郷に入っては郷に従えという諺がありますが、台湾で感じているのは、思った以上に実践するのが難しいということです。台湾の作法に従うべきだと頭では分かっていても、なかなか馴染んだやり方が離れません。
台北駅の近くにある交差点。道幅はそれほどありませんが、車の交通量が多いのに点滅信号で渡るタイミングが難しいのですが、それを見た日本人観光客が「もっとちゃんとすればいいのに」とのひと言。
他所の国に来て、他所の国のルールを「それはおかしい」と言うのは傲慢だと思いましたが、きっと自分も知らず知らずのうちに同じようなことを考えていたりするのかもしれません。
口に出さなくても「こういうところが良くないな」なんて思ったり。
台湾の人たちは、これでいいと思っていることに対して、日本人の視点で「そうじゃないほうがいい」なんて言うのは勘違いもいいところです。
台湾人は日本に統治されていた時代がありましたので、比較的日本人に近い考え方をする人が多いように感じます。人によっては日本人より日本人らしいなんてことも言います。
でも、日本人と台湾人は違います。同じ文化ではありませんし、背負ってきた歴史も違います。似ているかもしれませんが、根本的には違うわけです。
だから日本で当たり前のことが台湾ではNGとされるようなこともあります。もちろんその反対もあります。
海外を旅するというのは、その文化の違いを楽しむことであるはずなのに、ついつい日本のものさしで測ろうとしてしまう浅はかな自分に気づいて恥じることも。
台湾人にもいろいろな人がいます。親切な人もいれば、ずる賢い人だっています。オープンな人もいれば閉鎖的な人もいます。日本が好きな人も嫌いな人も。なのに「台湾人」と一括りにしてしまう自分。
できるだけ先入観を持たないことも、海外を楽しむにはとても重要です。
今回はできるだけローカルなフードを食べようとしています。台湾といえばやはり小籠包や魯肉飯といった定番の料理を食べたくなりますが、そういったものをできるだけ避けてみると、台湾の違った面を楽しめます。
これまで行くことのなかった場所に足を伸ばしてみると、これまでとは違った台湾の魅力に気づきます。
絶対に美味しいとわかっている過去に訪れたお店に行き、そして「やっぱり美味しかった」となるのも旅の楽しみ方のひとつです。美しいことを知っている場所に行き、その美しさを確認するのも悪くありません。
でも、それはわたしのスタイルではありません。わたしは知らないものを見て、食べたことのないものを口にすることに喜びを感じます。
だって、過去に出会った素敵なお店よりも、次に出会う別のお店はもっと素敵かもしれないじゃないですか(あぁこれがわたしに恋人ができない理由なんだなと、勝手に納得しました)。
もちろん、誰かを案内するなら絶対に美味しいお店に案内しますし、美しい風景のある場所に連れて行きます。でも、1人で行動するときに、過去の同じ道をなぞるようなことはしません。
同じ方向に向かうにしても、昨日と今日で通る道を変えるのがわたしのスタイルです。
そして、できるだけ現地のやり方に馴染んでいくように心がけています。旅行者の視点も大切ですが、そこで暮らす人たちのやり方を学び実践する。
せっかくの異文化の中に身を置いているわけですから、新しい経験値をどんどん積み重ねていきたい。海外にいるときはいつもよりも少し欲張りになります。
安全だと分かっている場所はとても居心地がよく、そこに浸っていたい気持ちになりますが、危険がともなっても前に進みたい。そのためには現地の人たちから学ばせてもらう。
いつもと違う自分でいることも大切なんだなと感じています。
今日の一枚
台北・深坑老街にて 「いつか」ではなく「今日」行こうと思いたち
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