幸せに対する欲求には限りがなく人が提供できる幸せには限界がある:日向坂46と紅白歌合戦

乃木坂46の音楽を聴きながらランニングすることが多いと何度か書いていますが、他の坂道グループの楽曲も同じように聞いています。面白いもので、それぞれに違いがあって櫻坂46なんかは走りやすい曲と走りにくい曲がはっきりと分かれます。

日向坂46の楽曲はあまり私のランニングテンポには適していません。好き嫌いではなく、走りづらい感じがあるのですが、簡単な作業をするときにはちょうど良かったりします。もちろんランニングに合う曲もいくつかあるのでプレイリストには入っています。

そんな日向坂46が紅白歌合戦に選ばれなかったことで、メンバーがファンにブログで謝罪したみたいなネット記事がありました。これはとても興味深い出来事です。私はこれを出来レースだと思っています。少し表現を和らげるとエンターテイメントでしょうか。

坂道グループがAKB48にとって変われたのは、そこに物語があったからです。自己主張できないタイプの女の子たちが、悩みもがきながらも成長していくストーリーがファンの心を掴むわけです。この物語を成立させるために必要なのが挫折です。

挫折してそこから這い上がるから物語になります。ところが日向坂46は改名をしてから大きな挫折をすることなく成功を重ねてきました。ただ目標としていた東京ドームでのライブを実現するまでのスピードがあまりにも早すぎて、これからどうするのだろうと思っていました。

それは物語を生み出す側、プロデュースする側の視点での感想なのですが、大きな挫折がないまま最大の目標を実現したアイドルを、プロデュースする人がこれからどう持っていくのか、とても興味深い話だと思いませんか?そして用意されたのが凋落というストーリーです。

もう一度跳ねるために必要だった挫折のひとつとして、あえて人気を落とす。そのひとつとして紅白歌合戦の落選があります。そしてそれは紅白歌合戦のブランド力を上げることにも繋がります。メンバーが「出れなくて悔しい」と言うことで、紅白歌合戦の価値が上がるわけです。

コロナ禍前くらいまでは、紅白歌合戦はオワコンというような風潮があり、「別に出たいとも思わない」とはっきりいうアーティストもいました。それによりブランド力が低下していたわけで、視聴率も低迷していました。それを改善する一手が人気グループの落選なわけです。

日向坂46の運営はグループの成長に必要な挫折を作り出すことができ、紅白歌合戦は価値を高められる。全部私の妄想でしかありませんが、世の中というのは目に見えるものの裏でさまざまな思惑が動いています。それを推測するというのはなかなか面白いことです。

ただ、ひなたさ日向坂46というグループは方向性に限界があります。「ファンにハッピーを届ける」グループなので、常にファンを喜ばせなくてはいけません。でも、人間は慣れてしまうもので、同じレベルのハッピーを提供し続けても、それに対して物足りなさを感じてしまいます。

ところが人間が提供できるハッピーには限界があります。一方は「もっとすごいものを」と際限なく望み、一方はそれに応えようとして疲弊していく。これはアイドルに限った話ではありません。ビジネスでも恋愛でも同じ。もちろん人生全般においても同じ。

それをどう打開するのか、何をしてはいけないのか、アイドルの裏側にある思惑を想像することで見えてくること、学べることがあります。そしてそれが自分の仕事にも活かされる。そんなことばかり考えているから、私の性格がどんどん捻くれていくのかもしれませんが。

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