4本の映画

今月1日に日向坂46のドキュメンタリー映画「3年目のデビュー」を観たときに、別の映画とどちらにしようか迷ったこともあり、映画を観たいモードに入ってしまった。そうなると面白いもので、観たい映画が次々に出てくるのだが、おそらくすべてを観ることはできない。

気になるならすべてを観て、感想を書くというのがライターとしては正しい姿なのかもしれないが、それが難しいかもしれないということで、逆に観ていない状態でなぜその映画を観たくなったのか、その理由について書いていくという新しい試み。

今日紹介する映画は次の4本

  • 僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46
  • アルプススタンドのはしの方
  • バナナパラダイス
  • チィファの手紙

それぞれどこに魅力を感じたのか解説していこう。繰り返しになるが、まだ予告しか見ていない。わたしが惹かれた理由だけを延々と述べていくというものなので、参考にはならないかもしれないが気にせず読んでもらえればと。

目次

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46

これは今年の4月3日に公開予定だったものが、ようやく先日公開がスタートしたドキュメンタリーだ。個人的には坂道グループ全体が好きで欅坂46もデビュー当時から観ている。ファーストシングルのサイレントマジョリティでは平手友梨奈のパフォーマンスに度肝を抜かた。

だが、途中から明らかに崩壊に向かっている姿を観ているのがつらくなって、楽曲すらほとんど聞かなくなった時代があった。もがいている彼女たちを観ているのがただただ苦しく、それに耐えるほどの愛着もなかったのかもしれない。

流れを変えたのは日向坂46の誕生と2期生の加入。明らかに風向きが変わり、これから面白くなりそうだと思ったところで、平手友梨奈の脱退。そして、それを受け止めきれなかったことによる欅坂46の活動休止と改名の発表。

始まりは欅坂46のアンダーグループという位置づけだった日向坂46は、大人が描いた筋書きから外れることなく成長の過程にあり、一方で欅坂46は筋書きを破り捨て想像しなかった道を歩んでいる。ヒューマンドラマとして、こんな面白いことはない。

事実は小説より奇なり。このドキュメンタリーは欅坂46が誕生してから、崩壊するまでのストーリーでタイトルにあるように、これまで公表されていない真実が語られている。物書きとしてこれを観ないで何を観るというのだろう。

アルプススタンドのはしの方

今月の1日に観に行く候補に上がっていた映画が『アルプススタンドのはしの方』だ。高校時代はサッカーしか頭になかったわたしには、青春と呼べるほどの思い出がほとんどない。その反動もあって青春映画を好んで観ている。あの時代に味わえなかった甘酸っぱさに触れたくて。

『アルプススタンドのはしの方』は第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞にあたる文部科学大臣賞を受賞した、兵庫県立東播磨高校演劇部の名作戯曲を映画化した作品。個人的にはそれについてはどうでもいい。大事なのは面白い映画なのかどうかだ。

夏の甲子園に出場した母校の応援に来た元野球部と演劇部、帰宅部の4人が、学校の応援団から少し離れたアルプススタンドのはしの方で観戦する姿を描いた物語になっている。最初は気持ちの入っていない応援だったものが、それぞれの想いが混じり合い、化学反応を起こして熱を持ち始める。

青春時代にしか持つことが許されない熱さというものがある。経験も浅く知識もない。だからこそ熱くなることができる。その熱さが交錯する瞬間がたまらなく好きだ。もちろんわたしの青春にはそれがない。友だちはいたが情熱をぶつけ合ったことはない。

むしろ交錯することを避けながら、ただひたすらにボールを蹴り続けた3年間だったような気がする。だから映画とはいえ、熱くなれる若者を羨ましく思う。ただ、それで終わりではない。影響されやすいわたしは、青春映画を観ると行動力が上がる。

バカバカしいことに挑戦して青春のかけらを取り戻そうとする。そういう自分が嫌いじゃないし、それを止めたら終わりだと思っている。青春映画はいつまでもチャレンジし続ける自分でいるための、カンフル剤なのかもしれない。

