自分が正しいと思っていることは、自分の中でだけ正しい。
自分が正しいと思っていることに対して、同意してくれる人もいれば、同意してくれない人もいます。それは自分以外の人の正しさでも同じことが言えます。他の誰かが正しいと思っていることが自分にとって正しくないということが往々にしてあります。
世の中の大勢の人たちは、できるだけ他人との衝突を避けるために、ときに自分の正しさを捻じ曲げてでも、その場をうまく取り繕うとします。それは決して嘆くことではなく、人間としての知恵のひとつです。
わたしは自分の正しさを捻じ曲げることができなくなってしまったため、普通の会社員として働くことを諦めました。そのときに決めたことは、自分の正しさを捻じ曲げないけど、他の人の正しさも捻じ曲げないということ。
わたしが誰かと話をしているときに、その人の考え方が自分の考え方と違っても「そうじゃないと思う」というような否定をすることをやめました。あえて言うなら「わたしならこう考える」くらいです。
なぜそうするかというと、自分の正しさや自分の考え方を捻じ曲げられることが嫌だから、自分がされたくないことは他の人もされたくないだろうと思うからです。
これっておそらく小学生くらいで学ぶことか、それぞれの家庭で親から学ぶようなことだとは思うのですが、思ったよりも多くの人が、自分がされたくないことを他人に対して行います。
ちょっと前に「バカの壁」という本が流行りました。
内容はあまり覚えていないのですが、人間は自分の知りたいこと以外には知ろうとはしない。自分が正しいと思うことだけを正しいと思いこんでしまうのが人間だというような内容だったように記憶しています。
そのため、人に指図されると反発したくなるのが人間です。自分の正しさと曲げられそうになると嫌な気分になるわけです。
この本が出版されたのが2003年ですので、もう14年経過していることになります。
この14年の間に世の中は加速度をつけて大きく変化していきました。その結果、自分の正しさ曲げられるのが嫌というだけでなく、自分の正しさと違うことを他人がすることすら嫌だと感じるようになっている気がします。
どういうことかわかりませんが、他人も自分と同じ価値観を持っていないと納得できない。そういう人が増えています。
あたり前ですが、同じ価値観の人間なんてどこにもいません。
AさんとBさんがいたとして、AさんはBさんの価値観を認められません。BさんもAさんの価値観を認められません。さて、この2人はこれから一緒に何かを成し遂げられるでしょうか?
相手の価値観を認めるということは、自分の価値観を曲げるということではありません。
わたしはいつも「強い人間になりたい」と考えています。強い人間というのは自分の価値観を周りに押し付けるのではなく、自分の価値観が周りに認められなくても、ブレることなく自信を持って立つ人間です。
自分に自信があるから、他の人が自分の正しさと違うことをしても、そういう考え方もあるかとそこから学ぶこともできます。軸がしっかりしているから、他の人が正しいと思うことをちょっと試してみることもできます。
ところが、現実の世の中は、自分の正しさに自信を持てないから、自分の価値観と違う人たちを叩こうとします。インターネットの炎上というのがその最たる例です。
一方で、世の中のほとんどの人が「いじめはダメ」というようなことを口にします。
もちろんいじめはダメですが、ほとんどの人が意識的なのか無意識なのかはわかりませんが、社会の中でいじめと同じようなことをしています。同じ価値観でない人を排除しようと一生懸命になります。
なぜ、人間は自分の価値観と違う人たちのことを排除しようとするのでしょう?なぜ人間は自分の考え方だけが正しいと思いこんでしまうのでしょう。
世の中には多様な人たちがいます。
わたしだってまったく考え方の合わない人、生理的に受付けられない人だって世の中にはいます。だからこそ人生は面白いわけで、違う価値観に出会えるから、わたしは旅することを続けています。
価値観が違うからこそいろいろな人との交流が楽しいわけです。
もう少しだけそれぞれに余裕があると、世の中はもっと楽しくなるように思えるのですが、余裕を持つことも難しい時代なのかもしれませんね。みんな自分を守るので精いっぱい。
だったら守ることをやめればいいのに。
どんどん自分をさらけ出して、いっぱい恥かいて、いっぱい笑われて。守るべきものがなくなれば、争う必要もなくなります。笑ってもイライラしても流れていく時間は同じです。
限られた時間の中で生きていくのですから、少しでも笑顔でいられる道を選びませんか。そのためには、価値観の違う人の考え方を批判しない。きちんと理解して受け入れる。
言葉にするのは簡単ですが、実践するのは難しい。でもそれを諦めないことが大切です。
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