台湾といえば安くて美味しいものを食べられるという印象があるかもしれませんが、おそらくもうその視点は捨てなくてはいけません。おそらく世界で1番、安くて美味しいものを食べられるのは日本です。この現実をそろそろ受け入れなくてはいけません。
1年前に台北に行ったときから、コンビニなどでは「日本と値段が変わらない」という印象があり、今回の訪台ではそれがさらに強くなった感じがあります。空港で食事をしようと思うと、アルコール抜きで1,000円近くかかりますし、2,000円以上するものもあります。
スーパーで野菜や卵の値段を見ても、明らかに日本のほうが安いものがいくつもあります。今回は両替もせずに、手持ちの4,000台湾ドル(約18,000円)で過ごしましたが、あっという間に現金が減っていき、早い段階でApple Payでの支払いに切り替えました。
日本円が弱いことを嘆くほど経済に詳しいわけではありませんし、愛国心があるわけでもありません。ただ、海外旅行が好きな人間として、今の状況は決して嬉しい状態ではなく、早々に改善することを期待しています。ただ、「もしかして改善しないかも」という思いもあります。
円安だけでなく、台湾は物価が上がっています。日本もインフレしつつありますが、台湾のインフレに追いつく必要があり、しかも収入が増えなくては意味がありません。そして、フリーランスの私にとって収入増はあまり期待できないのが現実。
台湾の物価は高いままで、私の収入は少ないまま。そうなると、これからもずっと「台湾は物価が高い」となるわけです。1ドルが100円になれば話は変わりますが、そんなのは10年20年先の話で、決まっていることでもありません。
もっとも物価が高いからといって、私自身が台湾に行かなくなるわけではありません。ただ、訪台する日本人はかなり減ってしまいます。そして日本の影響力が小さくなるわけです。昨年と今年の訪台では、日本語を聞く回数がかなり減っていて、現地の人とのコミュニケーションはもっぱら英語でした。
パンデミック前はあちこちで日本語が通じました。飲食店にいけば、その場にいる誰か1人は日本語を話せるくらい。それくらい日本語が定着していたのに、日本人が行かなくなって日本語を話す機会が減り、語学力も落ちてしまったのでしょう。
そうなると自然と日本離れが進みます。これは決して嬉しいことではありません。個人的には存在感が出るので良いこともあるのですが、台湾にしろ中国にしろ、個々の交流がもっと活発になるために、細々とですが活動をしている身としては何とかならないものかと。
私にできることがあるとするなら、物価は高くても行きたくなるような空気感を作り出すことでしょうか。かつてハワイが日本人にとってのあこがれで、物価が高くても人生で1回は行ってみたい場所だった時代があります。
その時代のハワイと比べれば台湾はまだ手が届く範囲にあり、国内旅行の延長だと思えばハードルはそこまで高くありません。反対に「アジア旅行は安い」という考えを捨てれば、また違った魅力が見えてきます。とはいえ、人の思考を切り替えるのは簡単なことではありません。
4,000台湾ドルの現金が飛ぶように消えていくのを眺めながら、なんとかならないか足りない頭をフル回転。台湾にもっと気軽に行けるようになるにはあと数年かかりそうですが、それまでにしっかりと情報発信のベースを築いておくとしましょう。