深川麻衣主演映画「おもいで写眞」を観てきました

絵を描くほどの忍耐力はなく、音楽を奏でるほど音感もない私にとって、写真撮影は少し特別な時間だったりします。作品を作るとほどの腕はありませんが、時々ハッとするような1枚が撮れて、それが気持ちいいからまたカメラをカバンにしのばせて家を出ます。

毎月1本は映画を観ることにしていて、今回は「遺影写真の撮影」を軸に物語が進んでいく「おもいで写眞」を選びました。主人公の結子は東京で夢破れ、育て親でもある祖母がなくなったのをきっかけに故郷に帰るところから物語は始まります。

祖母の遺影がピンぼけだったことを悔やみ、遺影写真の仕事を引き受けます。この遺影写真が「おもいで写眞」になるのですが、それについては実際に映画を観てもらうか、小説を読んでもらえればと思います。この映画は結子が乗り越えていかなくてはならない過去と向き合い、成長していく物語とだけ伝えておきます。

私は人物を撮影することはあまりないので(マラソン大会を除いて)、結子とは被写体にするものが違いますし、写真への想いも違います。でも、純粋に写真っていいなって思う映画でした。スマホが広まってから、カメラはとても身近なものになりましたが、きちんと「撮影」している人は以外といません。

きちんとの定義が難しいのですが、私にとって「最も美しい瞬間を切り取る」がきちんとした撮影です。だから、あまり連写はしませんし、スナップショットというのもほとんどしません。被写体が最も美しくなる構図と瞬間を切り取るためにシャッターボタンを押します。

カメラ撮影って自由なんです。圧倒的に自由。仕事で撮影している人はそうもいかないのでしょうが、私のように自分で使うために撮る場合は、どれだけ時間をかけてもいいですし、どんな構図で撮ってもいいわけです。ただ、カメラのファインダーを覗く瞬間だけは、自分に正直にいようと思っています。

そうでないと嘘を写すことになるから。写真はそこにあるものを切り取ります。そこに時間軸はなく、瞬間を切り取るわけですが、実際には物語が背景にあり、写す側と写される側の心が写真に表れます。そこに嘘があってほしくない。それはシャッターを押すときにいつも思っていることです。

映画「おもいで写眞」はそんな「嘘」も物語の軸になっています。嘘が嫌いで、お世辞も碌に言えないまま29歳になった結子。なんでもきちんとこなせるのに、嘘をつけないことで職を転々とし、遺影写真を撮るときにも、嘘との向き合い方が大きな葛藤になって表れます。

周りは「嘘でもいいじゃない」と言うけど、そうじゃない。

この「そうじゃない」を伝えるのは難しく、私はもう誰かに説明するのをとっくに諦めました。プロのカメラマンでもないし、「嘘は撮らない」と自分の中で決めておけばいいだけなので。でも、結子は仕事として遺影写真を撮っているわけです。最初は「嘘は撮れない」としていた結子は、周りの人たちから嘘との向き合い方を学んでいきます。

他の人にとっては嘘でも、その人にとっては本当だったりすることもある。人生には矛盾する2つの本当もある。人生はモノクロではなく、もっと複雑で、もっと鮮やかだから、今の本当を撮ればいい。そんな考え方になったのかどうかはわかりませんが、この葛藤こそが「おもいで写眞」のテーマなのかもしれません。

映画そのものは、きっと評価が分かれるんだろうなとは思います。主人公は元乃木坂46のメンバーの深川麻衣さんというのもあり、色眼鏡で見られてしまいますし、万人受けするタイプの映画ではありません。でも、みんなに注目される映画だけが良い映画というわけではありません。

映画を観終えてから、自分にとっておもいで写真を撮りたい場所ってどこだろうと考えてみました。記憶を手繰り寄せて浮かんできたのは、これまで訪れた絶景スポットではなく、いずれも日常の中にある場所でした。特別ではないけど心に残っている場所がある。「おもいで写眞」はそんな日常の中にある場所のような、素敵な映画でした。

映画館を出てから、必要以上にカメラのシャッターを押している自分がいました。映画を観終えたこの瞬間の気持ちを、写真の中に残したかったのかもしれません。嘘のない1枚になっているかどうかは分かりませんが、最後にその写真を載せておきます。


おもいで写眞 公式サイト:http://omoide-movie.com

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