湘南国際マラソンがマイボトル携帯が必須になった件について

RUNNING STREET 365で次回の湘南国際マラソンがマイボトル必須になったことを紹介しましたが、思ったほどアクセス数が伸びていません。個人的にはかなり楽しみにしているのですが、そういえば発表会会場も、とても熱を帯びているとは言えない雰囲気でした。

わたしの勘違いかなと思いましたが、どうやらか勘違いではなく、多くのランナーがマイボトル必須になったことをポジティブには考えていないようで、むしろ「また余計なことを」みたいに捉えている、もしくはまったく無関心なのかもしれません。

目次

これからマイボトル・マイカップ対応の大会は増える

わたしは裸足でフルマラソンを走るときに、基本的には最後尾スタートをしています。ゆっくり走るので周りのランナーにじゃまにならないようにと考えてのことですが、最後尾スタートをするとエイドで地面に散らばっている紙コップが気になります。

きっとランナー1人ひとりは、自分だけが地面に捨ててもどうってことないと思っているのでしょうが、その数が数万人になると、黒いはずのアスファルトが雪でも降ったかのように紙コップで真っ白になります。「ゴミ箱に入れられなかった」「ゴミ箱が遠かった」言い訳はいろいろあるでしょう。

でも、その気になればゴミ箱に入れることは可能です。ほとんどのランナーが、紙コップをゴミ箱に入れることよりも、数秒速く走ることを選んだだけです。

湘南国際マラソンがマイボトルの携帯が必須になったことも、そういうランナーにしてみれば、面倒なことでしかないのでしょう。自分たちがどれくらいのペットボトルや使い捨てカップを消費しているかなんて考えたこともなく、マラソン大会にエコを持ち込む意味も感じない。

「こっちはお金を払っているのだ」と言う人もいるのでしょう。

だからどうした?

わたしたちは別に紙コップを地面に捨てる権利にお金を払っているわけでもなく、地球環境を悪化させる権利を買っているわけでもありません。少なくとも2020年以降はマラソンもエコであることを求められ、マイボトルやマイカップ携帯を必須にする大会が増えていきます。

湘南国際マラソンを走ることの誇り

湘南国際マラソンでは400mlの水をマイボトルに満たしてスタートラインに立つことが競技規則に加えられます。拒否権はありません。それに同意できないなら参加をするなという話ですが、おそらくかなりの反発がでる気がしています。

RUNNETの評価が荒れる未来しか見えません。そうならないようにメディアが盛り上げなくてはいけないのですが、そのことを理解しているメディアも少なく、ただマイカップの大会になるという事実だけを語っているのがほとんどです。

大会運営側はマイボトルにしたことで、ランナーに「これも面白いよね」「思ったよりもよかった」という声をもらうために工夫が必要です。それは物質的なメリットではなく、精神的なメリットのほうが効果的です。自分たちがやったことを誇れるように誘導する。

そのひとつが災害発生時の水の供給です。湘南国際マラソンで使うための水を企業が貯蓄しておき、何かあったときにすぐに湘南地区のエリアで提供できるようになっています。何事もなければ湘南国際マラソンの給水ポイントの水として使われます。

水を提供する業者は、確実に湘南国際マラソンが買い取ってくれるとわかっているので備蓄しておいても無駄になりません。湘南国際マラソンに参加するということは、そういうエリア防災に協力することになります。わたしはこれをランナーとしての誇りのようなものだと思うのですが、響いている人はかなり少ないという現実。

タイムが落ちたからどうしたというのだ

スタートで400mlの水分を持ち、そして常にボトルを携帯しなくてはいけないのでポーチなども必要になります。タイムだけを追う人にとっては、ひとつもメリットに感じないでしょう。RUNNING STREET 365にも書きましたが、きっとスタート直後(もしくは整列時)に水を捨てる人も出てくるはずです。

トレランの大会でも、トップランナーの一部でそういうことをする人もいるそうです。湘南国際マラソンでも必ず問題になります。でも、それで速く走ったところで、湘南国際マラソンを本当の意味で勝ったと言えるのか。自己ベスト更新をしたところで、それに意味があるのか。

多くのランナーにとって走る目的は、タイムを少しでも縮めることなのでしょう。だからそれに逆行する形での大会開催をどう受け入れていいのかわからないのかもしれません。もしかしたら「そんな規則があるなら湘南国際マラソンには出ない」という人もいるはずです。

でも、タイムが落ちたからどうだというのでしょう?別にタイムが落ちても自分が衰えたわけでないなら、何も問題ないはずです。他の大会との比較がしづらくなりますが、そもそもコースやコンディションが違う大会での結果と比較することに意味がありません。

湘南国際マラソンはマイボトルを携帯しなくてはいけない大会で、それは今後も継続されることなのですから、湘南国際マラソンを走り続けて、そこで過去の自分と比較すればいいだけのことです。2021年に出したタイムをベースに、そこを超えられるように鍛える。それでいいはずです。

マラソン大会の変化を楽しもうじゃないか

湘南国際マラソンの舵切りは、新型コロナウイルスの影響を受けた部分もあれば、そうでない部分もあります。ただ、はっきりしているのはすべてのマラソン大会が2020年よりも前の状態に戻ることはないということです。

新型コロナウイルスが収束しないなら沿道の声援も認められず、エイドが密にならないようにと考えたとき、これまでのようにボランティアスタッフが人海戦術で給水するなんてことができなくなります。そもそもボランティアスタッフも集まりません。

スタートだってウェーブスタートになるでしょうし、とはいえ道路を封鎖するわけですから制限時間をいくらでも伸ばせるわけでもありません。そうなると、募集人数が半分くらいにまで減ってしまうかもしれません。そうなるとスポンサーもお金を出しにくくなります。

どうしたって、マラソン大会が大きく変わります。新型コロナウイルスが収束すれば話は別ですが、現状ではwithコロナの状態が数年は続く可能性があります。そういう時代にあった大会のスタイルになるわけで、マイボトルというのはその変化のひとつに過ぎません。

だったら、変化していくことを楽しむほうが健全です。安全な場所から批判ばかり繰り返すよりも、運営者の想いに寄り添ってみる。もちろん最初からうまくいくわけがありません。マイボトル携帯が必須だとして、何万人も参加者がいれば、数名はレース中に落としてなくしてしまいます。

そういうときの救済措置があるのか。先程伝えたスタート直後に水を捨てる行為は認められるのか。やってみないと見えてこないトラブルだって発生します。でも、それも含めて楽しめばいい。10年後に「あのときは大変だった」と笑い話にすればいいんです。

まとめ

第15回湘南国際マラソンにはマラソンの未来がかかっていると言っても過言ではありません。ここでの成功が、他のマラソン大会再開に向けての足がかりになります。だから参加するランナーも、とにかく前向きに新しい取り組みに協力して、世界初の試みを楽しんでみる。

もちろん実際に参加してみて、悪かった部分はどんどん挙げる必要があります。でも愛を持って提案するというスタイルが好ましい。「全然ダメ」ってなると、他の大会が二の足を踏んでしまいますから。「いろいろあるけど、この変化は好意的に受け取る」のスタンスで盛り上げれば、マラソンの未来が開けます。

少なくとも走る前から「余計なことを」なんて言わずに、まずはこのお祭りを楽しむくらいのノリで、湘南国際マラソンに注目してもらえればと思います。いや注目してください。マラソンの未来はそこにかかっているわけですから。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次