「ただ穏やかに暮らしたい」と乃木坂46のメンバーの1人がインタビューに答えていました。華やかなアイドルという立場にありながらも、そして20代でそのような言葉を発するというのは、いったいどのような経験を経てきたのでしょう。私が乃木坂46を好きなのは、そういうタイプの人が集まっているグループだからなもしれません。
今日は別に乃木坂46について語りたいのではなく、あくまでも話の切り口として紹介しただけなのですが、話し始めたからには少しだけ触れておこうと思います。乃木坂46は大人しい性格の女の子が多く、あまり前に出たがらないけど、そんな自分を変えたいという人がオーディションに合格しています。
もちろん、それだけではアイドルグループとして成り立たないので、ある程度刺激を与えるようなメンバーもいますし、どんな大人しい人たちのグループも人が増えれば、それぞれが役割を見つけて、引っ張っていったり、余計に引っ込んだりするもので、そういう成長や変化もひとつの売りにしているようなところもあります。
でも基本は積極性に欠けて「自分なんか」という人が多く、自分が前に出たいタイプはAKB48に向いています。先ほどの発言をしたメンバーは、儚さと明るさ、そして思慮深さを持ち合わせているメンバーで、乃木坂らしさを感じさせてくれる1人でもあります。乃木坂らしさというのはとても抽象的なのですが、まぁ分かる人には分かってもらえるかと。
話を戻しましょう。穏やかに暮らしたいというのは、私も比較的早い段階で考えていたことです。どれくらい前のことかは忘れましたが、大学の同期に「山奥でひっそりと暮らしたい」と話したことがあったので、20年近く前、やはり20代の頃かもしれません。20代あるあるなのでしょうか?社会を知って、何かを悟ってしまう。
とはいえ社会人になったばかりの私は、何者かになりたくて、そこそこ尖ってもいました。村上龍さんにハマり、カンブリア宮殿やガイアの夜明けなどを毎週楽しみにして、いつかは自分も日本経済を動かしたり、誰もが知るような存在になりたいと血気盛んに活動している時期もありました。会社の人と電話で話しているのを聞いた当時付き合っていた彼女に「なんか怖い」と言われたのを覚えています。
仕事では誰にも負けたくなかったんでしょう。今ならそれを「青い」と言えますが、誰かを説き伏せることが好きで、それはもう厄介な社員だったと思います。会社を辞めると決めたときに、安堵した人も多かったと思います。そこからは、できるだけ仕事では自分を出さないようにしてきましたが。
私にとってのターニングポイントは叔父が亡くなったことでした。それほど交流があったわけではありませんが、大きな会社でバリバリ働いていた2人の叔父が亡くなったときから、働き方や生き方を考えるようになり、そして父を亡くしたことで、私は進むべき道が定まりました。
野望なんて持っていても仕方ありません。やりたいことがあり、それを実現するために偉くなったりお金持ちになったりするということを否定するつもりはありませんが、私のやりたいことは別に野望を持たなくてもできることで、ただ穏やかに過ごせればそれでいいわけです。
美味しいものを食べて、どこまでも走ることができて、面白い小説を読めれば、それで十分に満たされます。私の文章で誰かが心を動かそうなんてことも考えていませんし、書くのが好きだから書いているだけ。今でも十分に好きなことを好きなようにやっているわけです。
それ以上何を望む必要があるというのでしょう。禅語に「知足」という言葉があります。「足りるを知る」ですね。自分がいま置かれている状態はすべて足りているのだと考える教えです。足りていないと思うから欲しくなり、その欲が人間を狂わせてしまう。
もっとも同じ禅語に「百尺竿頭一歩を進む」という言葉もあり、成し遂げたと思っても、そこが到達点ではないといった教えもあって、考え方は色々だなと。とりあえず、私は百尺竿頭までも行くつもりもないので、現状を受け入れて穏やかに過ごすとしましょう。これまで通りということで。
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