ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートの6万円は妥当なのか

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ナイキが2月3日から発売する「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート」その価格の話題性だけが先行していますが、少し冷静にこの価格について、そしてこのシューズについて個人的な思いを書いていきます。

目次

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートとは

Nike Breaking2 Finish Eliud Kipchoge native 600

そもそも「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート」って何?そういう人もいると思います、ランナーでない人はほとんど知らないと思いますが、ナイキが2017年に開催したフルマラソンの距離で2時間を切るという「Breaking2」プロジェクトで3人のチャレンジャーが履いたシューズです。

ちなみに、ナイキや他のメディアでは「Breaking2」について「フルマラソンで2時間を切る」という表現をしていますが、わたしはあれをフルマラソンという競技だと思っていないので、いつも「フルマラソンの距離で2時間を切る」と表現しています。

いま話題のヴェイパーフライ4%は、「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート」を開発したときのノウハウを元に市販品として作られたシューズです。

そういう意味ではナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートはプロトタイプのシューズ、もしくは「Breaking2」に特化したシューズという位置づけになります。

ヴェイパーフライ4%とは何が違うのか

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ヴェイパーフライ4%が25,920円で「高い」と話題になりましたが、ヴェイパーフライ エリートはそのシューズよりも何が特別なのでしょう?なぜ59,400円という価格設定になっているのでしょう?

まず、シューズの性能としての違いについて説明しましょう。

すでに紹介しましたように、ヴェイパーフライ エリートは「Breaking2」に特化したシューズです。「Breaking2」では3人のランナーそれぞれに合ったフィッティングなどのチューニングがされています。ソールも「Breaking2」で使われたフラットな路面に最適化されています。

一方のヴェイパーフライ4%はあくまでも量産品です。最高のスペックを求めながらも、量産性やコスト、様々な路面への適応性などを考慮して作られています。わたしたち世代で言えば、ガンダムとジムの違いと言えば分かりやすいでしょうか。

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どうでもいい話ですが「ジム=弱い」というイメージがありますが、実際にはザクの2倍の出力があり、めっちゃ強いんです。いや、本当にどうでもいい話ですが。

でもそれならヴェイパーフライ エリートがガンダムで、ヴェイパーフライ4%がジムなのも分かるかと思います。

それくらいスペシャルなシューズですので、価格は高くなって当然と言いたいところですが、価格が高い理由は2つ考えられます。

・生産数が少ないので割高になる
・ナイキにこれで儲ける気がない 

生産の世界を少しでもかじっている人なら、量産品とスペシャル品で価格が違ってくることくらいは分かると思います。100個作るとの1万個作るのとでは、それぞれの部品の原価がまったく違います。

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そして今回の値段設定に「ナイキも金儲け主義」みたいな反応をしている人が大勢いますが、6万円の商品を数百足売ったところで、ナイキの売上にはほとんど貢献しません。

ナイキは1年間でシューズだけで200億ドルくらい売り上げています。利益だけ考えるなら、ヴェイパーフライ エリートなんて売らずに、生産が間に合っていないヴェイパーフライ4%に注力するはずです。

これはあくまでもナイキのコマーシャルの一環でしかありません。1足6万円のシューズを売り出せば、それだけで話題になります。そのシューズが世界で一番速くフルマラソンの距離を走ったシューズならなおさらです。

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートに6万円の価値があるのか

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1足6万円という価格は、ヴェイパーフライ エリートの特性上、仕方のない価格設定です。むしろもっと高くてもおかしくないと思います。ナイキにしてみればほとんど利益ゼロでの販売になるのでしょう。

では、このシューズに本当に6万円の価値があるのでしょうか?

ランニングシューズの実用性から考えれば、その価値はないとわたしは思います。ヴェイパーフライ4%の倍のスピードで走れるわけではありませんし、倍の距離の耐久性があるわけでもありません。

むしろ、スペシャル仕様ですので、わたしたちが通常走る路面ですと、ヴェイパーフライ4%よりも相性が悪くなって、タイムが出ない可能性もあります。

それ以上に、このシューズを本当に「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート」と呼んでいいのか、という大きな問題があります。デザインや構造は確かにヴイパーフライ エリートですが、一切のチューニングがされていないどころか、ハーフサイズも用意されていません。

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RUNNING STREET 365の記事にも書きましたが、このシューズは「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート」のレプリカのようなものです。レプリカというと表現が悪いかもしれませんが、完全に同じものではありません。

では価値がないのかというとそういうわけではありません。

例えばコレクターにしてみれば、これは喉から手が出るほど欲しい1足でしょう。コレクションだと思えば1足6万円は決して高くありません。そういえば同じナイキのエアマックスは38万円という価格がついたこともあるそうです。

これはそれと同じ類の商品だと考えるのが妥当でしょう。よほどのお金持ちでもない限り、ランニングシューズとして購入することはないかと思います。

もっとも日本にも中国にも6万円くらいすぐに出せる富裕層がいますので、これもまた入手困難になるのは間違いありません。わたしは家賃の3ヶ月分……検討するまでもありません。

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ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートの6万円という価格設定。正直チャレンジングで面白いと思います。妥当かどうかの判断は難しいのですが、そういうスペシャルなシューズがあってもいいのではないでしょうか。

できれば、コレクションではなく本当に走れるシューズとして受注生産でもしてもらえるといいのですが、数量限定、ハーフサイズなしということを考えると、これはナイキの遊び心のようなものです。

それに対して「高い」と批判するのは無粋なことです。

なぜこの価格になるかを冷静に考えただけでも、これだけの深さがあります。むしろそのことを楽しんでみませんか?なんでも批判するのは簡単です。

そこから一歩進んで「なんでそうなるか」を考える癖をつけてみませんか?見る角度を少し変えるだけで、不満は楽しさに変わることもあります。遊び心に対しては遊び心を持って向き合うのが、粋な大人というやつではないでしょうか。


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