参加者が集まらなくなったマラソン大会【マラソン大会の存在意義】

  • 2021.05.20
  • (更新日:2021.05.19)
  • RUNNING
参加者が集まらなくなったマラソン大会【マラソン大会の存在意義】

水戸黄門漫遊マラソンの参加枠が埋まりません。富士登山競走は「一次抽選を行いましたが、定員に達しなかったため二次抽選を行います」とのこと。いずれも人気のマラソン大会であり、富士登山競走にいたっては出場することが難しいはずなのに、原則返金しないという大会側の方針もあり二次抽選も怪しいところ。

富士登山競走は7月16日開催ですが、「7月1日時点で日本のいずれかの地域で緊急事態宣言が発令」されている場合には中止となります。さらに山梨県からイベント開催の自粛が指示されている場合や、山梨県で診療体制がひっ迫している状態にある場合も中止となります。

オリンピックの時期と重なるので、もしオリンピック開催となるなら政府は強引に緊急事態宣言を解除してそうですが、例えば沖縄など東京から遠く離れた場所では緊急事態宣言を出す可能性はあります。そうなると富士登山競走は中止になり、参加費は返ってこないことになります。

1年前は大会を走りたい。大会を応援したいという気持ちで「開催する」とした大会に、参加者が集まる流れもありましたが、こうなるとランナーは疑心暗鬼。むしろ開催できない条件が明確になっていて返金もない富士登山競走のような大会は、どうしたって敬遠されます。

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でも敬遠されているのは富士登山競走だけでなく、水戸黄門漫遊マラソンもです。水戸黄門漫遊マラソンは中止された場合に、手数料を差し引いた金額をRUNNETのポイントで返金するとしています。今後マラソン大会が開催されるなら、そのポイントを使える(最大で3年間の有効期限)ので条件として悪くありません。それでも埋まらないわけです。

東京マラソンはさすがに定員割れということはありませんでしたが、どの大会も低調なのではないかということが容易に想像つきます。参加費が戻ってくる、戻ってこないで揉めたのもありますし、1年前に立て続けにマラソン大会が中止や延期になったのも影響しているのでしょう。みんな秋大会が開催されるか半信半疑。

そして何よりも、多くのランナーが「マラソン大会にこだわる必要ななくなったんじゃない?」という思考になっていることが影響している気がします。そもそも練習量が減っている人が多く、人によってはまったく走っていなかったりします。新しく走り始めた人は、健康のために走っているので、最初からマラソン大会なんて頭にありません。

マラソン大会は継続してほしいけど「今じゃなくてもいいのでは?」という人もいますよね。ほとんどの人がワクチンを接種して、マスクの必要ない生活に戻るまで、別に急いで募集しなくてもいいというのが本音でしょう。1年間もマラソン大会がなかったら、もう1〜2年程度走れなくても変わらないというわけです。

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一方で日本陸連はお金がないから開催したい(私の推測ですが)。マラソン大会は日本陸連にとって大事な収入源のひとつです。それが開催されないうえに、スポンサーもお金がないので支援額が減っているかもしれません。スポンサーでもあるスポーツメーカーからも「何とか開催して欲しい」と要望も受けているのでしょう。

陸上競技活動再開のガイダンスが昨年、日本陸連から出されていますが、この中に「店舗営業自粛の解除」があります。このため、少なくとも今の段階ではマラソン大会は開催できません。秋には改善されている可能性がありますが、それは期待する未来であって、確実な未来ではありません。

こうなってくると、そもそもマラソン大会とは何のために開催されるのか、その存在意義から議論する必要があるような気がします。例えば日本陸連や自治体、トップアスリート、市民ランナー、メーカーなどの代表が公開で討論をする。意見がまとまらなくてもいいんです。議論を交わすことが大切です。

そうすることで討論を見たランナーは「自分は1人ではない」という気持ちになれますし、何よりもマラソン大会に対して自分なりの考え方を持ってくれるようになります。今は「無関心」に近い状態にあり、この先の未来は決して明るくありません。それをいかにして食い止めるか。そろそろマラソン業界全体でなんとかしなくてはいけない気がします。

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