捨てられない理由と捨てられる思考【ホーディングにならない心理学】

いくつか持っていたガンプラを処分しました。作りかけも2つありましたが、おそらくこれからしばらくは組み立てる時間もありませんし、今の自分にとって必要ではないという判断で思い切って手放しました。またしばらくしたら欲しくなるかもしれませんが。

この勢いで溜まっている参加賞Tシャツも処分したいところですが、着られるものを着ずに捨てるというのは勇気がいります。こういうとき、わたしのような理屈っぽい人間は「なぜ捨てられないのか」を調べていくと意外とすんなり捨てられたりします。

目次

損失回避の心理が手放すのを邪魔する

物を捨てるためのアドバイスをしている心理学者がよく使う言葉に「損失回避」というものがあります。例えば「1/2で100万円もらえるくじを引ける権利」と「確実に50万円もらえる権利」があったとして、人間はどちらを選ぶかというとほとんどの人が後者を選びます。

50%の確率で100万円をもらえるのに、確実にもらえる50万円を選ぶ。それは「くじがハズレたら1円ももらえない」という心理が働き、それを損だと考えて確実にもらえる方を選ぶというわけです。これを損失回避と呼びます。

ある学者が言うには「人間は利益よりも損失のほうが2〜2.5倍ほど重要だと感じる」とのこと。それくらいわたしたちにとって損失は避けたいものなのです。

自分の持ち物に関しても同じです。捨てなければ損をすることはありません。現状から変わらないわけですから。でも捨ててしまうということは、それを手に入れるためのコストや時間も捨ててしまうことになります(これを「サンクコストの過大視」と呼ぶ)。しかもまた必要になる可能性だってあります。

また、人生において親しい人を亡くすなどの大きな喪失を体験した人ほど、損失回避の心理が強くなります。過去に経験した喪失感が「失いたくない」という想いが強くなるのでしょう。

ザイオンス効果と保有効果が愛着をもたせる

物を捨てられない理由として「愛着が湧く」というのもあります。これは心理学に置いてザイオンス効果と呼ばれるもので、接する回数が多くなるほど好印象を持つようになる効果です。好きでも嫌いでもない人でも、何度も会っていたら好きになっていたという経験のある人もいると思います。あれがザイオンス効果です。

また、わたしたちは手にしたものに対して高い価値を感じて、手放したくないと感じるようになります。これを保有効果と呼び、自分の所有物を捨てるのを妨げる原因になります。

自分の持ち物に対して愛着が湧くのは、わたしたちが人間である以上、回避するのは困難です。何に対しても愛着が湧かないという人は、むしろ人間的に大切な何かが欠けている可能性があります(ちょっと胸が痛んだのはなぜでしょう……)。

この愛着というのはなかなか厄介で、例えば幼少期に十分な愛情を受けられなかった人ほどモノで孤独感を埋めようとするため、モノに対する愛着が強くなります。愛着が強くなるとモノを自分の体の一部のように感じるようになることもあります。こうなると捨てるのはかなり困難になります。

物を捨てるために心理を操作する

ここまでの説明で、わたしたちは心理的に物を捨てるのが苦手だということがわかってもらえたかと思います。これは自然界で生き抜くためにDNAに刷り込まれた本能であり、回避することは簡単ではありません。また遺伝的にモノを溜め込みやすい家系というものもあります。

でも、理由がわかったのであれば、心理を操作することで「捨てよう」に切り替えることが可能です。

  • 捨てることで損するのが嫌
  • 所有したことで愛着が湧いている

鍵になるのはこの2点です。この2つの心理を解きほぐすことができれば、意外と簡単にモノを手放せるようになるはずです。具体的にどうすればいいのか考えてみましょう(考察をしないとわたしの言葉になりませんので)。

  • 捨てることで自分自身を再構築できる
  • モノに対する責任から解放される

わたしなりの考えですが、この2つを頭に入れておくことで、捨てることに対するブレーキを弱くできるのではないかと考えています。それぞれについて簡単に説明します。

捨てることで自分自身を再構築できる

わたしたちは自分に関係するモノ、自分に関係する人の影響を受けています。どのように影響しているかは人によって違いますが、同じ人でも毎日スーツを着て暮らすのと、ヨレヨレのジャージを着て暮らすのでは思考が違ってきます。

「人は制服通りの人間になる」ナポレオンの言葉です。

わたしたちは衣服に限らず、自分の持っているものに影響されて性格や人間性が構築されていきます。自分の持ち物に引きずられて生きていると言っても過言ではありません。ということは、足を引っ張るモノを手放せば自由になります。

わたしたちは所有している服の20%しか着用していないという調査結果もあります。着用していない80%にももちろん影響を受けます。それはとてもムダなことであり不自由なことです。捨てることでそれらの鎖が外れるわけです。新しい1歩を踏み出すためのメリットとしては十分です。

モノに対する責任から解放される

わたしたちは所有しているモノに対して、管理する責任があります。例えばテレビを所有していると、テレビ番組をチェックする必要があり、さらには録画した番組の管理もしなくてはいけません。故障したときには修理も必要になります。でもテレビを捨てれば、これらの管理から解放されます。

組み立て途中のガンプラを捨てれば、完成させないといけないというストレスから解放されます。ホコリが溜まらないように飾るという管理からも解放されます。

わたしは社会人になりたての頃、自由にできるお金ののほとんどを書籍につぎ込んでいました。「本を買う→本棚が足りなくなる→本棚を作る→スペースがあるから本を買う→本棚が足りなくなる」このエンドレスループ。本を手放し電子書籍にしたことで本を管理する責任から解放されました。

この解放がどれだけありがたいことか、1日が24時間では足りないと思っている人ならわかってもらえるかと思います。持ち物が少なければ少ないほど、自分のやりたいことに集中できるわけです。

まとめ

わたしは単純なタイプの人間で、理屈がわかれば抵抗なく受け入れることができます。悪く言えば理屈に弱いタイプなのですが、モノを捨てるのを躊躇する理由がわかってしまえば、それを乗り越えればいいだけで、ここから一気に手放す作業が加速しそうです。

ちなみにモノを溜め込むことをホーディングと呼びますが、ホーディングは認知機能の影響を受けるため、加齢によって強まることが分かっています。ですので、早い段階で身軽になっておかないと、歳を重ねてからでは手放すのが難しくなります。

また重度のホーディングになると病院での治療が必要になり、さらには抑うつ状態にもなりやすいことも判明しています。別にミニマリストになる必要はありませんが(ミニマリストも精神的に正常とは思えない)、いらないものを溜め込むのは次のステップに行くのには絶対に必要なことです。

だから前に進みたい自分の足を引っ張るモノは、容赦なく手放していくとしましょう。

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