今年もクリールのシューズトライアルに行ってきました。雨が降り続くあいにくのお天気でしたが、1年に1回の楽しみですし、なぜこのイベントにもっと人が集まらないのか不思議で仕方ありません(昨年も同じことを書きましたが)。
1500円の参加費で4時間半、好きなだけシューズを試すことができて、しかも1500円分以上のお土産までいただけます。
ランニングシューズはいくらお店で試し履きしたって、自分に合っているかどうかなんて分かりません。実際に走ってみて初めて相性が分かります。そういう意味ではこのイベントに参加して、自分に合うシューズを探すのはとても重要なことです。
もっともアディダスやナイキ、アシックスなどの大手メーカーが参加していないので魅力が足りないのは理解できます。正直大手メーカーもランニング業界を盛り上げるつもりがあるなら、いろいろ理由を付けずに出てきてもらいたいところです。
目先ではメリットがないかもしれませんが、ランニングブームが終焉した今すべきことは、正しいシューズの選び方を伝えることなのですが、どのメーカーも基本的には自分のことしか考えていません。
とはいえ、そんなことをここで書いても大手メーカーは動かないでしょうから、その存在はなかったことにして裸足ランナーのわたしが今年気に入った5つのランニングシューズについてご紹介します。
完全に個人の好みで書いていますので、人によっては評価が違うと思いますが、普段裸足で走っているランナーのわたしが、どんなランニングシューズを気に入ったのか参考程度に見てもらえればと思います。
5位 スボルメ ストレーラ
ストレーラはスボルメが初めて作ったランニングシューズです。これまでサッカーシューズやフットサルシューズを手がけていますので、シューズづくりの実績はあります。ラストはランニングシューズ用に新規設計をしたとのことですが、履いたときの安心感がサッカーシューズによく似ています。
「可もなく不可もなく」というところを目指したそうですが、それは偏差値50を目指したのではなく、フィット感、クッション性、反発力、すべてが平均以上でバランスの取れたシューズに仕上がっていました。
そして何よりも驚くべきことに、このランニングシューズは定価が9,000円(税抜)です。これだけのクオリティでこの価格というのはちょっと驚くべきことです。ランニングシューズが高額化するなかで、ランナーの懐に優しい1足です。
スボルメのストレーラは本当にクセがまったくありません。どんなランナーが履いてもそれなりに満足できるはずですし、わたしは思った以上にスピードに乗れたことに驚かされました。
深く考えずにシューズに任せて走って4分/kmくらいまでペースが上がりましたので、十分のサブ3.5に耐えられるランニングシューズです。
今回はとりあえず形にしたもので、2020年に向けて現在新製品を数種類開発中ということで、次回作もかなり気になるメーカーで、かなり期待しています。
4位 オン クラウドエース
オンは時間がなかったので1足しか試すことができませんでしたが、フローもフラッシュも過去に履いているので、なんとなく分かります。そこで今年の一押しであるクラウドエースを履いてみました。
インターバルから超長距離までなんでもこなせる1足ということでしたが、シューズに任せて走ったところこちらもスボルメのストレーラと同じく4分/kmくらいがいいところでした。
前足部に柔らかい素材を使い、かかと側に反発力の強い硬めの素材を使っています。このため、スピードに乗ったときにシューズがふわっと軽く感じるような特徴があります。
スピードに乗り切ることはできませんでしたが、総合的にはかなりまとまりのある1足で、オンのランニングシューズが好きな人はかなり満足できるシューズになっています。
問題は19,800円という価格ですが、個人的にはシューズは気に入ったけど、これくらいのシューズに2万円は出せません。総合力は高くても、価格的には妥当という感じになるため、残念ながら購入候補には入りません。
3位 リーボック フロートライドランファスト プロ
リーボックのフロートライドランファスト プロは、プレスリリースを見た瞬間に買うかどうか本気で迷った1足です。25,000円(税抜)という金額がどうしても出せず購入を見送りましたが。
そのシューズをまさか試せるとは思っていませんでしたので、これを履けただけでも1500円分の価値があると感じています。そして想像以上に楽しいシューズに仕上がっていました。
リーボックはフロートライドというソール材を売りにしていますが、個人的には柔らかすぎて反発が足りないと思っていました。リーボックの技術は単品ではトップクラスなのに、それぞれの技術がうまく融合できていないというイメージがあります。
