『第1回 いしのまき復興マラソン』運営は拙くとも彼らの情熱は本物である

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震災後、その地を自分の目に焼き付けておこうと訪れた石巻。そのときはまさか自分が石巻の町を駆け抜けることになるだなんて考えもしませんでした。

『第1回 いしのまき復興マラソン』

あれからの数年の期間を経て開催された復興をテーマとしたマラソン大会。そこで感じたことをほんの少しでも伝えておきましょう。

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いしのまき復興マラソンは先日のウォーキングの部から始まり、昨日が2kmと5kmで今日が10kmとハーフマラソン。どうしてこの形になったのかはわかりませんが、とりあえずわたしはこの土日の両日とも参加することにしました。

もし来年も同じようであれば、土曜日は5kmも2kmも走ることでしょう。

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はっきり言っていしのまき復興マラソンの運営は拙い。

とにかくまずはやってみようという思いで開催したことが伝わってきます。エントリー当初は受付は前日までに受付することになっていました。この場合、地元の人たち以外、土曜日の種目への参加はほぼ不可能になります。

わたしは自分の勘違いで土曜日もエントリーしましたが、きちんと理解していれば土曜日のエントリーはしていませんでした。

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結果的には郵送での受付も可能になったのですが、一事が万事で運営側の「想像力不足」はいたるところに感じています。ただ、そこに嫌な感じはありません。

例えば、会場の人の動線が完全にむちゃくちゃで不便なのですが、イラッとすることはありません。

こうすればいいのになと思うことは山ほどありますが、地元の人たちの一生懸命さのほうが圧倒的に上回っています。

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土曜日の5kmは裸足で走ることにしました。

先週のウルトラマラソンで足の甲と右膝を痛めていたのですが、走れないならスピードを出さなければいい。まずは6分/kmで入ります。周りの人たちと話をしながら走るような感じで。

右膝がNG信号を出すのですが、わたしは「その信号はそれほど緊急性はない」と脳へ返答し、むしろスピードをあげていきます。

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1周で30秒/kmずつスピードを上げてみる。河童をかぶっていることよりも裸足に対する驚きと声援をもらい、結局最後は4分/kmで走ることが出来ました。

最後尾からのスタートで25分台はそれほど悪くはない結果です。たぶん、万全なら裸足で19分台は簡単に出せる・・・はず。

来年は狙ってみよう。

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この日はほとんど、ちょっと大きな町内会のマラソン大会といった雰囲気です。

大雨と強風ではあったが、参加者それぞれがベストを尽くそうとする姿を見るのは刺激になります。1周1kmの周回コースなので、すべてのランナーとすれ違えるのがいい。そういう意味でわたしは周回コースが嫌いではありません。

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翌日の今日はいしのまき復興マラソンに、全国から1000人以上のランナーが集まって来ました。

ほとんどが宮城県のランナーですが、東京からも多くのランナーが石巻を訪れています。「復興」はまだ遠くとも、人々の心の中にはまだ風化されていないで残っているのでしょう。

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ハーフマラソンはラン仲間のサポートがメインでしたので、万全を期してシューズを履くつもり・・・が、前日の5kmではしゃぎすぎた影響で足の甲がさらに腫れています。

とてもランニングシューズなど履ける状態ではない。冷静に考えればそもそも走れる状況ですらないのかもしれない。そんなひどい状態でした。

でもわたしはスタートラインに並ぶことを選びました。

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マラソンはスタートラインに立たなければ何も始まらない。

そこから待ち受けているドラマと向き合うことすら出来ない。

わたしは頭のいいランナーではないので、いいことも悪いことも自分で感じておきたい衝動が強い。走れないにしても、とにかく行けることろまで行くのがわたしのやり方です。

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スタートして1kmで右膝の痛みが尋常でないことに気づきます。

練習だったら走るのを止めるレベルの痛み。

でも、仮設住宅を出て応援をしてくれる人たちの声援が背中を押してくれます。そして何よりもわたしの任務はラン仲間をゴールに導くこと。その目的にわたしの痛みなど関係ありません。

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痛みと闘いながら、仲間のペースを気にします。

人をゴールに導くのはあまり得意ではありません。

普段、制限時間や関門を気にして走ることはほとんどないですし、早く走れない人の感覚や心理もわたしは知りません。人をサポートするにはその人のあらゆる面を知っておかなければ完璧なサポートは出来ません。

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だけど、わたしはその考えが傲慢であることに途中から気づきました。

ランナーを完走に導くのはなにも自分の力だけではない。いや、わたしのできることなんてほとんどありません。むしろ沿道で声援を送ってくれる地元の人たちの声が仲間の背中を押してくれます。

その声援のおかげで、何度失速してもスピードを取り戻そうと必死になれます。

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いしのまき復興マラソンの声援は大きな街のマラソン大会のような途切れない声援というわけではありません。

それでもみんなが心から応援してくれる。

雨が降る中、傘もささずに声援を送ってくれる人もいる。声援を送ってくれる人たちの中にはきっと自分自身に対して「がんばれ」と言い続けている人もいたのかもしれません。

彼らの声援は純粋でありとても重い。

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だから、わたしは必ずラン仲間をゴールに導かなければいけない。わたしが走っているのはただの道かもしれないけど、あの日以降二度と歩くことさえできなくなった大勢の人たちが暮らしていた道でもあるのだから。

制限時間を少5分ほどオーバーし、、とりあえず「完走」と認定してもらってゴールとなりました。

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人をゴールに導くのはほんとうに難しい。だけどやりがいはあります。

自分が走って完走した場合、たとえウルトラマラソンでも24時間マラソンでも達成感なんてかけらもありませんが、人をゴールに導けたときは心の底から喜びが湧いてきます。

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この大会が今後、どういう形になっていくのかはわかりません。おそらく来年からは多くの面が改善されているのは間違いないでしょう。

いしのまき復興マラソンの運営には本物の情熱があります。情熱だけがマラソン大会をいいものに成長させることができます。わたしにとっていい刺激になる大会となりました。

この刺激を受けにまた来年もいしのまき復興マラソンに戻ってくるつもりです。

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