ランニングシューズにオタクになりつつあるわたしは、今年の箱根駅伝をかなり楽しみにしていました。もちろん「アディダスvsナイキ」という視点で。
アディダスがサポートする青山学院大学と、ナイキがサポートする東洋大学。
青山学院大学は勝っても評価されないほどの箱根常勝軍団。それに対して今年の東洋大学はかなりの低評価で、優勝争いに絡むと思っていたのは一部の人だけでした。
青山学院大学
出雲駅伝:2位
全日本大学駅伝:3位
東洋大学
出雲駅伝:5位
全日本大学駅伝:5位
これが2017年の2校の結果です。出雲駅伝では東海大学が優勝し、全日本大学駅伝では神奈川大学が優勝しています。その結果、箱根駅伝は青山学院大学と東海大学、そして神奈川大学の三つ巴というのが下馬評でした。
わたしもその上位は変わらずで、ダークホースとして東洋大学を挙げていました。理由はただひとつ、ナイキがサポートすることで、多くの学生がナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%を履いているためです。
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%は現在、世界中のトップランナーが注目し、結果も出しているランニングシューズです。福岡国際マラソンのトップ3人がこのシューズを履いていたのは記憶に新しいかと思います。
ただ、ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%は履けば誰でも速くなれるシューズではありません。きちんとした走り方を身に着けなくては、シューズの効果を100%活かすことはできません。
わたしが東洋大学をダークホースに挙げているのは、ナイキがその走り方も含めたレクチャーをしていると感じたためです。実際にトラック界のキングとも言えるファラー選手も東洋大学を訪問して一緒に練習をしています。
「これはひょっとしたらひょっとするのでは」そう期待していました。
一方の青山学院大学はアディダスのアディゼロ タクミ セン【戦】ブーストです。多少のマイナーチェンジはありますが、2015年から着用しているとわたしは記憶しています。
使い慣れた超軽量で、ブーストフォームによる反発力のあるスペシャルなシューズ。このシューズはフルマラソンというよりはそれよりも短い距離で力を発揮します。フルマラソンくらいになると、トップランナーでも足が持ちません。
この数年間、ずっとタッグを組んできたアディダスと青山学院大学。それに対するナイキと東洋大学。
こう書くと、シューズメーカーの代理戦争というようなイメージになりそうですが、あくまでも戦っているのは選手です。しかも箱根駅伝という特殊なレースの場合は、速いだけでは勝つことが難しいのは過去の歴史が証明しています。
手元にある資料ではそれぞれのチーム、1万メートル走トップ10人の平均は次のようになります。
青山学院大学:28分52秒03
東洋大学 :29分8秒36
たった16秒しか違いがありません。10人の平均ですので、合計100kmでは2分40秒の差になります。このレベルの選手になると800m〜1000mくらいでしょうか。これくらいの差はほんのちょっとしたことでひっくり返ります。
今年の東洋大学のように若手の成長や、その日のコンディション。メンタルの強さ。様々な要素が入り交じるのが箱根駅伝で、持ちタイムのいいチームが必ずしも勝つわけではありません。
そして様々な要素のうちのひとつがランニングシューズです。
とはいえ、ランニングシューズがレース結果に大きく影響するというのは、最近のナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%の実績を考えれば、決して否定できるものはでありません。
シューズ契約を結んでいるのでなければ、ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%を履かない理由が見つからないくらい、圧倒的な結果を出しています。
繰り返しになりますがこれを履けば、誰でも速く走れる魔法のシューズではありません。でも、これに合った走り方をすれば必ず結果が出ます。その走り方はきちんとレクチャーを受けながら、半年以上の反復練習が必要ですが。
今回の総合優勝が青山学院大学、復路優勝が東洋大学というのは、ナイキもアディダスも痛み分けというか、ナイキは大きくガッツポーズをし、アディダスは胸をなでおろしたのではないでしょうか。
さて、他のメーカーはどうなのでしょう?日本のランニングシューズメーカーは、この状況をどう打破していくのでしょう?これまで通りに「アシックスだから」という理由だけで選んでもらえる時代ではなくなりつつあります。
それはシューズメーカーの人が一番感じていることだと思います。
きっとなんらかの反撃計画を練っているのでしょう。そういうお互いに切磋琢磨する状態、わたしは大好きです。ただ、過度な競争にだけはならないで欲しいところです。
箱根駅伝の主役はあくまでも大学であり、学生たちです。
間違っても「このシューズを履いたから勝てた」というような宣伝にならないことを期待します。箱根路を走った選手たちが履いていたシューズとして紹介するのはありですが、「うちのシューズは素晴らしい」というようなアピールは、箱根駅伝の魅力を下げてしまい、ひいてはメーカーの魅力も下がってしまいます。
とはいえ、今回のナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%の品薄に、拍車が掛かるのは間違いありません。アディゼロ タクミ セン【戦】ブーストも今年の青学モデルがかなり売れるはずです。
箱根駅伝はすでにただの競い合いの場ではなく、メーカーのアピールの場となっています。それを嫌う人もいると思いますが、だからこそメディアもメーカーも力を入れて盛り上がっています。
オリンピックみたいなもので、今の時代はスポーツとコマーシャルは密生な関係にあります。ですので、それらを嫌うのではなく、メーカーの競い合いも含めて楽しむことができれば、箱根駅伝はもっと楽しくなるような気がします。
しつこいようですが、それらを履けば誰でも速くなるわけではないということだけは忘れないようにしてください。ランナーを強くするのはたゆまぬ努力だけです。自己ベスト更新を狙うならまずは練習の量と質を上げて、その上で自分に適したシューズを選びましょう。
練習なくして成長なし。
箱根駅伝での本当の勝者はメーカーではなく、苦しい練習を仲間と乗り切って襷をつないだ学生たちです。わたしたち市民ランナーが見習うのは足元ではなく、その姿勢にあるはずです。
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