和倉温泉ダブルフルマラソン2日目【旅ランを楽しめるということ】

前日にほんの少し多めに呑んでしまったので、朝起きたときに調子が悪くないか不安でしたが、問題なく起きれました。ただ朝ご飯の量が多すぎて、重たい体でのスタート和倉温泉スタンプラリーを使ってのランは、予定通り走れば42km。でも、最後のスタンプラリーポイントに到着したら終了することに。金沢に戻るのが遅くなりそうなので。

走った内容に関してはRUNNING STREET 365にまた書くとして、ここでは走りながら感じたことなどをつらつらと書き綴っていこうかと。とにかくこの日は暑い1日でした。日陰は走りやすいものの、太陽が当たる場所を走ると、体内の水分が次々と汗となって流れ落ちていきます。ペースを上げすぎると簡単に熱中症になるコンディション。

走る距離を短くしたのもそれを考えてのこと。雲ひとつない晴天。10月の北陸とは思えない気温で、とにかく安全に目的を達成するには距離を伸ばさないようにするしかありません。スタンプラリーのポイントさえきちんと抑えていれば目的は達成できるわけです。わざわざ走ってスタート地点に戻る必要はありません。早めに切り上げて、楽しめたと思えるうちに終わらすのも選択肢のひとつ。

というわけで、今回はコースのほとんどが能登島。初めて島に渡りましたが、想像していたのとはまったく違う風景。もっと住宅地みたいなところがあるのかなと思っていたのですが、集落がいくつかあるくらい。そしてフラットな場所などどこにもありません。常に上がってるか下がってるか。こういうところで走ったら走力が付くなと思ってたら、どうやら和倉温泉は東洋大学が合宿で使ってるとのこと。

かなりタフなコースで、途中にコンビニがひとつだけ。あとはチェックポイントにもなっている道の駅だけ。能登島は人口3000人の島なんだとか。平地が少ないから田んぼも限られていて、そもそも海の近くにしか平地がないから、おそらく米を作るのも大変なんだと思います。江戸時代の石高も低かったのでしょうが、調べてみたら能登島は塩が名産とのこと。なるほど江戸時代なら塩はとても貴重。米を作らなくても塩が売れれば生活できます。

さらに能登島は加賀藩の流刑地のひとつだったとか。それほど多くの島流しがあったわけではないようですが、何もないという意味では流刑地に適していたのでしょう。そうやって歴史を紐解いていくと、ただ走っているだけでは見えないものが見えてきたりします。能登島に限らず、能登半島全体に黒い屋根の家が多い理由は諸説あるようですが、積もった雪が落ちやすいからだとか。

知らない場所を走る旅ランは、これまでに見たこともない風景やその土地ならではの知恵に出会えます。こういう出会いがあるから旅ランはやめられません。30kmという距離を走るのが目的ではなく、その道を走る過程で学んだり感じたりすることができる。それはさまざまな制限のあるフルマラソンでは体験できないこと。フルマラソンにはフルマラソンの魅力がありますが、やはり私は旅ランが好き。

初日は山を走る1日でしたが、今回は海。本当に青い色した海なんて、なかなか見られるものではありません。波がほとんど立たずに、穏やかな海だからこその景色。湾になっているので、水質はそこまで良くないのかもしれません。ただ、海として全体を見たときにはとにかく美しい。瀬戸内海に似ているような、似ていないような。比べる必要もないのですが、あの美しさを上手く伝えたいなと。まぁこればかりは自分で見てもらうしかありません。

走るのに精一杯という人だと、そこまで景色を楽しむ余裕はないかもしれません。旅ランに慣れていないと、そもそも30kmというのも苦しいだけかもしれません。30kmから40kmの距離を旅ランとして楽しめるには、おそらく100kmのウルトラマラソンを完走できるくらいの走力が必要かもしれません。もしくは、それくらいの距離を体験したことがあること。

フルマラソンしか走らない人は、30kmや40kmという距離に抵抗があるようですが、トレーニングをきちんとやっていれば30kmなんて誰でも走れるようになります。それもかなりの余裕を持って。だから40kmを走れる人が偉いなんてことも、すごいなんてこともありません。やれば誰でもできることなので、それをやりたいと思うかどうかだけ。望んでいない人に「やろうよ」なんて私が言うわけもありませんし。

でも走れたらこれまで見たこともないような風景に出会えて、走れたら人生を大きく変えるような出会いが起きます。自分の未来が広がるのがランニングの魅力。だとしたら走った方がよいとは思います。少なくとも私の価値観では。今回の旅ランでは七尾と能登島、和倉温泉と好きな場所が増えました。ランニングだけでなく、普通の観光にも行きたいくらい気に入っています。それくらい素敵な時間を過ごせたので。

まだコロナ禍が終わったわけではないので、旅行なんてすべきではないと言う人もいるかもしれませんが、旅ランは私が私であるために必要なこと。チャンスがあるなら、これからも旅ランを開催するつもり。こんなに素敵なことなのに、止める理由が思いつきません。今度は12月なので、どこを走るか悩ましいのですが、また美味しいものを食べれたらいいなぁ。もちろん、新しい発見もしたいところです。そのときに気持ちよく走れるように、きちんとトレーニングを積み重なるとしましょう。

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