五街道制覇プロジェクト最終章「中山道69次ラン」2日目

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8月1日
12時0分 極楽湯彦根店

作戦はとてもシンプルなものになりました。この気温ではとても昼間に外には出られないから、少なくとも長野に入るまでは夜中に走って、昼間はスーパー銭湯やネットカフェで休む。

このスタイルで1日60kmを進めば9日間でゴールできるというのがわたしの皮算用。

午前9時に走るのを止めれれば17時までの8時間は休めるわけです。かなりの回復が期待できます。でもその皮算用がまさか最初の休憩で崩れるとは思いもしませんでした。

初日のランを終えて入った極楽湯彦根店。汗を流して簡単な仕事を終わらせたあとに寝ようとしたら……ぜんぜん寝付けません。眠っても30分くらいで目が覚めます。

朝日を浴びながらあれだけの距離を走れば、脳内は完全に覚醒状態。体は疲れていても脳が休んでくれないので寝付けないというわけです。何度も目が覚めては起きてを繰り返したところで、わたしはいきなり勝負に出ることに。

眠れないなら歩いてしまえばいいのでは?

極楽湯彦根店を12時に出て最初に向かったのは100円ショップ。歩くにしてもアームカバーがないと日焼けで苦しむことになります。日焼けがどれだけやる気を奪うのかは昨年の甲州街道ランで経験済み。

女性もののアームカバーしかありませんでしたが、背に腹は代えられません。そのあとマクドナルドで腹ごしらえをして2日目がスタートです。

ただ、このスタートはいきなり躓くことになります。

極楽湯彦根店は国道沿いにあり、旧中山道からは少し離れています。旧中山道に戻るのを嫌ったわたしは、そのまま国道沿いに次の宿場町である鳥居本宿を目指すことにしました。

ところが、彦根駅を超えたあたりで道が途絶えています。国道は続いているのですが、歩道がありません。真っすぐ行けば200mの距離をあれこれ迂回して1km。15分程度のロスでしかありませんが、こういう無駄な動きが精神的に自分を追い込んでしまいます。

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14時30分 鳥居本宿(69.4km)

遠回りしたことも精神的にきつかったのですが、なんと言っても苦しいのはやはり降り注ぐ太陽の光。鳥居本宿につく前に購入したアイスクリームは、一瞬にして液体へと戻りそうでした。

とても小さな宿場町なのですが、しっかりと本陣跡もあり、さらには古くて可愛い駅舎が出迎えてくれます。無理に背伸びをしない鳥居本宿のコンパクト感がちょっと気に入りました。

鳥居本宿から番場宿までは峠をひとつ超えます。この旅はじめての峠道。このあたりはまだ人工的な建造物も多くあり、近所の里山を散策するくらいの感覚で、気持ちよく通過できます。

ただ、走り出すにはまだ早すぎます。1歩足を進めるたびにHPが1つ減るような感覚で、どんどん体力が奪われていきます。

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16時0分 番場宿(74.8km)

さすがに眠りが少ないのが影響して、暑さもあって番場宿の木陰で休憩します。できることなら17時までに次の宿場町まで行っておきたいという思いから、少し休んですぐに出発することになりました。

この休めない自分が、そこからも自分を苦しめることになります。

500kmを超えるような旅ランをする場合には、頑張らないことがとても大切で、如何にして体を回復させるかも求められます。休むべきときにきちんと休まないと、後から自分を追い込んでしまいます。

ただ、この2日目の前半という段階ではまだ自分の頑張りだけでなんとかしようという気持ちが勝っていました。「努力はきっと報われる」そんなわけがないのに。

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17時15分 醒井宿(78.4km)

そこはまさに水の都という名にふさわしい場所でした。42年も生きてきてこんなにも美しい街があるなんて知りませんでした。無知というのは恐ろしいものです。

中山道の宿場町の多くが水をとても大切にしています。その中でも醒井宿は特別です。先のある旅でなければその水の流れをいつまでも眺め続けていたいくらいの美しさがそこにはあります。

