ブログの更新が出来ていなくてすみません。先週の金曜日からインフルエンザを発症し、ようやく微熱程度にまで回復し短い時間ならPCの前に座れる余裕が出てきたので、ちょっとだけ書いてみようと思います。
イラストレーター・作家の安西水丸さんが亡くなられました。わたしが大好きな絵本「がたんごとんがたんごとん」の作者です。わたしの子どものころにはなかった本で、友人の息子と遊ぶときに「これよんで」と持ってくる本のうちの1冊です。大人が読んでも素晴らしいと思う絵本はたくさんあるのですが、少なくともわたしにとってこの本はそのたぐいの本ではありません。学ぶことがあるだとか、そういうこともありません。だけど本当に大切な絵本なのです。
この本の中でコップやスプーン、哺乳瓶などが、がたんごとんとやって来る電車に「のせてくださーい」ということを繰り返し、最後に「しゅうてんでーす みんなおりてください」といってみんなをおろす、ただそれだけの内容です。シンプルすぎるのでこの本をおいてある家庭ではエンドレスがたんごとんになっている家庭も多いと思います。親にしてみれば悪魔の絵本です。そういうわたしも友人の息子にエンドレスがたんごとんをさせられました。
小さい子ですから本を読むようになると「いやいや」も始まる頃だと思います。そういうときに「のせてくださーい」のノリで「たべてくださーい」とか「まってくださーい」と言うと「はーい」といい返事をしてくれます。これ、かなり嬉しいです。もちろん、子どもの成長とともに簡単に「はーい」とは言ってくれなくなります。わたしの場合は「とってきてくださーい」と言ったら「やだでーす」と返されました。そのうち「あとでねー」なんて言い出したりもします。
でもそれも含めて子どもの成長ですし、ちゃんとコミュニケーションにはなることがわかります。だからわたしは小さい子と遊ぶときはいつでも「◯◯してくださーい」のフレーズを大事にしています。このフレーズだけで子どもとの距離がぐっと縮まります。それを教えてくれたのが「がたんごとんがたんごとん」なのです。
めったにテレビを見ないわたしが、インフルエンザになってたまたま見たニュースで安西水丸さんの訃報を聞きました。
こういうのを運命なんて言うつもりもありませんが、大切な絵本を書いてくれた人の訃報がきちんと耳に入って本当によかったと思います。こんな体調ですので、献杯というわけにもいきませんが、今度友人宅に行ったときはがたんごとんがたんごとんを読みながら、安西水丸さんを偲ぶことにしましょう。
ご冥福をお祈りします。
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