NAHAマラソンゴール手前の関門の賛否と完走率が低い理由

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NAHAマラソンの季節が近づくと、毎回のように話題になるのがゴール手前での関門閉鎖です。あと少しで完走できるかもしれないのに、競技場直前に強制的に終了させられるため、それに阻まれて悔しい思いをするランナーが毎年何人も出てきます。

それもあってか、NAHAマラソンは完走率がとても低い大会なのですが、意外とそのことを知らずに参加しているランナーが大勢います。そこで、ここではなぜNAHAマラソンの完走率が低いのかについて詳しく解説していきます。

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目次

NAHAマラソンの完走率

それではまず、NAHAマラソンの完走率を見ていきましょう。

201964.2%
201860.2%
201769.7%
201653.2%
201568.7%

東京マラソンの完走率が、ほぼ95%以上あることを考えると、60%台の完走率になるNAHAマラソンがいかに厳しい大会なのかよくわかりますよね。リゾート地のマラソンということで、ホノルルマラソンのような緩いイメージをしている人もいるようですが、実は国内屈指の厳しいレースがNAHAマラソンです。

ゴール直前の関門はエンターテイメント?

あとは競技場に入って3/4周すればゴールなのですが、NAHAマラソンは競技場入口に関門を設置しています。これには賛否両論あると思うのですが、このゴール直前の関門封鎖NAHAマラソンの名物のようなもので、毎年この攻防が繰り広げられます。

人の鎖で通過できないようにして、門もクローズします。

ここまで来たら走らせてあげるべきというのが多くの人の声ですが、じゃあどこでなら切ってもいいのかというとこれは難しい問題です。

各大会の最終関門場所と関門制限時間が次のようになります。

湘南国際マラソン39.6km(残り2.6km)5時間55分(残り35分)
東京マラソン41.0km(残り1.2km)5時間50分(残り10分)
大阪マラソン41.0km(残り1.2km)6時間57分(残り3分)
NAHAマラソン34.0km(残り8.2km)5時間10分(残り65分)

おかしなことに気づいた人もいると思います。実はNAHAマラソンの最終関門はなんと34km地点となっていて、競技規則にはゴール手前の関門の記載はありません。NAHAマラソンはこの関門とは別に競技中止勧告時間というのも設定されています。

最終の勧告地点は39.3kmで午後3時頃となっています。ものすごく曖昧です。

これは競技規則に「審判員は制限地点を制限時間内に到底通過できないと判断した競技者に対し、制限時間前でも競技を中止させることができる。」にあるためで、気温や天候に合わせて審判員が調整するということなのでしょう。

勧告というのがまた日本的だなと思うのですが、大会側としては「走るのをやめてください」と伝えるけど拘束力はありません。「指示に従わなくてもいいけど察してね」といったところでしょうか。

とはいえ審判員は競技をやめさせることもできるわけです。実際のところは強制力のある中止勧告になります。

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さて問題のゴール直前の関門。時間ははっきりしませんが、おそらくレース終了の15時15分にクローズしているのでしょう。する必要があるのかというと非常に判断が難しいところ。

関門が34km地点が最後ですので、会場に向かうランナーをどこかで断ち切らなければ、いつまでたっても大会が終わらないという問題があります。

そして何より、この関門でのドラマを楽しみにしている人たちがいます。ランニングマガジン・クリールのカメラがこの映像をとらえたのは偶然ではありません。こうなることを知っていてカメラを構えているわけです。

かわいそう、かわいそうではないという話ではなく、これは意図されたエンターテイメントなわけです。NAHAマラソンに出場するというランナーは、むしろこのことをしっかりと頭に入れておく必要があります。

34kmの最終関門を突破したからといって、そこで気を抜かないことが大切です。制限時間に間に合わなければ、最終的にフィニッシュラインを超えることはできませんので、きちんと頭に入れておきましょう。