宿場町全体もこぎれいにされていますので、まるで映画の中の世界にでも飛び込んだかのような気分です。ただ、わたしが行っているのは旅ラン。観光よりも前に進むことが大切です。

そこに留まりたい気分を抑えて次の宿場町を目指してここから走り始めました。

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18時7分 柏原宿(84.2km)

醒井宿の美しさには驚かされましたが、今度は初めて耳にする柏原宿の大きさに驚かされます。失礼ではあるものの、柏原宿という地名を知ったのはこのときが初めてで、こんな田舎にこれほどの街が残っていることに驚嘆するしかありません。

古い建物はもちろんのこと、その町並みの美しさは東海道では見ることのない壮大さがあります。東海道のように発展していないからこそ、昔の風情を残せるのかもしれませんが、この柏原宿の雰囲気は圧倒的な美しさを感じることができます。

そして、この柏原宿を超えていけば、次にたどり着くのは今須そして関ヶ原。ということは、滋賀県と岐阜県の県境を通過することになります。江戸時代なら美濃国と近江国の境。

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18時50分 今須宿(87.6km)

美濃国と近江国の境の宿場町として栄えた今須宿。関ヶ原の合戦でも重要な役割を果たしたこの町は、ほのかに宿場町の雰囲気が残るものの兵どもが夢の跡。少し寂しさも感じる通りになっていました。

きっと関ヶ原宿まで行けばもう少しにぎやかになっているはず。そんな期待を持って関ヶ原宿を目指すものの、関ヶ原に入ってから目立つのは宿場町である証ではなく、合戦跡や陣地跡ばかり。

わたしはどちらかというと歴史好きですが、戦国時代というのはあまり得意ではありません。多くの人が命を落としたと思うだけで目を背けたくなるので、関が原はそこにいるだけで気が落ち着きません。

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19時42分 関が原宿(91.3km)

多くの歴史が残る関ヶ原においては、中山道はそれほど重視されるものではないらしく、ひっそりと脇本陣の標識が建っているだけでした。

自治体にある予算は有限で、何に力を入れるかはその自治体ごとの判断によって決まるのでしょう。関ヶ原は中山道よりも注目度の高い関ヶ原の戦いを重視しているため当然の結果ですが、他の宿場町の頑張りを見ているとやや残念なところです。

関ヶ原に入る直前くらいから、ナイトモードが始まります。この日の走りはここから。そう言いたいところですが、実はほとんど記憶に残っていません。

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21時58分 垂井宿(96.7km)
23時46分 赤坂宿(102.5km)
8月2日
3時15分 美江寺宿(110.8km)
4時36分 河渡宿(115.2km)
6時32分 加納宿(121.3km)

本当に何のために走っているのだという状態なのですが、写真にも宿場町の標識が残っているだけで、他にも何も覚えていないという事実。そして加納宿に到着したところで無理のある判断をしてしまいました。

加納宿は岐阜駅ですので、ネットカフェはいくらでもありますし、スーパー銭湯もあります。ところが駅で少し仕事をしたあとに選んだのは「前に進む」でした。

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12kmくらい進んだところにスーパー銭湯があるのを知り、そこまで追加で歩くことを選びました。11時位には到着できるような軽い気持ち。

でも結果的には加納宿から2時間半以上歩くことになりました。しかも炎天下の中。

各務原温泉恵みの湯についたのは12時を少し回ったくらい。よく考えたら前日はほとんど寝ていませんし、思考回路は完全に止まっています。いま思えばここの2日目が最大の無茶だったような気がします。

少しでも距離を稼いでおきたいという欲に負けて体に無理をさせてしまいました。

旅ランで最も避けるべきことのひとつが、必要以上に体に負荷をかけるということですが、まだ2日目にも関わらずそんなことが判断できないくらいにまで追い込まれている自分がいました。


ちゃんと歩ける中山道六十九次 西 藪原宿~京三条大橋
著者:八木 牧夫
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