ところがこのフロートライドランファスト プロはソールをかなり薄くしたことで、柔らかすぎず地面からの反発もしっかりと受けられるようになっていました。
フロートライドソールの適切な厚みはこれくらいだと思うのですが、どのメーカーも厚底を意識しすぎて必要以上のクッション性を持たせています。その結果、ほとんどソールが反発せず、ナイキやアディダスに遠く及ばないバランスの悪いシューズになっています。
おそらく偶然の産物ですが、フロートライドランファスト プロはすべてのバランスがよく、さらに1足100gという超軽量です。グリップ力もかなり高く、雨の路面に吸い付くような感覚で地面をつかめます。
ただ、やはりつらいのは価格。正直フロートライドファストのソールをもう少し薄くして、それだけ安くしてくれればそれで完璧だと思うのですが、リーボックはいい意味でも悪い意味でも期待を裏切ってくるので、あまり期待はしていません。
2位 アンダーアーマー ホバーソニック
2位に入ったのは昨年同様にアンダーアーマーです。3年連続トップ3入りしていますので、わたしの中では安定のアンダーアーマーという感覚ですが、今回のホバーソニックはかなり驚愕のランニングシューズです。
これを1位にするかどうかでかなり迷ったくらい完璧なランニングシューズです。このシューズをヒットさせられなかったらアンダーアーマーの営業さんはかなりつらい立場になってしまうかもしれません。
ホバーソニックもソール特徴がある1足ですが、クッション性を持たせながらも強い反発力を持たせています。ソールが反力を生み出すタイミングが絶妙で、アディダスのブーストやナイキのズームフライなどに負けないだけの推進力が生まれます。
シューズトライアルではかなり後半に履いたシューズですので、疲労も溜まっているタイミングでしたが、この日の最速スピードを出すことができました。
驚くべきことにこのシューズも12,000円(税抜)と、かなりリーズナブルな価格設定がされています。シューズのポテンシャルを考えれば16,000円くらいであってもおかしくありません。
わたしの懐具合に余裕があるなら、今シーズンの勝負シューズの最有力候補になるのですが、1位でないのは「このシューズで結果を出しても、シューズのおかげな気がする」からです。
シューズにサポートされて走る感覚がどうしても個人的には引っかかります。もちろんサポートするのがシューズの役割なのですが、これはちょっとズルい気がします。でもそれくらいスピードに乗れる1足なのは間違いありません。
1位 サルミング レース
今回初めて履くことになったサルミングのランニングシューズ。正直なところこの日履いた3足全てがトップ3入りでもおかしくありません。とにかく驚愕のランニングシューズが日本にやってきました。
サルミングはスウェーデンの総合スポーツブランドで、アイスホッケーやハンドボール、スカッシュなどの商品も扱っています。日本ではトレランシューズなどでも知っている人がいるかもしれません。
サルミングのランニングシューズは、全身を使ったナチュラルランニングを実現するために開発されました。その説明を知ったのは履いた後ですが、体の機能を使って走ろうとするわたしとの相性が良かったのかもしれません。
クッション性はほとんどありません。かなり硬いソールですので、フルマラソンを最後まで走りきれるかどうかも分かりませんが「これを履いて本気レースに挑んでみたい」そう思わせてくれた1足です。とにかくスピードが出ます。
このメーカーはこれから絶対に高い評価を受けることになります。ナイキのヴェイパーフライ4%とは正反対のコンセプトで作られたランニングシューズに感じますが、アプローチの仕方が違うだけで、かなり科学的に作られた感じもあります。
浮間舟渡に直営店があるとのことなので、何かの機会に取材も兼ねて行ってみたいところです。価格もレースで13,250円(税抜)でそこそこ嬉しい設定。ただしレースはアッパー素材の耐久性が低いとのこと。
走れても200kmくらいがいいところのように感じますので、ワンシーズンしか持たないかもしれません。
ソールが薄いシューズ、ソールが硬いシューズが好きだという人なら、満足してもらえる1足かと思いますので、気になる人はぜひホームページをチェックしてみてください。
サルミングランニング:http://www.salmingrunning-japan.com
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