実業団の選手は1ヶ月に10日程度のポイント練習があるだけで、残りはほとんどジョグになる。旭化成の宗監督がそう言っていました。なのでフルマラソンで結果を出せるかどうかは、そのジョグの量と質にかかってくるとのこと。
マラソンは人生に似ているとよく言われますが、あぁまさしくそんなんだなと、変なところで感心してしまいました。人生は何でもないような時間をどう過ごしているのか、それで大きく変わります。
通勤時間に勉強している人や本を読んでいる人と、スマホいじりをしている人や寝ている人とでは、年間200日の通勤を経て、大きな開きが発生します。
別にスマホいじりをしてはいけないというつもりもなく、その人がそれで満たされているなら、心が穏やかに毎日を過ごせるならそれでいいと思います。
ただ、スマホいじりをしながら、うまくいかない毎日を心のどこかで嘆いているのだとすれば、人はそれを愚か者と呼びます。自分を変えたいと思うなら、日常の何気ないことをしっかり変えていかないと何も変わりません。
自分を変えたいと思ってランニングを始めても、人間が変わることはありません。もっと変わりたいからといって英会話学校に通ってもやはり人生が変わることはありません。
大事なのは、例えば家から駅までの道のりをいい姿勢で歩くようにしたり、毎日笑顔を絶やさずにいようとしたりと、何でもない時間の自分の行動を変えていくということです。
ただバットを振るだけの素振りを1000回するのと、相手投手をイメージしながらする1000回の素振りとでは練習の質が違います。どう考えたって結果を出せるのは後者です。
最近は「自分には他の人にはない隠れた才能がある」と思い込んでいる人が増えていますが、全人口の99.99%以上は凡人です。なんとかの実でも口にしない限り、特別な存在にはなれません。
ある日突然才能が開花するということはありません。誰かがわたしたちの隠れた才能を引き出してくれることもありません。
わたしたちにできることは、毎日ひとつひとつ積み重ねていくことだけです。
それは本当に嫌になるような気の遠くなる作業ですが、飽きずに継続した人だけが特別な領域に足を踏み入れることができます。「継続できること」をひとつの才能だと言う人がいますが、それは違います。
継続するということに才能はいりません。止めなければいいだけです。自分を信じてただただ積み重ねる。
もちろん、この世界には本当に才気あふれる人がいます。マラソンの世界でも、この人が見ている景色を自分が見ることはないんだろうなと思わされることが度々あります。
でも、きっとその人はわたしに見えている景色が見えません。
才能がある人は何でも手にしているように思えますが、実際には他の人よりも何かが多少秀でているだけで、得ているものなんて凡人のわたしたちとはそう変わりません。
そんな才能がある人たちだって、日々の積み重ねがベースにあるからこそ活躍できます。才能だけで勝負している人なんて、この世界にどれだけいるのでしょう?
今日1日だけでも、自分の行動のひとつひとつを美しさにこだわってみませんか?ルーチン化している仕事や日常をほんの少しだけ、より質の高いものに変える意識を持って過ごしてみませんか?
きっとこれまでとは違う景色が見えてくるはずです。
そしてわたしの言っていることに、気づいてもらえるんじゃないかなと期待しています。今日1日だけ、急がず慌てず丁寧に。
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