北京マラソンを走って帰国後にどうしても伝えておきたいこと

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北京から戻ってきました。旅行記を今日から楽しく書くつもりだったのですが、帰国してから日本での北京マラソンの報道を見て愕然とし、先に伝えるべき大切なことがあるように感じました。報道にあるように1km先の建物が見えるか見えないかというようなひどい空気でした。地元の人もランナーでない人は「走らないほうがいい」と言っています。でも、ほとんどのランナーにとって「開催して欲しくない」わけではありませんでしたし、参加したランナーはこの日を楽しみに待ち、それぞれに思いを持ってゴールを目指しました。

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報道のほどんどが、「PM2.5のせいで参加を見合わせた人や途中棄権した人がいた」ということと「マスクをしながら走っている人がいた」というものです。

参加を見合わせた人は前日の大会側からの告知などで自主的に判断したので確かにPM2.5のせいかもしれません。でも途中棄権した人は本当にPM2.5のせいだったのでしょうか。快晴だったらその人たちは全員完走出来たのでしょうか。あるランナーが棄権する理由にPM2.5をあげただけで、それでは本当にPM2.5が理由で棄権した人が何人いたのでしょう。1000人も2000人もいたのでしょうか?それは過去の大会と比べて圧倒的に多かったのでしょうか。きちんとした数字による根拠もなくただ感覚で記事を書くのならわたしでも報道記者になれます。

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もうひとつマスクをしているランナーについていろいろとコメントしている人がいます。実際にマスクをしている人もいました。全体の数%といたっところでしょうか。そのなかでも軍事用の本格的なマスクを着用している人の写真が出回っていて、そんなにひどいのかという印象を与えているように感じました。冷静に考えてください。軍事用のマスクは冗談というかPM2.5を逆手に取ったコスプレですよ。それをみて「そこまでして走りたいか」と言うのは逆に愚かとしか思えません。上の写真の中から何人、マスクしている人を見つけられますか?

別にいいんですよ。実際に北京で北京マラソンを見た人、実際に北京マラソンを走った人がひどい大会だったと言うのは、その人の自由です。でも偏向された報道を鵜呑みにして、中国を陥れるような発言をすることはどうでしょう。まず報道にどんな意図があったのかは知らないし、淡々と書いているようで明らかに悪意を感じる。これはずっと前から感じています。日本のPM2.5の報道は明らかに行き過ぎている。「大気汚染にも負けず、笑顔で走るランナーたち」っていう視点でも記事は書けるわけじゃないですか。でもそんな記事はどこにも見当たらない。

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現地の人でも考え方はいろいろあるけど、PM2.5なんていうのは感覚的に天気のひとつみたいなものです。晴れ、雨、曇、雪そしてPM2.5。実際は体に悪いものだし人工的なものだから分けて考えるべきでしょうが、そこで暮らすと感覚はそうなります。一緒に会場に向かった北京のランナーは「もう慣れたよ」と言っていました。そう、別に彼らは命がけでマラソンをしているわけじゃないんです。年に一度の楽しみとして待ちに待った北京マラソンを走りたいだけなんです。ちょっと天気が悪いけど楽しみにしてたのだから走ろうかな、そんな感覚です。

そりゃ批判も出てますよ。でも東京マラソンが大雪で開催されたら批判する人がいると思います。逆に大雪で開催を取りやめても批判する人がいると思います。北京マラソンも同じです。PM2.5で中止になったらそれはそれで批判の声が出るでしょう。そして報道は「北京マラソンPM2.5で中止に批判の声」って書くわけです。叩きたい、いやバカにしたいだけなんですよ、中国を。それで自分たちが優れていると思い込みたいだけ。30年前の排気ガスにまみれた自国の歴史をなかったかのようにして。

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好きで走っているんです。みんな大気が汚れているのを承知で走っているんです。いいじゃないですかそれで。もうこれ以上、中国を偏った目で見るのはやめませんか。日本人が中国人よりも優れているだなんて思い上がりです。長い歴史の中でいまはたまたま日本がいろいろな面で優位に立っている部分が目につくだけ。いや、そもそも優劣をつけることがおかしい。どちらの国民もそれぞれを尊重し合うことが大切です。今回のような偏った報道とそれに同調して中国を中国人を非難するようなことが今後少しずつでも減っていくことを願っています。

 

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