東京マラソン2021の「手荷物預かりなし」への不安と不満

東京マラソン2021のエントリーが始まりました。東京マラソンにそれほど魅力を感じているわけではないので、私は申込みしませんが、募集要項を読んでいると気になる点がいくつかありました。コロナ対策をしっかりと考えた結果かもしれませんが、冷静に考えれば二の足を踏む内容です。

どのような点に不安を感じ、どのような点に不満があるのか。私なりの考え方をまとめてみました。

目次

東京マラソン2021に参加するための条件

どのような点が気になったのかリストアップしていきます。

  • 手荷物預かりなし
  • 更衣可能な場所はフィニッシュエリア付近の屋外のみ
  • 新型コロナウイルス感染症対策費を別途負担する場合がある
  • アプリで体調管理や本人確認を行う
  • ランナー全員に主催者が指定する検査を実施する場合がある

手荷物預かりなしに関しては、後ほど詳しく書いていきますが、「新型コロナウイルス感染症対策費がかかるかもしれないけど、後からお願いするね」というのはかなり無理があります。規約に書いているので、必要になったら払わなくてはいけませんが、金額が記載されていないので「検査に5万円必要です」と言われる可能性があります。

アプリで体調管理や本人確認を行うは理解できますが、正しく記載する人なんていないでしょう。スマホと体温計が連動しているならともかく。だからどうでもいいじゃないかと思うかもしれませんが、これはスマホを持っていないと参加できないということになります。私たち世代ならまだいいとして、スマホを持っていない年配のランナーもいるはずです。

ちなみにコンビニ払いもなくなったので、基本的にはクレジットカード払いになります。おそらくデビットカードが対応できるとは思いますが、クレジットカードを持っていない人は走れません。マイノリティを少しずつ排除する形になっているのは、税金を使って開催される大会として正しいことなのか。

そして検査をする可能性があるというのも面倒な話です。これが新型コロナウイルス感染症対策費と絡んでくるのでしょうが、おそらく検査費は自分負担になるはずです。2.5万人に3,000円の検査をしたとして7,500万円もかかりますので、それを大会事務局が負担するとは思えません。

荷物預かりのないマラソン大会に意味があるのだろうか

私は万里の長城マラソンを始めとしたランイベントをいくつか運営側の立場で行っていますが、いつも気にするのは荷物預かりをどうするかということです。何をするにしてもこれに関しては神経を使います。今週末のしまなみ海道ランも母にサポートカーを出してもらい、荷物を預かれるようにしました。

それはお前の勝手だろうと思うかもしれませんが、荷物を預からないマラソン大会ってどうなんだろうと疑問に感じている人は他にもいるはずです。対処方法はいくらでもあります。近いうちにRUNNING STREET 365でもネタにしようかなと思っていますが、対処できることと荷物を預からないというのは別次元の問題です。

遠方からやってきて走る人もいますし、当日が大雨だったらどうでしょう。傘を持って走るのか、それともびしょ濡れの合羽で電車に乗り込むのか。ランニングシューズで会場入りする必要もあります。ヴェイパーフライみたいな歩きにくいシューズで会場入りするのは賢明な判断とは思えません。

「荷物を持って走ればいい」きっと会議でそう言った人がいたのでしょう。マラソンってそういう競技でしたっけ?サポートしてくれる人がいれば、スタート会場に入る前に友人などに預けて、ゴールしてから返してもらうこともできます。それが出来ない人は荷物を持って走るか、走る格好で家やホテルを出て、その格好で戻るわけです。

それって普通の感覚でおかしいと思うのですが、コロナ対策だと言われれば代案も出せないので、仕方ないとうけいれるしかないのですが。

説明をしないというところに不誠実さを感じる

荷物預かりがないのはボランティアスタッフの安全を守るため。荷物預かりの混雑を避けるため。いろいろ理由はあるのだと思います。それはもう仕方のないことです。でも、きちんと説明しないところに傲慢さを感じます。「こういう理由で荷物預かりができません」と説明し、対処方法を示す。

説明もないし、対処方法も自分で考えなさいとする。とても、かつてのランナーを最優先していた東京マラソンとは思えない対応に、なんとも言えない気持ちにさせられます。こんなことをしていたらマラソン人気が下がっていくだけです。説明がないというのは上記で挙げた他の条件も同じです。

実はこの説明がないというスタンスは、少し前から気にはなっていました。ゴールしてからの動線がまったく読み取れない案内図を配ったこともあります。どこかのタイミングで司令塔を失ったのかなと思っていますが、これは推測でしかないので深堀りしないでおきましょう。ただ不誠実さや傲慢さが年々増しているように感じます。

みんなで作るマラソン大会だったのが、いつの間にか「走らせてやる」みたいなスタンスになっていてます。実際のところそういう感覚になっているのでしょう。特にこのような状況で開催することに、「開催できるだけありがたいと思え」というような思いが込められているように感じるのは私だけでしょうか。

国立競技場をスタート&ゴールにすれば丸く収まる

結局のところ、東京マラソンがワンウェイコースだから面倒なわけで、スタートとゴールを同じにすればいいんです。国立競技場のキャパは48,000人ですので、席を1つずつ開けて荷物置きにすれば24,000人分の荷物を置けます。席の配置によってはそれ以上置けるかもしれません。

そこに各自が荷物を置けばボランティアに負担がかかりません。東京マラソンのためにわざわざ国立競技場を使うのが正しいかどうかはわかりません。そもそも使える状況にあるのかどうかも。でも、スタートとゴールを同じ場所にするというのは、それほど無理な話ではありません。

でも都庁スタートで二重橋ゴールにこだわった。何とかして24,000人分の荷物を預かる方法を考えるのではなく、荷物を預からないとしたほうが運営側にしてみれば楽なわけです。「嫌なら走らなければいい」というスタンスで通しても、定員割れするようなことがありませんから。

でも人気というのはこういうところから削がれていきます。そう考えるとマラソン人気を下げたい人がいて、わざとやっているのではないかとすら思えます。でも、やっぱりランナーは東京マラソンというだけでエントリーするのでしょう。熱しやすく冷めやすい国民性だから、どこまで続くかわかりませんが。

まとめ

東京マラソン2021が開催されれば、とても嬉しいことではありますが、個人的にはこの条件ではエントリーする気が起きません。追加でどれくらいの費用を請求されるかも分からず、マイノリティを排除することを厭わないスタンスで、そして誠意も感じられない。そういう運営がランナーに歓びを与えられるとは思えません。

ただ楽しみにしている人もいるでしょうし、こんな条件でも何も問題ないという人のほうが多いとは思います。でも、荷物を背負ってまで走りたいですかね?1.6万円もあれば東京から小田原まで走り、いい温泉に泊まって帰ってこれます。そっちのほうが楽しそうだと思うのは、きっと異端なんだということはわかっています。

開催されて欲しいけど、これは私が望んでいたマラソン大会じゃないなというのが本音で、それを言いたいがためにあれこれ愚痴を書いてしまいました。でも賢い人たちが考えた結果がこれなのですから、きっとしばらくはこれがマラソン大会のスタンダードなのでしょう。だったら私は旅ランでいいかな。

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