大阪国際女子マラソンの大会記録更新は違うだろうと思う

昨日開催された大阪国際女子マラソンは、正確には「女子マラソン」ではなかったのだとか。私はてっきり川内優輝さんらは、ペースランナーという役割を持った選手だと思っていたのですが、よくよく考えればおかしな話で、それを成立させるには、大阪国際女子マラソンを男女混合レースにして、男子ペースランナーを1人の参加者にする必要があったわけです。

別にそのことをとやかく言うつもりもなく、これから日本の女子が世界で勝つためには、そういう取り組みも必要だという判断なのでしょう。川内選手はゴールをしたということなので、大阪国際女子マラソン男子の部、初代チャンピオンということになります(岩田選手が1位かもしれませんが)。

今回は急遽、周回コースとなったとのことですが、トップアスリートが走る大会として、コロナ禍が落ち着かなければ、これがニューノーマルになる可能性はあります。世界大会でもオリンピックでもマラソンが周回コースになることは珍しくありません。15周というのは珍しいですが。

公園内を立入禁止にすれば観客はゼロにできますし、ボランティアスタッフも減らせます。道路を封鎖することによる批判もありません。コースはほぼフラットにできるので当然記録を狙えます(長居公園はカーブがきつい気がしますが)。昨今の高速化にも適しています。

今回は駆け引きがありませんでしたが、トップアスリートが周回コースで駆け引きをすると、かなり面白いレース展開にもなります。周回コースってどうだろうと思っていましたが、そう悪いものでもありません。ついつい「あと1周」と見てしまいますし(仕事がまったく捗らず)。

ただ、このスタイルで出たタイムに対して、「大会新記録です」を連呼するのはどうなのでしょう。まったく違うコースで、女子単独レースが男女混合レースになってペースランナーがいる。その記録とロードを走った過去の記録と比較することに何の意味があるのでしょう。

今回のテレビ中継ほど「過保護」という言葉がしっくりくる大会はありません。ペースランナーがいて、コースはほぼフラット。そしてこの数年でランニングシューズが大きく変わり、どの大会でも大幅な記録更新が行われている状況で、完全にお膳立てされていて、それだけでも過保護なのに、日本記録には遠く及ばなくても「だらしがない」とは誰も言わない。

別に一山選手がだらしがないとは思わないですし、ベストは尽くしたのでしょう。でも、今回のような結果だった場合に、誰も責められないのは気持ち悪いものです。繰り返しますが一山選手を非難しているわけではなく、そもそも日本記録更新煽りは必要だったのかと思ったわけです。

解説メンバーは示し合わせたように、ランナーをひたすら褒め続ける。日本記録更新が難しくなっても「まだ行ける」と言い、2時間20分切りが難しくなっても「まだ行ける」と言い続ける。そして最終的に「大阪国際女子マラソン大会記録更新」と来たわけです。

しまいには瀬古さんまで「責めないでください」と言い出す始末。何か示し合わせていたことがあったのでしょう。誰かから指示されていたのか、それともあのメンバーで話し合って決めたのかはわかりません。はっきりしたのは、厳しいことを言える人が陸上界にはいないという現実です。

煙たがられても厳しいことを言える人が組織には必要で、それが瀬古さんだった時代もありましたが、どうやら牙は完全に丸くなったようで、比較的辛口の評価をする川内選手も今回は立場上、そんなことは口にできないわけです。これで世界と戦えるのか。まぁ戦うのは私ではないので構いませんが。

ただ、アスリートに忖度をして下手な持ち上げ方はしないほうがいい。きっと本人は苦しむことになるから。煙たがられても誰かが現実を語ったほうがいい。私は煙たがられるのが嫌なので言いませんけど。影響力もありませんし。ただひと言「これを大会記録更新とは思わない」とだけ言わせてもらえれば。

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