アルプススタンドのはしの方公式サイト

バナナパラダイス

第2次世界大戦で日本が敗れ、台湾における日本の統治時代が終わった後の物語。バナナがたわわに実る理想郷を目指して中国本土から台湾に移ってきた青年が、共産党のスパイ容疑をかけられ、名前を変えながら生き抜いていく姿を描いている。

映画としては1989年に上映されたもので、リマスター版が台湾巨匠傑作選2020で日本初公開となる。上映時間148分の大作になる。

わたしは台湾も中国も好きだ。その歴史も自分なりに学んでいるし、自分なりの考え方もあるのだが、戦後の台湾に関しては知識があまりにも乏しい。だが同じく戦後台湾を舞台にした『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を観てからずっと気にはなっていたのだ。

わたしの知っている歴史では外省人が武力で本省人を支配したことになっているが、人間というのは白黒がはっきりしているわけではなく、台湾で支配層だった外省人にだって苦難の日々があったことに気付かされたのが『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』だった。

わたしには外省人の視点が足りていなかったことに気づき、もっとそれらの文化に触れたいという思いを持っていたところに、『バナナパラダイス』の上映を知り、6月くらいからずっと上映開始を待っていたのだ。今日から上映となるのだが、すぐにでも観に行きたいところ。

ちなみに台湾巨匠傑作選2020では『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』の上映もある。こちらは上映時間が236分もあるので、できるだけ上映前の水分補給は控えておいたほうがいいだろう。

台湾巨匠傑作選2020

チィファの手紙

『チィファの手紙』は、2020年1月に公開された岩井俊二監督の『ラストレター』の中国版になる。メガホンをとるのは同じく岩井俊二監督。そういう書き方をするとセルフリメイクのように思えるかもしれないが、実は『チィファの手紙』のほうが先に撮影をしているそうだ。

『ラストレター』は観ていない。スクリーンに映る松たか子さんが好きではないから。松たか子さんのことが嫌いなのではない。むしろ好きな女優の1人、いや好きな女性の1人だ。そう思える女性をスクリーンで観るのが好きではない。石田ゆり子さんの作品を観ないのと同じで。

『チィファの手紙』なら何も心配はない。中国映画と岩井俊二監督の組み合わせで、むしろ観ない理由を考えるほうが無理というものだ。美しいストーリーに、美しい中国語の音が混ざりあって、予告編だけで惹き込まれてしまう。

亡き姉のふりをする女性と、その女性の姉を好きだった男性の物語。いったい、どうすればそんな設定が思いつくのだろう。どのような人生経験をすれば、人間の内面をこれほど深く、これほど上手に描写できるのだろう。それも舞台は日本ではなく中国なのだ。

わたしが映画を好んで観るのは、自分の経験に足りないものを埋めるためでもある。基本的に他人に興味を持つことができないわたしは、きっと誰かを深く愛するということはないのかもしれない。だから映画でそれを補っている。それを作り物と知りながらも。

だが作り物を生み出すのも人間なのだ。これは物語でありながら、岩井俊二という人間を表現した作品でもあると思っている。

チィファの手紙公式サイト

まとめ

どうだろう?観たい理由を上手く伝えられただろうか。書き出してみると、どの映画も観ない理由を見つけられない。非常に困ったことになったのだが、なんとかして1本でも多く観られるように調整するとしよう。

大事なのはこのブログで、誰か1人でも「お、面白そう」と思って映画館に足を運んでくれることだ。みんなが映画館を避けたくなる状況なのはわかっている。だからこそ、いま映画の素晴らしさを語り、1人でも多くの人に戻ってきてもらいたい。

もちろん無理強いはしない。これを読んで面白そうと思ったらで構わない。そう感じないならわたしの力不足なのだろう。どの映画も間違いなく面白いのだから。さて、どれから観るとするかな。

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