自分のいるコミュニティの外に飛び出す勇気を持つこと

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わたしがまだどこにでもいるような普通のランナーだったとき、美ジョガーというのはどこに存在するのか、どこに行けば出会えるのだろうかと不思議に思っていました。

最近になって分かってきたことは、美ジョガーだけでなくランナーは似た者同士がコミュニティを作り、そこからはみ出る人はあまりいないということ。

要するに普通のおっさんランナーが、美ジョガーと接点を持つことはほとんどないという絶望的な現実。美ジョガーは美ジョガーのコミュニティの中で活動し、おっさんランナーはおっさんランナーのコミュニティで活動します。

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おっさんランナーは河川敷を駆け抜け、美ジョガーは皇居ランをします。

普通にランニングと向き合っていると、砂漠マラソンとかジャングルマラソンの存在すら知りません。飯能ベアフットマラソンや万里の長城マラソンだって、普通のランナーにとっては聞いたこともない大会でしょう。

クレイジーなランナーはクレイジーなコミュニティの中で活動をします。

ですので、その閉じられたコミュニティの中で有名人になっても、他のコミュニティに行くとまったくの無名です。裸足王子の吉野剛さんは、裸足ランナーならほぼ誰もが知っていますが、シューズランナーでの認知度はかなり低いというようなことが起きます。

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何を急にそんなことを言いだしたかというと、わたしは今日、近所の山をハイキングしてきたのですが、一緒に歩いたのが、第1回大山登山マラソン女子一般の部1位と2位のランナーさんです。1位の人は富士登山マラソンでも優勝経験があります。

他に4人の女性ランナーさんと一緒に山を歩いたのですが、10年以上のラン歴で、そのような人たちとコミュニケーションを取る機会はこれまでほとんどありませんでした。しかも、みんなわたしの母親くらいの年齢です。

自分で言うのも何ですが、わたしはそれなりにマラソンにおける交流の幅が広いほうですが、それでもやはり閉じられたコミュニティの中で活動してきたのだなということがよくわかりました。

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今回一緒に歩けたのは、そのうちの1人が万里の長城マラソンに出てくれたことがきっかけなのですが、わたしが万里の長城マラソンの日本事務局をしていなかったら、まず出会うことのなかった人たちです。

しかも今日歩いた人のうち1人は、わりと近くに住んでいたため、これまでにどこかで接点があった可能性もあります。これまですれ違っていた方が、何かの縁でお近づきになる。これがマラソンの魅力ですが、誰にでも起こることではありません。

自分以外のコミュニティの人に出会うには、違うコミュニティの人がこちらのコミュニティに飛び込んでくれるか、自分が他のコミュニティに飛び込むしかありません。ほとんどの人が、違うコミュニティに飛び込めないでいます。

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「社会人になると友だちができない」なんてことをよく耳にしますが、それは飛び込むことを恐れているだけで、その気になれば新しい友だちを作ることはそんなに難しいことではありません。

もっとも知り合いが多いことが必ずしもいいことばかりではありません。

それでも、ランニングをしているというだけで、繋がれる世界が自分の周りにはいっぱいあるわけです。自分の知らなかった世界を覗き見ることができます。これは決して小さなことではありません。

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わたしのラン仲間の1人が、少し前に伴走ランナーのコミュニティに飛び込んでいきました。やりたいと思ったこと、興味を持ったことに対して、一歩踏み出す勇気は単純にかっこいいなとわたしは思います。

いま自分のいる場所というのは、それぞれみんなとても居心地のいい場所だと思います。ランナーにしてもランナー以外の人でもそうです。環境を変えることはちょっとした挑戦であり、もしかしたら理不尽に嫌な思いをするかもしれません。

裸足ランナーが裸足以外のコミュニティに出ていくと、つらい思いをしてしまうのではないかと不安になるかもしれません。でも飛び出してみると、これまでに会うことのなかった人との接点ができます。

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一歩踏み出すことで、美ジョガーやイケメンランナーに出会えるかもしれません。出会えても何も起こらないことはわたしが実証済みですが、それでも幅広いジャンルの人たちから受ける刺激は、飛び出したからこそ得られるものです。

そして、飛び出すチャンスはすべての人に用意されています。

誘われたら断らなければいい。それだけです。マラソンに限らず、誘われたら二つ返事で「行く」と言えば、新しい世界への扉は開かれます。あやしいコミュニティに誘われないように注意する必要がありますが。

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誘われた時点で、自分の向き不向きを考えて断る人がいます。ものすごくもったいないことです。継続してそこに行くかどうかは別として、1回目のお誘いにはすべて乗る。面白そうなことがあれば、参加させてもらう。

とても簡単なことです。

そこにはほんの少しも才能はいりません。必要なのは飛び出す勇気。着地に失敗しても大ケガをするわけでもありません。だったら悩んでないで飛び出せばいいんです。そこに留まっていたのでは、その先にある運命の出会いすら逃してしまいますよ。


一歩前に踏み出せる勇気の書
著者:青木仁志
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