裸足ランナーが痛みに強くなるために取り入れるもの

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痛みの勉強をしているのですが、専門用語の羅列すぎて工学系卒のわたしにはほとんど理解できないのですが、いくつかわかったことと、裸足ランナーが痛みに強くなるためにすべきことのひとつが見えてきたので紹介します。

痛みのメカニズム

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まず痛みのメカニズムですが、とても噛み砕いて説明すると、体の表面にある感覚点(痛点、圧点、温点、冷点)にそれぞれの刺激が入り、一定値を超えると痛みの信号として神経を伝わって、脳に信号を送ります。

刺激があまりにも大きい場合は、脊髄で信号を送り返して、すぐに手や足を引っ込めるようにします。それほど刺激が大きくない場合は、脳からの指令を待ちます。

感覚点は一般的に手のひらが一番多く、微妙な圧力の違いなどを作り出すことができます。手のひらはとても解像度が高いため、卵を割らずに持つことができます。

足裏は手のひらの1/5くらいの感覚点しかありません。このためどれだけ頑張っても、足を手のように動かすことはできません。解像度が5倍違いますので、足は手ほど繊細な動きができません。

そして痛みを感じるのは、この感覚点です。痛点だけが痛みを感じると思われていますが、実際には圧点、温点、冷点でもある閾値を超えると痛みを感じます。

熱いと冷たいは痛いに変わる

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なんとなく実感がある人もいるかもしれませんが、「熱い」と「冷たい」は痛みに変わります。そのメカニズムもすでに科学的に確立されています。

例えば、真夏の砂浜の上は熱いというよりも「痛い」という感覚ではないでしょうか。マイナス20℃くらいの冬の気温の中では、冷たいではなく「痛い」と感じます。

10℃〜15℃以下:冷たい→痛い
40℃以上:熱い→痛い

人間の体は10℃以下のものと43℃以上のものに対して、神経活動が頻繁に行われます。体が危険を感じて、危険信号を活発に送るためです。

このため、裸足ランナーが裸足で走っていいのは、路面温度が10℃以上40℃以下くらいまでです。

これとは別に、低温やけどという症状があります。一般的に44℃の温度のものに6時間以上触れていると、低温やけどでヒリヒリしたり、水ぶくれが発生します。45℃の場合は3時間、46℃なら1時間30分です。

足を常に動かしているから大丈夫じゃないかと思うかもしれませんが、足を冷やす時間がなければ、当然低温やけどが発生します。例えば路面温度が45℃なら、足裏は44℃くらいを保ちつづけるため低温やけどになります。

短時間なら裸足でも痛みもなく走れるのに、長時間経過すると痛みを感じるようになるのはこのためです。

ちなみに気温30℃でアスファルトの路面温度は50℃近くまで上がります。気温が27℃でもアスファルトの温度が48℃くらいまで上がったという調査結果もあります。

フルマラソンを安全に裸足で走りきるなら、路面温度は44℃以下でなくてはいけません。記憶に新しいかすみがうらマラソンの気温は26℃以上だったとのことで、おそらく路面温度も45℃くらいはあったはずです。

当然、痛みが発生しますので、フォームも崩れて余計に走りづらくなっていたのでしょう。

痛みの大きさは人によって違う

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痛みを語るときにとても難しいのは、痛みを定量化することができないということです。同じ大きさの痛みを2人の人に与えても、それぞれが感じる痛みは違います。一方は飛び上がるほど痛がっても、もう一方は全然平気な顔をします。

裸足で速く走れるかどうかのひとつのポイントはここにあります。痛みを感じにくい人、痛みに耐えられる人ほど、速く走ることができます。それとは別に走力の問題もありますので、一概には言えませんが、痛みを感じにくい人ほどシューズに近い、もしくはシューズ以上のスピードで走れます。

ですので、裸足の痛みに関しては、スピードの速い人に聞いてもあまり参考になりません。そもそも痛みの個人差なんて考えたこともないでしょうから、「痛いのは我慢する」なんてことを言います。

それはそれで正しいのですが、人によってはそれは我慢できない痛みだったりするわけです。我慢できないことを「弱い」とか「練習不足」と言うのは間違いです。いや、半分間違いです。半分は合っていますが、半分は正しくありません。

世の中には痛みをまったく感じないという人がいます。先天性無痛症と言うのですが、生まれてまったく痛みを感じることなく生活しています。先天性無痛症になった人のほとんどは、早死します。

死因は先天性無痛症ではなく、ケガなどをしてそのまま放置していることで、傷やケガが悪化して死んでしまいます。痛みを感じにくいというのはそういうデメリットもあります。

痛みを感じやすいというのは、体に無理をさせないという意味では、プラスに働きます。ただ、裸足ランニングをするにあたってはスピードを出せないという点ではマイナスです。

熱さにより痛みには慣れることができる

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痛みは個人差だと説明しましたが、実は熱さによる痛みは慣れによって改善することができます。43℃以上で熱さが痛みに変わるのは、カプサイシン受容体の存在によるものです。

カプサイシン受容体は、その名前の通り、カプサイシンの刺激に反応して活性化します。香辛料たっぷりの料理を食べると舌が痛くなりますが、あの痛みは熱さによるものです。それと同じことが43℃以上の熱刺激でも発生します。

これはわたしの仮説ですが、「辛いものに強い人は痛みにも強い」のではないかと考えています。辛いものに強い人は、カプサイシン受容体が活性化しにくい人です。カプサイシンで活性化しないのですから、43℃以上の熱に対してもあまり活性化しません。

そのため、感じる痛みも小さく我慢できるわけです。

格闘技などで、韓国人やタイ人は昔から「打たれ強い」とされてきました。どちらも唐辛子を大量に摂取する国です。唐辛子の辛さに体が慣れている人たちなので、それは同時に痛みにも慣れることになります。

その結果としてカプサイシン受容体が活性化しにくく、痛みに耐えられるわけです。

じゃあ、裸足ランナーも辛さに慣れれば、痛みにも耐えられるのではないかという仮説が立てられます。仮説の上に立った仮説ですが、かなり脆さはあるのですが、案外いい点をついていると思います。

裸足ランナーが痛みに強くなるために必要なのは唐辛子です。

ただし、痛みに強くなることと、水ぶくれができないことは違います。人間の構造上どうしても低温やけどで水ぶくれはできてしまいます。その時の痛みを少しでも和らげることができる。それが唐辛子で辛さに慣れることで期待できる効果です。

低温やけどは時間が短ければ短いほど症状は和らぎますので、痛みを感じないうちにゴールをしてしまう。痛みが少ない分、少しでもスピードをあげて早くゴールすることができます。

体のことを考えれば、路面温度が44℃を超えたら裸足では走らないというのが基本です。

とはいえ、仮説が正しいのであれば、辛さに慣れることで飯能ベアフットマラソンのガレ場でも痛みを小さくできるはずです。鍛えるのは足裏だけでなく胃袋も……ということでしょうか。

辛いのが苦手な人もいるかもしれませんが、それだけ痛みに対する伸び代があるということです。ぜひ試してみてください。わたしはすでに唐辛子のある生活を始めています。

痛みについてもっと詳しく知りたい人は、下で紹介している「痛覚のふしぎ 脳で感知する痛みのメカニズム」がおすすめです。


痛覚のふしぎ 脳で感知する痛みのメカニズム
著者:伊藤 誠二
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