ハダシスト流ランニングトレーニングの考え方:分解して考える

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40代を過ぎてくると走るスピードが落ちてくるのを感じて、インターバルのようなスピードトレーニングを入れる人が少なくありませんが、ではインターバルをしてどのような理屈でスピードがつくのか説明できる人はほとんどいません。

速く走るためはにスピードを出すトレーニングをすればいい。それは当たらずとも遠からずなのですが、その方法だと効果が得られているのかどうか、いまいちわからないという練習になりがち。そうではなく、きちんと何のために何をするのかを考えてトレーニングをすべきです。そこで今日はマラソントレーニングについての私の考え方を書いていきます。

目次

速く走るための方法は2つしかない

まず、スピードを出すために何をしなくてはいけないかですが、やらなくてはいけないことは2つしかありません。それはピッチを上げるか、ストライドを伸ばすか。もしくは両方を向上させるか。まずそのことを認識することから始めます。

トレーニングもピッチを上げるための練習と、ストライドを伸ばすための練習をわけて行います。マラソン練習という意味では、これに加えて持久力を上げる練習もしなくてはいけないのですが、それについては余裕があれば後で説明します。

ピッチを上げるために必要になるのが、効率的な動きになり、それはランニングにおける技術的な部分になります。反応速度を上げたり、インナーマッスルを鍛えたりするといったトレーニングも必要になりますが、これは体に染み込ませる作業なので、練習さえすれば誰でも身につけることができます。

ただ、とにかく時間がかかります。何度も何度も動きを繰り返して、無意識でもできるようになるまでに数年かかります。一方でストライドはパワーに依存するので、筋トレをしたり、アキレス腱の反発を使えるようにする必要があります。

こちらも繰り返しが必要になりますが、それは体に覚えさすためではなく、筋肉の破壊と再生を繰り返すためです。ただ、姿勢が悪いと力が逃げてしまうので、ここでも体幹は重要になります。とはいえ、基本的にはストライドを伸ばすためには筋肉を鍛えることがメインになります。

事前準備として体力測定をしておく

まず何をするにしても現状を把握することが大切です。まずは自分のレースペースで走って、ピッチとストライドを把握しておきましょう。これがわかっていないと、トレーニングを積んだあとに結果に繋がっているかどうかの判断ができません。

・ピッチ(レースペース1km)
・ストライド(レースペース1km)
・垂直跳び
・立ち幅跳び
・目を閉じての片足立ち

これくらい計測しておきましょう。結果がどうであっても構いません。これから数値を向上させるわけですから、現時点で平均以下でも問題ありません。ただ全力で取り組むこと。手を抜いてしまうと、本当に能力が向上したのかわかりませんので。

ピッチを上げるためのトレーニング

ピッチを上げるためのトレーニングはいろいろありますが、一般的なのはミニハードルを使って、あえてストライドを狭くして走ります。こうすることで速く足を下すことを体が覚えていきます。これをすることで、地面を蹴らなくなるといった効果も期待できます。

ただ、マラソンにおいて実はピッチはそれほど重要ではありません。なぜならマラソンにおける理想のピッチはすでにわかっているからです。基準となるのは180歩/分で、もちろん個人差はありますが、トップレベルのランナーでもなければ180 歩/分を体に染み込ませるという考えで構いません。

このため180歩/分を無理なく出せるという人や、レースペースが180 歩/分以上という人は、ピッチを上げるということに対するアプローチは必要ありません。ただ効率よく足を回せるようにするために、片足で立って浮かせた方の足を回すといったトレーニングを私はメニューに組んでいます。

ストライドを伸ばすためのトレーニング

ストライドを伸ばすためには最も大切なのは地面からの反発を活かして走るということです。いわゆる足のバネを活かすわけですが、そのためにおすすめのトレーニングが縄跳びです。両足でも片足でも構いません。大事なのは姿勢で、体はできるだけまっすぐにしてください。

初心者であれば練習前に縄跳びを100回、練習途中に100回、練習終わりに100回しておくだけで、ストライドがかなり伸びます。そしてリズムよく走れるようになるので、42.195kmを短く感じるようになるはずです。ただ、ならないうちはアキレス腱への負担が大きいのでやら過ぎには注意。

中級者以上になり、なおかつ40代になると筋力が低下が顕著になるので、縄跳びだけでは若い頃と同じ出力を出すのが難しくなります。そこでやるべきことは筋トレになります。これは以前から言っていますが、スクワットとジャンプでOK。

余裕があるならマシントレーニングも入れたいところですが、目指すタイムがそれほど高くないなら必要ありません。

持久力はジョグ、心配機能向上はHIIT

持久力をつけるのはジョグで問題ありません。ここで大事なのはスピードを出さないことととにかく距離を積むこと。何キロ走ればいいのか、いろいろ議論がありますが、月間走行距離が長いほどタイムが良くなるという研究結果もあり、「走った距離は裏切らない」は科学的に証明されています。

ただ、初心者がいきなり1週間に100kmとか走ったら間違いなく故障します。大事なのは自分の走力に見合った距離を走るということ。そして1週間に160kmを 上限に徐々に距離を伸ばしてください。そんなに走れなくても構いません。でも、走っただけタイムは伸びます。

よく「月間200kmでもサブ3できてる」なんて人もいますが、そのほとんどが過去に1週間で160kmみたいなトレーニングをしています。そしてそうでない人も、距離を伸ばせばもっと速く走れます。とはいえ、走れば走るほど寿命は縮むので、どこまで走るかは自分で決めてください。

それに合わせて心肺機能も上げておきたいところですが、これに関してはHIITで十分だと思います。その理由はケガのリスクを下げたいから。コーチが付いてくれるならインターバルやビルドアップとかしてもいいんですが、そうでないなら、オーバートレーニング防止のためにHIITで構いません。

また、心肺機能を高めるトレーニングをするときには当然のことながらジョグの距離を短くする必要があります。月間100〜160kmの中で高負荷なトレーニングをできる人は限られています。このため、ジョグは体づくりの段階で行い、体ができたところでジョグを減らしてHIITを入れます。

トレーニングに正解はない

いろいろ書きましたが、あくまでも私の理論であり、もっと別の考え方もあります。上を狙うならもっと数字を細かく設定する必要もあります。なのでハダシスト流の大枠だと思ってもらえれば。そしてこの考え方も変化していきます。

みんながこんなトレーニングをする必要もありません。ただ、速くなるということは一朝一夕でできることではなく、行き当たりばったりでトレーニングしていては遠回りになるということをわかってもらえれば。本気でやるなら、それなりに考えなくてはいけないことがたくさんあるわけです。

もちろんすべてを自分でやる必要なんてありません。誰かを頼ったっていいんです。私もやる気がある人に対する協力は惜しみません。とはいえ、試行錯誤こそマラソンの面白さだとも感じているので、できることなら自分でいろいろ試してみてください。

どうにもならないと思ったら、いつでも声をかけてください。

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