映画『世の中にたえて桜のなかりせば』桜はなぜ下を向いて咲くのか

練習会前の空き時間を利用して、銀座で映画を観てきました。初めて東京に来たときに、自分が銀座で映画を観る未来があるだなんて思いもしませんでしたが、人生とは思いもよらないことが起こるから面白いのであって、予想できる日々は退屈でしかありません。

ただ、誰にでも終りはやって来るもの。映画『世の中にたえて桜のなかりせば』は、そんな人生の終わり、終活をサポートする会社を舞台にした物語。主演は乃木坂46の岩本蓮加さんと、先日亡くなられた宝田明さん。奇しくも終活がテーマの映画を撮り終えて、宝田明さんは亡くなられました。

完成披露挨拶では「来年もう1本一緒に仕事してみたいな」と宝田さんが、岩本さんを評していましたが、それは叶わぬ夢となり。でもその言葉が彼女にとっての大きな糧になるだろうということは、私のような人間でも容易に想像がつきます。

私が乃木坂46を好きだというのは何度か書いてきましたが、岩本蓮加さんは3期生の最年少で、当初は自由奔放な発言が目立ちましたが、徐々に大人への階段を上って、雰囲気のある女性というのが今の印象。どことなく儚く崩れてしまいそうな不安定感も時々感じます。

でも、これからきっと女優という道を進んでいくのでしょう。宝田明さんがその道を開いてくれたわけですが、結果的に命をかけて行き先を指し示したことに。人の死というのは誰にとっても小さなことではなく、人生が代わるきっかけになります。

私にとっては2人の叔父が若くして亡くなったことが大きかったですし、父の死も今の生き方に少なからず影響しています。わかりやすいものでいえば、正社員というレールから降りたのも、会社員として成功することの裏表を2人の叔父の死から感じたから。

もっとも岩本蓮加さんの未来について興味があるわけではありません(彼女は黙っていても彼女らしく生きていくのでしょう)。ましてや自分の終活について考えたわけでもなく。ただ、終わってしまうんだなとあたり前のことが頭をよぎっただけ。

私は特別な才能があるわけでもなく、努力もとっくの昔に放棄してきた人間ですので、誰かに影響を与えることもなく、おそらくこのままだと自分の血を残すこともしないまま、いつかこの世界からいなくなります。その日がいつ来るのかはわかりませんが。

自分がいつかいなくなるということ。考えると少し滅入りそうになりますが、この映画の中で「桜は見る人が上を向けるように、下を向いて咲く」というニュアンスの台詞がありました。私がいなくなっても、他の誰かがいなくなっても、みんな顔を上げて前へ進む。

それが生きるということ。ビジネスで成功して大金持ちになることも、有名人になって誰からもチヤホヤされるのも、顔を上げて前へ進むことに比べれば枝葉末節でしかなく、大事なのは自分という幹をしっかりと持つこと。そして花が散っても、また咲く日を耐えて待つ。

大切なあの人がいなければ、私はヤキモキすることもなく、心が揺れることもなく、平穏なまま生きられるのに。でもそんな人生はやはり退屈。ヤキモキできる人がいること。いなくなって涙が止まらなくなる人がいること。それこそが私にとっての生きる意味。

あわよくば、自分もそう思われる人でありたいところですが、自分の器の大きさを読み間違えるほどには若くありません。これから何度も下を向く機会が増えていく年齢。せめて今は「あのとき会いに行っていれば」なんて思わずに済むようにしたいものです。

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