第4回東西対抗東海道ウルトラマラソンレポート〜2日目〜

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寝覚めはいいほうだと思っている。毎朝5時に起床して5分後には走りに出るという生活。朝ランだけはどんな理由があっても続けている習慣だが、この日は5時起床が無理だった。

眠る前に食べた大盛りパスタが胃に負担をかけたのか、それとも113kmという距離に体が耐えられなくなったのか。それでも時間は刻々と刻まれている。西軍の出口くんはこの日の5時に京都三条大橋をスタートしている。

さすがに113kmを走れば、負けることはないと思ったが、それでもわたしは2日で137kmを走る必要がある。出口くんが2日でゴールするにしても、22時から23時くらいと読んでいるが、わたしが何時に到達できるかはまったく分からない。

寒さに耐えながら、三島のホテルを後にしたものの走れない。左足の土踏まずがかなり腫れていて、きちんとした着地ができていない。そもそも足にも力がなく、前日のような走りはできそうもない。

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この日は薩埵峠を超えなくてはいけないにも関わらず。

三島の町は会社員時代に9ヶ月くらい暮らしたことがある。ただ、この日はそれを懐かしむ余裕もない。幸い視界は良好で、物が二重に見えるということはない。

沼津宿に到着したのは、午前7時だったので1時間で5.9kmしか進めていない。このペースで10時間走っても59km。この日の制限時間は18時間あったが、スタートを1時間遅らせたから実質17時間。

このペースで止まらずに走れば、100.3kmという皮算用。ただ、そういう無駄な計算をするというのは、メンタル面でかなり弱っている証拠でもある。気持ち良く走れていた初日の前半は、距離など気にしていない。

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ただ、冷静な判断も必要になる。東西対抗東海道ウルトラマラソンで重要なのは「どこまで走るか」ということ。野宿をNGとしていて23時までには宿泊施設に入らなくてはいけない。

大きな街なら泊まれる場所はいくらでもあるが、山奥にある宿場町などで泊まることは無理。しかも、この日は大晦日ということもあり、ホテルの埋まり具合がまったく読めない。

そうなると頼れるのはネットカフェ。

わたしの頭の中にある旧型コンピュータがフル稼働して考える。そして導き出された解は3つ。70km先の静岡か、80km先の藤枝か、90km先の島田。

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わたしは常々、人間は1日60kmくらいなら毎日走れると言い続けている。だが、それ以上の距離は負担が多すぎて毎日になると難しくなる。それゆえに旅ランでは毎日60kmという制限をつけている。

そこから考えると70km先というのも、現実的な目標として考えづらいが70kmを走れないと、3日目に70km近く残ってしまうことになる。それはどうしても避けるべき。

とりあえずの目標を島田に設定した。遠くを見ることで、自分の中に眠っている可能性が開花することに賭けたのだ。出来る範囲内のことしかしないのがハダシスト流だが、そのやり方が東西対抗東海道ウルトラマラソンでは通用しない。

走りながら成長できる人にゴールにたどり着く権利が与えられるというのを、過去3回のレースで学んできた。

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とはいえ、まったく休みなしで走り続けて100キロ行けるかどうか。休まないというのは、それはそれで現実的ではない。何よりも足裏の痛みがひどくて、1キロ以上続けて歩くこともできないのだから。

それに合わせて、どうやら右足のアキレス腱に違和感がある。無理をしたら切れるのでは?そんな嫌な予感がするような鈍い痛みで、できるだけフラットな着地を心がける。

ただ、ここはまだ勝手知ったる場所。原宿、蒲原宿と順調に進み、由比宿の蕎麦屋で昼ごはん。蕎麦屋だが、年越しそばは夜にとっておくために桜えびかき揚げ丼をチョイスしたが、結果的にはこの日に年越しそばは食べれていない。

この時点で13時30分。スタートから7時間30分で約38キロ。

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ほとんど走れていない状態でこの距離は決して悪くはないが、これは頑張っていることを自慢するレースではない。レースである以上結果が全てであり、このままで行けば藤枝にたどり着くのが精一杯。

それも、ここまでと同じペースで進むことができればという条件付き。

ゆっくり休憩を取れたのが良かったのか、上り坂は足裏への負担が少ないからか、薩埵峠は思いのほか早く通過。曇っていて眺めるべき富士山がそこになかったというのも、ある意味運がいい。

由比宿から興津宿まで9.2kmとなっているが、峠を楽しめたのもありここは余裕で到達。ただし、そろそろ太陽の傾きが気になる時間帯に入る。江尻でのんびりなんて考えていたが、そんな余裕はまったくない。

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そのまま静岡方面へと向かい、残り5時間となったところでこの日の宿にする予定のネットカフェまで22km。Google Mapはかなり際どい到着時間を示している。

ただ、ここで止まったら前日までの苦労が水の泡になってしまう。

もはや完全に歩いている時間のほうが長くなっていたが、ここでもう1段ギアを入れる。せめて歩くよりもスピードを上げて距離を積み重ねていく覚悟。

計算上は10分も余裕がない。コンビニで補給をしていると10分くらいはあっという間に消耗する。そして1度休むと、動けるようになるまで時間がかかる。それでも補給がないと走り切ることはできない。

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様々な状況の中で最適な判断が求められる。こういうのは嫌いではない。

そして、岡谷宿を抜けてあとは藤枝に向かうだけ。ここは毎回長く感じる場所だが、今回は真夜中だったのもありさらに長く感じている。通過する家から聞こえてくる紅白歌合戦。

あぁそういえば大晦日だった。

この時点で蕎麦は完全に諦めることに。ネットカフェなら食事があるので、それをお腹に入れておけばいい。なんて寂しい大晦日だろうと思ったが、家にいても仕事をしているだけだからそう変わるものでもない。

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最後の最後に道をロストしかけたが、22時45分に藤枝宿先にあるネットカフェに到達した。まさかネットカフェで年越しをするとは思っていなかったが、屋根があるだけありがたいというもの。

そして気になる西軍の出口くんは120kmを走り、早めに宿に入ったとのこと。本気で2日ゴールを狙っているのが伝わってくるが、わたしに今できるのは少しでも休むことだけ。

この日はシャワーも浴びずに、そのまま眠りにつくことにした。


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著者:川口 雄一
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