昨日のブログでいきなり自律神経について語り始めたので、混乱している人もいるかもしれません。「こいつ、とうとう頭がおかしくなったか」と思った人がいてもおかしくない内容でしたので、今日からもう少し噛み砕いた解説も入れて自律神経の安定に関して話をしていこうと思います。
まず今回はそもそも自律神経とは何なのかを専門知識のない人にもわかるように解説していきます。暇を持て余しているなら、どこかで役立つ豆知識くらいの感覚で読んでもらればと思います。
自律神経とは
自律神経は人間の体の中にある神経系のひとつです。心臓などの循環器、消化器、呼吸器を活動させるために、24時間休むことなく働き続けている神経です。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類の神経系があり、それらがバランスを取りながら循環器、消化器、呼吸器を動かし続けます。
一般的には起きて活発に活動しているときは交感神経が優位にあり、眠って休んでいるときには副交感神経が優位になるように人間の体はできています。
わたしたちが運動をするときに筋肉に命令を送る神経は体性神経と呼ばれ、体性神経は自分の意志で動かすことができますが、自律神経は自分の意志で直接的なコントロールすることができません。何も意識しなくても、わたしたちの心臓が動き、呼吸をし、汗をかけるのはこの自律神経があるためです。
そういう意味では、自律神経を理解することはマラソン技術の向上に役立つ可能性もあります。スピードを上げたときに心拍数が上がるのも自律神経が勝手に体の機能を調整しているからであり、レースでいいパフォーマンスを出すには、自律神経が安定していることが重要になるのは容易に想像できるかと思います。
それはともかく、まずここでは自律神経は交感神経と副交感神経の2つの神経系からなり、その2つのバランスによって安定する神経だと覚えておいてください。また、自分の意志で直接的なコントロールができない神経だということも頭に入れておきましょう。
自律神経は心身ともに健康であるときに正しく働く
自律神経の英語名はAutonomic nervous systemと書きます。Autonomicは「自治の、自律の」を意味し、nervousが「神経」になります。この英語名からもわかりますように、自律神経はわたしたちの意思とは関係なく作用します。
例えば涼しい場所から暑い場所に移動したとき、自律神経は体が暑さに適応できるように汗をかくように命令します。汗はわたしたちの意思でかくこともできませんし、止めることもできませんよね。まるで別の生き物であるかのように、わたしたちの命を守るために自律神経は活動しています。
ただし、自律神経が正しく働くのは、心身ともに健康なときに限られます。
自律神経と心身はそれぞれ独立しているのではなく、お互いに連鎖するような仕組みになっています。このため心身に問題があるときには、自律神経が間違った働きをします。ということは、自律神経が間違った働きをしていることを把握できれば、心身に何らかの問題があることがわかるというわけです。
わたしのPolar Vantage Mは睡眠時に心拍数や呼吸回数などを計測し、自律神経の状態を数値化してくれます。この数字が悪いということは、心か体のどちらかに問題があるということを示しているわけです。
最近のわたしで言えばウーバーイーツの配達後に自律神経の数値が悪くなりますが、8時間の自転車漕ぎや慣れないサービス業に対するストレスが影響しているのではないかと考えています。睡眠時間が関係するのかと思いましたが、十分な睡眠時間を確保してもなるので、配達で心身に問題が発生しているのでしょう。
交感神経と副交感神経の関係
とても基本的なことですが、交感神経と副交感神経についても解説しておきましょう。
わたしたちは日常生活を送る中で、外部環境の変化や体内環境の変化が発生します。先程お話した気温の変化もそうですし、食事をすると体内に食べ物が入ってくるという変化があります。これらの変化に対して自律神経が働き、変化に適応します。
このときの自律神経は交感神経と副交感神経のバランスと神経のトーン(周波数)を変化させて、心身が適切な状態を保てるように調整を行います。
ここでポイントになるのは交感神経と副交感神経のバランスですが、これはどちらかが大きくなれば、もう一方が小さくなるというわけではありません。交感神経と副交感神経の働きが5:5だったとして、交感神経が8になったからといって、副交感神経が2になって8:2になるわけではありません。
