転倒したランナーの安全を守ることに対する考察:東京マラソンは変わるのか

今年の東京マラソンで転倒したランナーが、転倒した際に頭を強く打って亡くなったという悲しいニュースが流れてきました。細かく状況を説明している情報がないのですが、沿道の声援に応えて手を振っているときに転倒されたのだとか。

そのこと自体に私が何かを言うことはありませんし、こういうときに「ご冥福を……」というのは、昔から違和感があったのでここでも書いたりはしません。ただ、気になったことがひとつだけあったので、少しだけお伝えしておこうかと。

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同じことを起こさないために考えられる安全対策

今回の件を受けて、東京マラソン財団は「東京マラソン財団といたしましては、このような不幸な事故が発生しないよう、大会運営にあたり、引き続き安全対策に努めてまいります。」と報告を締めています。こう書くしかないといえばないのですが、個人的には同じような事故をどうやって防ぐのだろうと思うのです。

レース中の転倒はどのレベルのランナーでも起こります。実際に今年の東京マラソンではパリ五輪出場を狙っていた日本勢のトップ集団が転倒しています。マラソンで転んでしまうというのは特に珍しいことではなく、これを防止することは不可能です。

防止リスクを減らすことはできますが、それについては後ほど詳しく説明します。少なくともマラソンでは転倒は間違いなく発生します。では東京マラソン財団がどのようにして、今回のような不幸な事故を防ぐのでしょう。

考えられるものを挙げてみます。

  • 参加ランナーの出場可能な年齢上限を設ける
  • 沿道へのリアクションを禁止する
  • 保護帽の着用を義務づける

こんなところでしょうか。まず年齢上限ですが、今回亡くなられた方は67歳だったということで、フルマラソンを走るランナーとしては高齢になります。年齢が原因で頭を守れなかったと判断するなら、フルマラソンは65歳までとする可能性はあります。

実際にフルマラソンは18歳以上を参加資格としている大会がほとんどで、下限が定められています。だったら上限が決まっていてもおかしくありません。ただ、これはかなり反発を招くことになるので現実的ではありません(それを押し通す可能性はゼロではありませんが)。

次に沿道へのリアクション禁止ですが、これもちょっと無理があります。沿道の声援に応えていたから転倒したというのであれば、確かにリアクション禁止にすれば解決しそうですが、東京マラソンはランナーと沿道の声援の一体感が魅力の大会です。

少しだけ現実的なのは保護帽の着用です。もしくはキャップやBUFFでも構いませんが、参加賞で配布して着用を必須にするだけなので実現するためのハードルは最も低くなります。でも、東京マラソンの人気は落ちることになるので、これもないかと思います。

道幅が狭いことが原因ではないかと推測

実は今回転倒が起きた21km地点というのは、私がXで「ここは危険では」と言った両国駅前付近になります。2車線にエイドが設置されていて、1車線がエイドとエイドを利用する人で塞がれてしまいます。このため、実質1車線になってかなり危険な感じがありました。

亡くなられた方がそこで転倒したとは限りませんが、いずれにしても東京マラソンのコースの中でも比較的渋滞する場所のひとつであることには違いありません。ちなみに日本勢のトップ集団が転倒したのが19km過ぎですが、こちらは3車線なので道幅は関係ありません。

上の写真の奥側の車線が21km付近になります。エイドの後なら紙コップなどのゴミが落ちていて、それを踏んでしまった可能性も考えられます。いずれにしても、ここが危険だということなら、東京マラソン財団のいう安全対策は可能ということになります。

他の大会でよくあるのが、歩道を封鎖してエイドそのものを歩道に設置すれば1.5車線分は確保できます。ゴミ箱を多めに設置して、ゴミ箱に入れるようにアナウンスするという方法もありますし、湘南国際マラソンのようにマイカップ制、もしくはマイカップを推奨とすればゴミは減らせます。

あくまでもエイドが原因のひとつだった場合という前提なので、的外れなことを言っている可能性もあります。でも、同じことを起こさないことが可能なのだとすれば、思い浮かぶのはこれくらいです。東京マラソン財団がパフォーマンスで安全対策と言っているのでなければ。

東京マラソンのコースが変わるという可能性

コース幅に問題があったとするなら、もうひとつダイナミックな対策をとることができます。それは東京マラソンのコースを変えるということです。かなり以前に書いたことがあるのですが、東京マラソンの最終形態は国立競技場がゴールになるコースなんではないかと私は推測しています。

いまの皇居前ゴールというのも東京駅が背景になって素敵なんですが、レース後の動線があまりよくありません。ランナーによっては42.195kmを走ったあとに、荷物受け取りのために1km以上歩くことになるわけですが、晴れれば問題は隠れますが、雨が降ったら大ブーイングになります。

国立競技場をゴールにすればその問題は解決できますし、何よりもランナーにとっては魅力的なフィニッシュエリアになります。だからいずれ国立競技場がフィニッシュエリアになる気がしているのですが、今回の件をきっかけにそれが動き出す可能性はゼロではありません。

そしてオール3車線になるようにコースを変えてしまえば、道幅が狭いという問題も解決します。もちろん机上の空論なので、実践しようとするとかなり大変だとは思います。でも、不可能ではありません。安全を最優先するとなると、むしろそれは必然になります。

いずれにしても、東京マラソン財団は何らかのアクションをしてきます。それはこれまでと違うルールを設けるか、大会側が何らかの対策を行うことになります。いったいどのような変化が見られるのか、マラソンに関わる人間として注目しておこうと思います。

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