旅するように暮らし、暮らすように旅する

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いつも思うこと、旅するように暮らしたい。何も縛られず、気の向くままに歩み出す。重い荷物も小さな悩みも全部手放して、いまこの瞬間だけを生きる。いつからそういうことができなくなったのだろう。いまを満たさずに、数年後、数十年後のことを心配する。明日のために今日を生きるなんて生き方してる場合じゃない。

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わたしが初めて海外に出たのは大学時代。まだ携帯電話もなければインターネットもまだ一般的ではない1996年。旅について調べるのに「地球の歩き方」が大活躍していた時代に、わたしはブラジルに向かった。1ヶ月には満たない期間だが、なにぶん初めての海外、しかも一人旅。これでもかというほど刺激に満ちた時間だった。

アメリカで飛行機を乗り継ぎ、サンパウロについたもののその日の宿も決まっていない。そして、使えると思っていたキャッシュカードが使えないという状況。いまならばワクワクするところだが、若かったその当時は帰国の日までなんとかして生き延びようという思いしかなかった。

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それでも、イグアスの滝に行ったりリオデジャネイロのマラカナンスタジアムに行ったりと少ない資金で出来る限り楽しんだ。ポルトガル語なんて一言も話せないのに、気がつけばビーチで地元の子たちとボールを蹴っていた。そういう出来事がわたしを旅好きにさせたのだろう。

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次に海外を訪れたのは社会人になってから。サルサの国、灼熱のキューバだ。もうこの時点でいろいろおかしい。行ったことのある国がブラジルとキューバ。そんな日本人なんてそうそういないだろうと思っていたが、ブラジルに向かうフライトで仲良くなった日本人は数年間ブラジルで暮らしていたそうだ。

キューバはそれはもう、めちゃくちゃ楽しい国だった。まさにあれこそが楽園だろう。貧しい国だけれども、みんな生きることを満喫していた。歌い、踊り、ちょっとだけ働く。すべてが平等で、今日お金を持っている人がみんなの分を払う。次の日は別の人が払う。日本人はいつも持っているからいつも払う。

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キューバを思い出すと、豊かさの本質についてついつい考えてしまう。物質的な豊かさや、経済的な豊かさなんて、しょせんは虚構にすぎないことがよくわかる。大事なのはいまを生きること。共に生きる友を持つこと。愛する人を愛し抜くこと。それだけだ。社会的な成功とか、向上心とかが絶対的な位置づけにならない国がある。

そういう旅を終えて、わたしはいま東アジアを中心に旅するようになっている。10時間を超えるフライトに体がついて行かないというのもあるが、旅に強い刺激を求めなくなっているのかもしれない。20年近く旅を続けてわたしなりの旅の形が出来上がってきたのかもしない。旅先の公園で小説を読む。暮らすように旅をし始めている。

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わたしは仕事と仕事外の境界線を持っていない。同じように旅と日常もゆっくりと融合しているのかもしれない。旅するように暮らし、暮らすように旅する。日常が非日常になり、非日常が日常になる。それが何を意味しているのかはわからない。ただ、いつも全力でいられる。いまを全力で楽しんでいる。

明日のことは明日になってから考えればいい。

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