数日前にヤフーニュースなどでも取り上げられましたように、RUNNETを運営しているアールビーズをアシックスと日本テレビが共同で買収するとのこと。詳細については何も知りませんが、これはちょっと大事になるのではないかと思って、自分なりに考察してみました。
先に書いておきますが、これは私個人の客観的な考察であり、実際にどうなるかはわかりません。ですので、いつもどおり「また何か言っている」くらいの気持ちで読んでもらえればと思います。間違っても内容を真に受けないようにご注意ください。
アールビーズの事業内容
まずは、アールビーズがそもそもどのような仕事をしているのかをリストアップしていきます。RUNNETは知っていても、他の事業について知らないという人もいるかもしれませんので、おさらいの意味も込めて。
- ランナーズの出版
- マラソン大会の運営
- マラソン大会の計測事業
- ランニングポータルサイト「RUNNET」の運営
- GPSトレーニングアプリTATTA
- ウエアやアクセサリーの企画販売
この他にもいろいろありますが、大きいのはランナーズの出版、マラソン大会の運営サポート、RUNNETの運営といったところでしょうか。アシックスの傘下に入ったとしても、業務内容はそれほど変わらないかと思います。ランナーズの構成は変わる気がしますが、それは後ほど詳しく。
アールビーズはこれだけマラソンに依存していたわけで、おそらくコロナ禍でマラソン大会がなくなったことで業績が大幅に落ちたのでしょう。ただアールビーズがなくなると、日本のマラソン業界自体が大きな損失をこうむることになり、絶対に継続してもらわなくてはいけないというのがマラソン業界の相違。
じゃあ利益が出ないのにどうすればいいのかということで、大企業が買収という形を取ることになったのでしょう。創業者も高齢ですし、今このタイミングがベストと判断したのかもしれません。
アシックスの競合がどう動くのか不透明
ここで難しいのが、ランナーズもマラソン大会の運営サポートも、RUNNETもアシックスの傘下に入るということです。これを他のランニングブランドがどう考えるか。アディダスがスポンサーになっている大会の運営をアールビーズが請負うことを、アディダスは認めるのか。
アシックスが出版しているランニング雑誌に、ナイキが広告を出すのか。これに関しては、数年は「現状維持」という約束を取付けている可能性があります。どのメーカーも、少なくともRUNNETがなくなると困るわけで、ここは呉越同舟で乗り切ろうと話が付いている。
ただ、その約束の期限を過ぎたらどうなるかはわかりません。これでアシックスばかり優遇するような運営をしたら、どのメーカーもアールビーズを利用しなくなります。かといってアシックスも優遇されなければ、買収した意味がありません。
「独立性・独自性を維持する」これは言葉にするのは簡単ですが、アールビーズがアシックスの傘下に入って、独立性や独自性を維持できるのか、そしてそれをどうやって証明するのかという大きな問題が発生します。疑おうと思えばいくらでも疑えて、ここはもう信義の問題になり、いずれ破綻することになります。
5〜10年かけてリセットされていくのではないか
仮に呉越同舟で話が付いているとしても、各スポーツブランドとしては心穏やかではありません。たとえばRUNNETの大会評価で、アシックス以外のメーカーがスポンサーになっている大会の評価が下がったら、アシックスの圧力があったのでは?と考えてもおかしくありません。
そういう状態になることはどのメーカーもわかっていることなので、これからはRUNNETを使わないエントリー方法を検討する大会が増えていくはずです。直接申し込みができたり、スポーツエントリーやローソンを使ったりするケースが間違いなく増えます。
ランナーズにも広告を出さなくなるケースも考えられます。最初は継続していくのでしょうが、少しでも疑心暗鬼になるような記事の取り扱いになったり、いわれなきネガティブな評価をするような記事が掲載されたら、「もう広告を出さない」となるわけです。
そうなると、ランニングマガジン・クリールに流れていく可能性があります。もしくは、各ランニングブランドが自社メディアを発行するか。それはもうどのブランドもやっていますが、広告を出す時代がここで完全に終わってしまう気がします。
5〜10年かけて、今の状態がリセットされる。これが私の予想です。ただ、アシックスの傘下に入っても、何も変わらない未来も考えられます。変えないことが大事だとアシックスが判断する可能性はゼロではありません。
ただ、ランナーズにしてもRUNNETにしても、アシックスを持ち上げるような記事は、読者に提灯記事だと捉えられてしまう可能性もあるわけです。そんなことはアシックスの人たちも重々承知でしょうから、これからどういう動きになるのか、注目してみようと思います。
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