交感神経が8になっても副交感神経は5のままになって、バランスは8:5になることもありますし、副交感神経も上げて8:8にすることもできます。ただし、繰り返しになりますが、直接的に自分の意志で上げることはできません。
わたしたちは活発に活動を行うときに交感神経が優位になります。具体的には血管が収縮し、血圧と心拍数を高めます。いつでも飛び出せる臨戦態勢に入るわけです。この状態にあるときには体の反応が早くなるというメリットがありますが、この状態が長く続くと血流が減ってしまい内臓機能が低下します。
そうなってくると交感神経優位の状態が続けられなくなり、交感神経の働きが小さくなります。このときに副交感神経が大きくなればいいのですが、すでに心身が機能低下しており副交感神経が大きくならないので、交感神経も副交感神経も小さいという状況を引き起こします。
そうなると心身が無気力状態になり、引きこもりがちになったり、場合によってはウツになることもあります。
これを避けるために、副交感神経を高める技術が必要になるのですが、わたしたちは副交感神経を高めるのが苦手です。いつも仕事のプレッシャー追われて、何をするのもスピードが求められ、情報過多の世界の中で生きているので、常に交感神経が活発な状態になり、心の病になる人が出てきてしまうわけです。
交感神経と副交感神経の役割
交感神経と副交感神経それぞれに役割が違います。その役割については専門家の方々が説明しているので、素人のわたしがあれこれ書く必要はないかと思いますが、自分で探すのが面倒だという人のために、簡単にそれぞれの役割を解説しておきます。
交感神経の役割
岩波書店の国語辞典で交感神経を調べてみると、次のように書かれています。
「自律神経の一つ。心臓や血管の活動を促進し消化器の活動を抑制して、身体を運動に適した状態にする」
このため、交感神経が優位になると次のような状態になります。
- 心拍数が上がる
- 血圧が上がる
- 汗がでる
- 尿や便を貯める
- 瞳孔が開く
- 内臓機能が低下する
- 唾液が減り喉が渇く
- 脳が興奮状態になる
起きているときや、仕事をしているとき、ランニングなどの運動をしているとき、ケンカなどでイライラしているときに交感神経が活発になります。そういえば、イライラしているときにトイレに行きたくなることありません。
すでにお伝えしましたように、交感神経が優位な状態が続きすぎると内臓機能が低下しすぎて活動そのものができなくなります。このため、穏やかに過ごしたいなら、交感神経優位の状態はできるだけ短くすることが良さそうだということがわかります。
副交感神経の役割
副交感神経の意味も岩波書店の国語辞典で調べてみましょう。
「自律神経の一つ。消化器の働きを促進し、心臓や血管の活動を抑制して、身体の働きを鎮静化する。」
交感神経と真逆の働きがあります。副交感神経が優位になると次のような状態になります。
- 心拍数が減る
- 血圧が下がる
- トイレに行きたくなる
- 胃腸の動きが活発になる
- 瞳孔が閉じる
- 眠くなる
- 唾液が増える
寝ているとき、食事をしているとき、休憩中、トイレに居るときなどに副交感神経が優位になります。いわゆるリラックスした状態です。そういえばわたしはあまり喉が渇かないタイプなのですが、普段はリラックスできているのかもしれません。
「副」となっていますが、どう考えても副交感神経優位の状態が続くほうが体にも心にも良さそうです。もちろん大事なのはバランスで、どちらも上手く使えるのが理想ですが、日常生活の大半は副交感神経優位であるほうが、わたしにとっては平穏です。
まとめ
自律神経について考えていく上で、自律神経の基本を頭に入れておくのはとても大切なことです。そこで、まずは自律神経とは何なのか、交感神経と副交感神経とは何なのかについて噛み砕いて説明しました。
すでに知っている人もいるでしょうし、専門家からすれば稚拙な説明に感じるかもしれませんが、一般人はこれくらいの知識でこと足りるかなとは思います。
おそらく自律神経を理解することで、マラソンのコンディションづくりにも活かされますし、何よりも殺伐としたこの状況から自分の心と体を守れるようになるのだとわたしは考えています。このタイミングで自律神経に興味が湧いたのはきっと意味があること。
こういうことは興味がある人とそうでない人にわかれるので、すべての人に理解してもらいたいとは思いません。ただ、わたしと同じようにこの状況で乱れていく自分をなんとかしたいと思っている人がいれば、一緒に学んでいってもらえればと思います。