは軌道修正しながら実行する。私にとってはこの流れこそがランニングの面白さだったりします。
その面白さを理解してほしいわけではありませんし、誰もがそこに面白さを感じるわけではありません。でも、ランニングくらいのことで無茶してもらいたくないし、苦しむ顔ではなく笑顔を見たい。もちろん私の勝手な想いでしかありませんが。
最近の私のモットーは「仕事もランニングも楽しく笑顔で」です。真剣さが足りないように思えるかもしれませんが、そもそも真剣さなんて必要ありません。大事なのは最大の効果を得ることだけ。そのためには本質として「楽しく笑顔」が必要だと感じているだけのこと。
眉間にシワを寄せて最大の効果を得られるならそうすればいいのですが、苦しさに耐えたところで必ずどこかで破綻します。真剣であることと苦労することはイコールではありません。真剣だから笑顔になる。真剣だからきちんと休む。真剣に取り組みたいならランニングウォッチのアドバイスにも耳を傾けてみてください。