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NAHAマラソンの完走率が低い本当の理由

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NAHAマラソンはリゾートマラソンのイメージがあるのですが、実はかなりシビアなマラソン大会ということはあまり知られていません。

運営の母体自体はかなり真面目な運営で、様々な点で厳格さがあります。NAHAマラソンは私設エイドが充実していますが、大会の出している公式エイドはバナナと水、スポーツドリンク程度のものしか提供していません。

スタートの整列も時間内に並ばなければ、自分のブロックの後方にも入れてもらえず最後尾スタートになります。それに加えて、2つの要素が完走率を下げています。

  • コース幅が狭くアップダウンが多い
  • 第1関門の閉鎖時間が早い

この2点について詳しく解説していきます。

コース幅が狭くアップダウンが多い

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参加者が3万人の大会ですが、前半は道幅が狭い上にアップダウンがかなり激しいコース設定になっています。このため5km程度で歩き始める人もいますが、そのようなランナーが渋滞を引き起こします。

そうでなくてもコース幅が狭く、第1関門まではずっと混雑した状態が続き、人を追い抜いて走ろうと思うと、縫うようにして走らなくてはいけません。そうなってくると第1関門を突破するだけで体力を使い切ってしまう人も出てきます。

アップダウンがあるコースですので、かなり鍛えているランナーでないと、制限時間内に走り切るのも難しいのですが、コースが難しいということを知らずに、軽い気持ちでエントリーして、「こんなつもりじゃなかった」と悔しい思いをすることになります。

第1関門の閉鎖時間が早い

コースが難しいだけならまだいいのですが、スタートブロック後方からスタートする選手はサブ5のペースで走らないと21.4km地点の関門を通過できません。

21.4km地点の関門時間は3時間15分です。最後尾のスタートまでには30分かかります。ということは2時間45分で前半を走る必要があります。最後方のランナーはみんな、なんとか6時間以内に完走したいランナーです。

アップダウンの激しいコースを2時間45分で走りきる走力はまずありません。

走力はあっても、すでにお伝えしましたように、道幅が狭く最初の関門まではずっと渋滞しているので、人を縫うように走る必要があります。なのに実質的に21.4kmまでを2時間30分で走れる走力が求められます。

後方の力のないランナーはどうあがいても完走できない仕組みになっています。これがNAHAマラソンの完走率が低い本当の理由です。それが悪いかどうかは別の議論として、NAHAマラソンはそういうスタンスのマラソン大会なのです。

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NAHAマラソンは十分な練習をして挑もう

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完走したければきちんと練習をしてくるように。NAHAマラソンはそういう厳格な大会なのですが、沿道の声援と私設エイド、そして那覇を走るという開放感から、なぜか緩いリゾートマラソンのイメージがついています。

2016年は気温が27.5度まで上がり、完走率はなんと53.2%で過去2番めに低い記録になりました。小雨の中で開催された2015年の完走率は68.69%ですから、そこそこ低いものの驚きの数字でもありません。

NAHAマラソンが厳しいコースであることを周知することと、参加者を3万人から1万5千人くらいまで減らさないと完走率はおそらくこれからも60%前後になる。そんな大会です。

とはいえ、いくつもの複雑なドラマが沖縄名物チャンプルーのように混じり合うのが、NAHAマラソンの魅力でもあります。

ゴール前の関門封鎖も名物。完走率の低さも名物。私設エイドも沿道の声援も名物。盛りだくさんのおもちゃ箱のような大会だからNAHAマラソンには人が集まります。

ですので動画のような関門封鎖もありかなとは個人的には思います。ただ、いずれケガ人が出る可能性があるのも否めません。できることなら力ずくではなく、もっと戦略的で知的な駆け引きがあってもいいのかなと思います。

参加するという人は、コースが厳しいことと、サブ5くらいの走力が求められること、そして制限時間内に返ってこなければゴール手前で止められるということをしっかりと頭に入れて、レースプランを立てておきましょう。

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