アギーレジャパンというらしい。わたしはサッカーをこよなく愛する者の1人だが、こういう愛称とか呼び名とか本当に恥ずかしくて好きじゃない。監督が代わるたびに名前が変わるのも嫌だ。そもそもなぜW杯ごとに監督が代わるのだろう。W杯で結果を残せなかったから監督が代わる?いったいどれぐらいの成績を残せば監督が継続するのだろう。少なくとも日本は実力だけでベスト4に残れる力はない。そのために長期契約でチーム作りするスタンスもそろそろあってもいいのではないかと思う。
さて、その日本代表のW杯後の初陣だ。いや、これを初陣と呼ぶべきなのか非常にむずかしい。確かに監督はアギーレに代わったが、この短期間でアギーレの戦術を定着させることなどできない。今回は顔合わせ程度にすぎない。アギーレ率いるメキシコ代表の試合を観たことがある人ならわかると思うが、今日はアギーレのサッカーとは似ても似つかぬサッカーがグラウンド内で行われていた。
今回の2試合は間違いなく日本のサポーターのための興行なのだろう。W杯で日本代表が大活躍していたら、かなり大きなイベントになっていたはずだ。W杯で見せた姿を目の前で披露する。それ以上の意味はなかったはずだ。たしか4年前も同じようなことをしている。そのときはザッケローニが監督としてベンチにすら入っていなかった。
というわけで、ひどい試合だった。欧州組は明らかにコンディションが悪く、ほとんどの選手が様子見なプレーを繰り返すばかり。目新しいのは守備をする本田ぐらいだろうか。
本当にひどい試合だった……で終わるはずだった。流れが変わったのは後半44分だ。もうロスタイムしかない。そこで輝きを見せたのは10番を背負った森岡亮太だ。香川を招集できなかったから10番をつけたとなっているが、もしかしたら彼がこれから4年間の本当のエース10番かも知れない。彼は中村俊輔を継ぐプレーヤーだ。久しぶりにファンタジスタに出会った。
短い時間の出場ながら明らかに輝きを放つことが出来た。そして、一度だけ本田が森岡へのパスを出すべきとわかっていながら意図的に出さなかったプレーがあった。断言していい。あれは森岡への妬み、もしくは恐れだろう。チームプレーに徹しているように見えた本田だが、また同じプレーをしたらもう代表に呼ばれないかもしれない。
もう一人、可能性を感じたのは武藤嘉紀。いい顔している。とても代表デビューとは思えない堂々としたプレー。いや、もうそのたたずまいが只者ではない感じを醸し出している。森岡と武藤というコンビだけでも観る価値がある。新時代への幕開けのような数分間だった。
ただの興行としか思っていなかった試合で日本代表の新しい光を見た。おそらくアギーレは他にも目をつけている選手がいるのだろう。今回は興行の面が強いからW杯組を呼ばざるを得なかったが、10月以降は自由だ。おそらく国内での試合は国内の若手を優先させるだろう。アギーレ監督には少し期待している。日本代表の閉塞感を打ち破ってくれることを。これからロシアW杯に向けてチームがどう変わっていくのか楽しみだ。
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