勇み足:説明不足がトラブルを生む

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一を聞いて十を知るという言葉がありますが、なかなか奥行きのある言葉で、良い意味にも悪い意味にも使えます。たとえば仕事のやり方を説明してもらったときに、基本だけを教わって、すぐに応用できるような人がいます。いわゆる天才タイプの人がこれに当たります。

天才だけあって、なかなかそういう人には出会えません。少なくともわたしが「この人はすごいな」と思うことは、ほぼ皆無です。「この人はできるな(理解力があるな)」と思うことは、1年に1回あるかどうか。そもそも、一を聞いて十を知るというのが、経験値の高い人でないとあり得ません。

一を聞いて、自分の過去の経験やいま置かれている状況、相手が何を伝えたいのかなどを元に瞬時に判断するわけです。それはもう天才でしかできないことで、それを他人に望むなんてことはありません。でも、政治家とか各業界のトッププレイヤーはそうであって欲しいという希望はあります。


困ったことに「一を聞いて十を知る」の悪いほうをしてしまう人に出会うことがあります。少し説明しただけで「わかりました」と言って作業を進めて、間違ったことをしてしまう。これはかなり厄介なタイプになります。賢くはあるわけです。自分で判断できているので。

でも、その判断が間違っているわけです。なぜそんなことになるのかは、私にはわかりません。おそらく形を真似ることは得意なんだと思います。そして、自分はそれなりに仕事ができると思い込んでいる。自分で考えることができるので、周りとは明らかに違うわけです。

受け答えもキビキビしていて、自分の考えをしっかり持っています。ただ、仕事では勇み足をしてしまいます。もしかしたら私も同じことをしているかもしれないと思うとゾッとします。私も仕事ができるつもりになりがちなので、過去にはきっと勇み足があって、周りの人が見えないところでフォローしてくれていたのでしょう。


勇み足をする人と仕事ができない人、どちらのほうが一緒に働きたいか。これは究極の選択になります。仕事ができない人の失敗は想定可能ですが、勇み足をする人の失敗は想定外のところで起きます。理解していると思って作業を依頼するのに実際にはわかっていないので、背後から切られるようなもの。

もちろん対策はあります。まず仕事を依頼する側としては、「わかっている」と言っても、わかっていない前提で説明をする。難しくても失敗しそう、間違えそうなところを事前に把握しておき、きちんとその部分についても伝えることです。

そして自分が仕事を請ける立場だったときには「確認する」ということです。最近、アルバイトに行くようになってから、それを心がけるようにしています。わかっていると思っていることでも、きちんと説明を受けて理解する。そしてわからないことは積極的に聞く。


ごくごくあたり前のことなのですが、人というのはマニュアル通りに動くわけではなく、それぞれに個性があり、思わぬ動きをすることがあります。だからこそ面白いのですが、そのことを考えずに「なんで言われたとおりにできないの」と叱る人が多いように感じます。

自分ができることを他の人も同じようにできると思っている。それも十分な説明をしないでやらせるケースが多々あります。それでできなかったり、違うことをして叱るわけです。きちんと説明すれば上手くれそうな人も、説明不足で叱られて嫌になる。

もったいないなとは思います。ただ、やはり勇み足をする人の対策だけは、かなり優れた管理者でないとどうしようもないのかもしれません。この国は優秀な人材の宝庫だったのに、いつの間にこんな状況になってしまったのでしょう。もっともそういう人が多いほど、普通に働ける私に光が当たるわけですが。

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