川を走る大会が長野にあると聞いてエントリーした『第19回信州爆水RUN in 依田川』、前日にブログで過去の大会を検索したら出てくるのは「聞いてないよぉ〜」な内容ばかり。過去の参戦記を書く人のほぼ100%が負傷しているじゃないですか……。なかには溺れかけた、いやリアルに溺れたとかそういう話が次々に出てくるわけです。もしかして、これはゆるい大会なのにものすごく危ない大会なのではという疑惑を抱いての長野入り。
佐
久平の健康プラザで仮眠して、向かった会場は最初のイメージ通りのゆるい感じの大会。でろ祭と重なる部分が多々あり、居心地のよい感じがする。もっともそのでろ祭りも緩くてハードな大会なわけで、同じ匂いがするということは……と疑惑は高まるばかりである。
しかし、この爆水ランの緩さは半端ではない。応援に駆けつけた上田のアイドルPage01のリハーサル音が会場に大音量で流れている。しかもグダグダな感じが満載で、おそらく参加者の緊張を解くための作戦だったのかもしれない。同じく会場に駆けつけた信州のゆるキャラ、アルクマくんとイメージキャラクターのガッツRUN吉くんがまたゆるい空気を作り出すわけです。
ところが、スタートの号砲とともにその緩さは厳しさへと180度転換されました。まずトップ争いに向けての猛ダッシュが始まります。今回参加した4人のRUNツバッ!メンバーのうち2人はその争いに突っ込み好スタート。わたしは撮影をしてからのんびりスタートしていたら、気がつけば最後方……完全に置いていかれます。でも、今回はのんびりマイペースということでとりあえずはもう一人のRUNツバッ!メンバーと走り始めました。
まず川に入って、想定外だったのが川の中にある石のサイズと滑り具合。ソフトボールぐらいのサイズの丸い石がごろごろあって、とにかく滑るわけです。こういうのはビビったら負けです。腰が引けたらよけいにバランスを崩して転びやすくなる。骨盤をしっかり立てて、石の上をわざと滑りながら走ればOK。でも、これをうまく言葉に出来ないので、一緒のメンバーにうまくアドバイスできないわけです。
そうこうしているうちに、川底が深く流れの速いところに到達。さすがにちょっと身の危険を感じました。川の流れをなめてはいけない。下りはまだいいけど、そこを上ったり横切ったりするときはかなりの力を必要とする感じです。周りを見ると体の小さい女の人や、男女問わず線の細い人が苦労しています。いや、苦労というか完全に身動きが取れなくなっています。これはまずいと思い、途中からサポートに徹することにしました。
近くにいる人たちで手をつないで流されないようにしたり、流されてきた人を支えたり。みんなでゴールを目指して爆水ランをします。1人では進めないような流れも大勢でならなんとか乗り切れる。初めましての人も加えて即席のチームができあがりました。こういうことができる大会は素晴らしい。
ただ、素晴らしくなかったのがわたしのサポート。結論からいえば途中で時間切れリタイアです。関門に5分足りませんでした。サポートした人たちからは「ごめんね」と言われたけど、本当にごめんねを言うべきはこちらのほう。サポートをするならちゃんとゴールできるまでサポートしなきゃいけない。楽しさばかり優先させてしまって、無理をさせてでも前に進ませなければいけなかった。
わたしに足りないもの、それは集団の統率力。知っているし、むしろそういうものを不要と思っていた。でも、実際にこういう立場になって統率力のなさを感じると、このままではいけないと強く感じる。わたしは誰かができなかったことを「仕方ない」とか「そういうこともある」なんて言うけど、集団を統率するなら「できないじゃなくて、やるんだ」と叱咤激励する姿勢も必要。それができないわたしはちょっと走れるランナーであるかもしれないけど、決して強いランナーじゃないのだと痛感しました。
だから悔しい。本当に悔しい。リタイアしたことよりもゴールまで導けなかったことが。
自分ひとりのゴールなんてそんなに難しくない。だから、この爆水ランにはそれを求めないことにした。来年は絶対に一人でも多くの人をゴールに導きけるようになりたい。そしてわたしも一緒にゴールをしたい。そのために何が必要なのかしっかり考え実践しようと思う。悔しい思いは1回で十分だ。マラソン人生初のリタイアはわたしにマラソンの違う顔をみせてくれました。マラソンは本当に奥深い。そして、悔しいながらも本当に楽しい時間を過ごせた『信州爆水RUN in 依田川』。毎年参加するのが楽しみな大会がまたひとつ増えました。
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