緊張感:変わり続ける北京と変わらない北京

万里の長城マラソンのために北京に来ています。もうこれで何度目の北京になるのかわかりません。10回を超えたところで数えるのをやめたのが随分前なので、20回近くなるでしょうか。松山の実家には1年に1回しか行かないので、おそらく松山よりも北京のほうが詳しいかもしれません。

一昨日の夜に北京に到着しましたが、そこからホテルに移動する地下鉄で、まるで日本の地下鉄に乗っているかのように緊張感がない自分に笑ってしまいそうになりました。北京の地下鉄にクレジットカードで乗れるようになったのが大きいかもしれません。

この1年間は切符を購入するのも大変だったのですが、今回はそれがありません。日本でスマホをタッチする感覚でクレジットカードをタッチ。新しい技術は大抵、トラブルが起きるものですが、今回はそんなこともまったくありません。


良いほうに進化しているように感じます。少なくとも観光のために訪れる人にとって、北京はストレスも少なく快適に過ごすことができます。自転車も簡単に借りることができますし、しかもちょっとの移動なら1.5元なので30円くらいしかかかりません。

中国の携帯電話番号が欲しくて加入したチョコSIMにチャージをしたので、LINEもSNSも問題なく使えています。これでもう、直前になってamazonで北京で使える香港SIMを買わなくて済みます。ビザが必要という高いハードルがありますが、それが撤廃されれば、シームレスに北京と日本を行き来できるようになります。

そう思っていたら、泊まったゲストハウスで久しぶりに中国の洗礼を受けました。Trip.comのクーポンを使ったのもあるのですが、なんと1泊1,800円という格安。ゲストハウスが軒並み5,000円前後になっている北京で、1,800円というのはかなり魅力です。


ところが、実際に宿に向かってみると宿が見当たりません。どうやらビルの3階にあるらしく、それは把握できたもののビルの入口がわかりません。建物の裏口に「絶対にそこじゃない」階段がありましたが、2階まで上がったところで引き返しました。

結局、入口は見つかりましたが、今度はパンツ一丁のおっちゃんがウロウロしていたり、ローカルなおばちゃんが通路でご飯を食べていたり。その一方で若い女の子が共有エリアで作業していたり。現代風の混沌がそこにあり、そして極めつけはトイレとシャワーが一体型。

久しぶりに「中国」を感じました。近代化された北京に慣れすぎていて、最初はいろいろ引いてしまいましたが、それこそ私が中国に求めていたものでしたので、ちょっと嬉しくなってきたのはここだけの話。場所を選べば、まだ北京だってかつてを思い出させる生活が残っていることに安心しました。


見た目や便利さはどんどん変わっていっても、変わらないものだってあったわけです。これが中国の奥深さであり、私が何度も北京を訪れる理由。そこには以前と変わらない人たちが暮らしていて、中国らしさがしっかりと根をはっています。

きっとそれは日本でも同じで、私が子どもだった頃から世の中は驚くほど変わりましたが、軸になっているものは変わらないで残っている。少なくとも私の世代はそれを抱えていて、その世代に育てられた次の世代も日本らしさを引き継いでいく。

これまでずっと、変わっていく北京ばかり追ってきましたが、変わらない北京も視界に入れておくべきなのかもしれません。そこから学べることもありますし、そこに中国人の本質が隠されているはずですから。それを長い年月をかけて学んでいくとしましょう。急ぐ必要はありませんから。

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