今年11月に取材で宿泊させていただいた松江・片江にあるかたゑ庵さん。いろいろと新しいことに挑戦して、地元盛り上げようとされていて、その中のひとつがお酒を海に沈める「海酒DOBONプロジェクト」。海に沈めたお酒は半年後に引き上げるのですが、海底で熟成させることで味が変わるのだとか。
今回その第3回目の募集があり、連絡をいただいたので早速注文しました。こういうのは縁ですからね。ワインの細かな味まではわかりませんが、参加することに意義があるんです。引き上げた後に、またかたゑ庵に泊まりに行くという口実もできますしね。私のように気が多いタイプは、先に予定を組んでおかないと縁のある場所もなかなか訪れないので。
そういう意味では、このタイミングで第3回の「海酒DOBONプロジェクト」が行われるというのも、縁があるというもの。これが半年後とか1年後だとどうなっていたかわかりません。年末年始に伊豆の宿を手伝いに行きますが、その話を聞く直前にかたゑ庵で宿を経営するということについて話を聞けたのも何かの縁。
人生は人と人との繋がりでできています。お互いの引力が強くなれば引き寄せあうのですが、それはきっと何かの意味があるんだと思っています。ただ引力が永遠というわけではなく、すごく引き合っていたのに、どこかのタイミングでそれがなくなることもあります。そういうときは大抵は別の引力に引っ張られているとき。
でも人間は変わるのがこわいから、別の引力の存在に気付かないふりをして、すでに引き合っていない人との関係を維持し続けようとする。それもひとつの生き方ですが、私の場合はそれを「卒業」だと思って、次に進むようにしています。学校だけでなく人間関係にも卒業があり、「縁があればまたどこかで」となるわけです。
以前の関係を維持しながら新しい出会いを求める。「友だち100人できるかな」方式ができれば理想なのですが、少なくとも脳の容量が少ない私にはそれはできず、身近だと思える人の数は一定数以上にはなりません。新しい出会いがあれば、どこかと疎遠になります。年賀状1枚で繋がり続けることもありますが。
もちろんワインを海に沈めるということそのものにも興味はあります。沈めて引き上げてもらうのに費用はたったの5,000円。ワインはこのプロジェクトと提携している奥出雲葡萄園さんで注文。注文したワインは税込み3,300円のメルロ。合わせて8,300円で買えるロマン。
それを高いと感じるか、安いと感じるかは人それぞれ。海に沈めたワインを買うというだけなら8,300円は高いかもしれませんが、これが話のネタになり、特別なワインを飲むという楽しみもあり、そしてなによりも関わった人たちと想いを共有できるわけです。打算的なことを言えば、重松貴志という存在を意識してもらえます。
そういうものはお金で買うことはできません。いや、お金を出して経験を買うわけですから買えないことはありません。ただどこにでも売っているわけではありません。そもそも縁がなければ存在すら知らなかったわけです。こういうことに人生の面白さを感じれる年齢になりました。歳を重ねるというのも悪くないものです。
問題はこのワインを誰と飲むかということ。でも、この流れを考えるとこのワインを飲むべき相手が6月に出てきます。それはすでに知っている人かもしれませんし、これから出会う人かもしれません。その人（もしくはその人たち）と飲むべき理由が必ずできて、そこでまた縁が広がっていく。
半年後に何がどうなっているかなんてまったくわかりません。でもそこに向けて仕込んでおくのってワクワクしますよね。そこまでふっておいて、1人で飲むというのもオチも悪くないでしょう。いずれにしても行動をしたから次があります。待っていても人生は1歩も前に進みませんから。
こういうご縁やめぐり合わせというのは、誰にでも起きるものだと思っています。でも多くの人がすでに両手に風船を手にしていて、新しい風船を手にするのに古くなってしぼみかけの風船を手放せないでいる。それを離さないと新しい風船を手にすることはできないのに。まぁ古くなった風船を見て懐かしむ人生もいいのですが、私にはまだ早いかな。
かたゑ庵：https://kataean.com
奥出雲葡萄園：https://okuizumo.com
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