人生に目標があるのか、どこを目指しているのかなど聞かれることが続いてあったですが、このブログでも何度か書いていますように、私には夢も目標もありません。万里の長城マラソンによって多くの人に北京を体験してもらいたい。その橋渡しの役割を果たしたいという思いはありますが、それが目標かと言われるとそうでもなく。
辿り着きたい場所というよりは、辿り着くことが自分の中で決まっている場所なので目標ではありません。自分のやるべきことを積み重ねればそこに届くわけですから。学生が「進級が目標」と言わないないのと同じで、万里の長城マラソンでの役割は当たり前に達成すること。コロナ禍で日本からの参加はストップしていますが、5年後10年後には元に戻っています。
私に目指すところがあるとするなら、「目指すところのない人間になる」ことでしょうか。禅問答のような、ネジの足りない人間の発言のような……。私は基本的に誰かが敷いたレールには乗らないことにしています。それはこれまでもそうで、会社員時代もできるだけレールには乗らないようにしてきました。人の褌で相撲をとるのは気持ち悪いじゃないですか。
レールに乗らないのは身軽でいるため。「東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ」です。多分、私は前世が頑張ってくれたおかげで、煩悩が他の人よりやや少なめで、残っている欲といえば、身近な人たちが幸せになってほしいというようなものくらい。だから困っている人が目の前にいるなら、当たり前に助けられる自分でありたい。
若い頃はサッカーで食べていくなんて目標がありました。もしかしたら、それが最後の目標や夢と呼べるものだったかもしれません。自分の中ですんなりと受け入れたつもりだったのですが、そこから現実しか見なくなったとするなら、夢を諦めたことに対して、思った以上に傷を負っていたのかもしれません。もう過去のことすぎて記憶が随分と塗り替えられているので、今となってはわかりませんが。
会社員になったばかりの頃も、何かになりたかったわけではありません。そもそもやりたいことがなかったから、いろいろ経験できる派遣社員を選びました。結果的にはそれが正解で、機械設計のイロハを派遣先で学び、それを活かして独立も転職も経験しました。夢や目標がなくても人間は生きていけるものです。
レールに乗ることが悪いこととは思いません。確実に前に進みますし、迷子になることもありません。世の中には飛行機に乗っているような人もいます。あっというまに目的地に到着。かつてそれを羨ましいと思っていた自分もいますが、私は地に足をつけて、裸足で1歩ずつ進むのが好きなタイプ。遠くに行く必要なんかはありません。自分が精いっぱい手を伸ばして届く範囲が私の生きる場所。
子どもに対して大人は「夢や目標を持ちましょう」なんて言いますが、あれって教育として正しいのでしょうか?何かを本気で取り組むことはとても美しいと思います。その過程で得たものは一生の宝物になるかもしれません。でも、夢や目標は言われて持つようなものではありません。やりたいことがあり、その先のビジョンとして自然に湧いてくるものです。
私にはやりたいことがないから、将来のビジョンを描くことができません。それは私のウィークポイントだと自覚しています。でも自分の理想がないから、何者にでもなることができます。目の前の流れに乗って、ライターをすることもあればシューズのテスターもします。カメラマンになることも、編集することもあります。
みんなが私みたいになると世の中はおかしくなりますが、私だけがレールから外れたところで、大勢に影響はありません。むしろ、自由に動き回れる人間がいることで、誰かが救われるかもしれませんし、こういう生き方があるのだと示すことでレールに乗っている人の安心材料になることもあります。
世の中には賢い人がたくさんいて、そういう人たちの背中は頼もしいのですが、凡人にとって天才の背中は目標になるだけでなく劣等感の原因にもなります。そんなときに私を見て「あいつよりはマシかな」と思って、気持ちが楽になってくれてもいい。どんな形でも誰かの役に立っているならいいかなと。
ただ目標や夢がないからダラダラ生きるつもりはありません。誰よりも全力で、誰よりもストイックに目の前のやるべきことに取り組んでいく。いや、他の人との比較をしても意味がありません。常に自分にできるベストを尽くすだけ。それが何になるのかなんて考えず、ただ目の前の畑を耕し続ける。そうやって「雨ニモマケズ」歳を重ねていくのが私のやり方。
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