ランナーというか運動をしている人ならほとんどの人が知っている「超回復理論」。
知っているけど、なぜか毎日走って「今月の走行距離は400km!」みたいな、すごくどうでもいいことを気にする人たちがいます。
走れば走るほど疲労は溜まり、最高のパフォーマンスを示すことができないのに、なんでわたしたちは上手に休養を入れることができないのでしょう。
実業団の選手は超回復理論の先にいる
とにかく距離ばかり踏んでしまう。そして疲労が溜まってケガをする。
ケガをするのはシューズが悪い・・・いやいや、確かにシューズも悪いかもしれないですけど、そもそも故障するような走り方をしている方が悪くないですか。
なぜランナーはオーバートレーニングをしてしまうのか。
それは日本のトップランナーである実業団の選手が、毎日走っているから。箱根駅伝を目指す選手の月間走行距離が1000kmを超えることもあるなんていう記事を読んでしまうから。
そして高橋尚子さんや野口みずきさんが「走った距離は裏切らない」なんて言うから。
事実トップランナーは、月間走行距離はトレーニングの負荷をみる上で、ある程度の参考にはなります。でも、彼ら彼女らは1日20kmを普通に走るだけでは、ほとんど疲労を感じないように鍛えられています。
1日走って筋肉を休ませて、超回復をさせる。そしてまた練習をして休ませて・・・そんな超回復理論のサイクルが通用しなくなるレベルにいます。
超回復理論には限界がある
超回復理論そのものは間違っていませんが、休ませて筋力が元の状態以上になったところで、また負荷を加えてやすませて・・・そんな方法がうまくいくのは、まだ体ができていない時期だけです。
人間の筋力の成長はそれぞれ個々に限界点があります。個人が持って生まれた最高パフォーマンスの状態を超えて成長することはありません。
超回復理論でのトレーニングをある程度続けていくと、必ずどこかで伸び悩みがきます。
こうなると初級者卒業ということになります。
ランナーの場合は、ランニングを始めたときは週3回のトレーニングを基本として、まずはしっかり休むことで体を作ることが重要です。
体ができるまでは超回復理論に則って、体の筋肉をランナー向けに作り上げていきます。この作業は1年近くかかることもあります。
ところがある程度走れるような人たちは、「トップランナーは毎日走っている」という理由だけで、自分も毎日走ってしまいます。昔のわたしがそうだったように。
トップランナーはすでに超回復理論の先に行っているから毎日走っているわけで、まだ体ができていないランナーが毎日走っても、体を壊しながら鍛えているとても効率の悪い状態になります。
トップランナーは回復させるために走る
トップランナーが毎日走っているのは、何も鍛えるために走っているわけではありません。強度の高いトレーニングをした後に、まったく運動しないと回復が遅れるため、軽い刺激を与えるために走っています。
そして「回復のために走る」という情報だけが一人歩きして、自分を追い込むランナーの「毎日走らなきゃ」につながります。
回復のために走るのは間違ってませんが、同じことを普通の市民ランナーがすると、刺激のつもりが負荷になって、よけいに回復が遅れることがあります。
回復させるために走るというのは、実はとても難しいことで、一般のランナーであれば散歩程度で十分なケースがほとんどです。
走るのではなく筋肉をほぐす。ほぐすために走れていなければ、それは回復のためのトレーニングではなく、体をいじめるためのトレーニングです。
「疲労したところでトレーニングをするから意味がある」と言う人もいます。それはひとつの事実ですが、それだって体がしっかりできている状態だからできることで、普通の人がしたらケガを招くだけです。
頑張っても方向性を間違うと頑張りは無駄になる
努力することは素晴らしい。
それを否定するつもりはありませんが、努力は目的に対する過程であって、努力することを目的化している人が多すぎるような気がします。
どんどん自分をストイックに追い込めば速くなれる。確かにある程度まではそれも事実かもしれませんが、人間の体の仕組みを考えれば、いつもいつも追い込んでいたのでは、体を壊すのは時間の問題です。
成長するためには、きちんと休むことを取り入れる必要があります。
強くなるため、速くなるために休む。ライオンだって獲物を狩るとき以外寝ているものです。
疲労がたまりやすい夏なので、特に注意してください。フルマラソンで3時間を切れるようなランナーでもない限り、毎日のトレーニングはほとんど害悪です。
その練習が成長を阻んでいるのだということを認識してください。
わかってて走るぶんには個人の自由ですからかまいませんし、わたしがとやかく言う問題でもありません。ランニングを習慣化することでメンタルの安定化を目指す人もいますから。
ただ、速くなりたければ休むこと。積極的に攻撃的に休むこと。少なくとも超回復理論に限界を感じるようになるまではしっかり休むことが重要です。
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