映画『ふしぎな岬の物語 』を観てきま

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この秋は魅力的な映画が満載すぎて毎週観に行きたい気分だ。わたしは英語がわからないという理由で基本的には邦画しか観ないのだが、その邦画だけでもかなりの数が上映されている。観たい映画だけをあげても『まほろ駅前狂想曲』『小野寺の弟・小野寺の姉』『ぶどうのなみだ』『トワイライト ささらさや』『バンクーバーの朝日』。そして今回観たのが『ふしぎな岬の物語 』だ。残念ながら『るろうに剣心』も『ルパン三世』も興味がない。わたしは映画にエンターテイメント性をそれほど求めていない。

『ふしぎな岬の物語 』は森沢明夫さんの小説が原作になる。わたしはその小説をまだ読んでいないが素晴らしい小説だという話は聞いている。その反面、この映画の評価はそれほど高くない。高く評価をしているのは吉永小百合さん好きの人たちぐらいという感じだろうか。とはいえ映画や絵画というものは自分がどう感じたかが大事であって他人の評価など何の役にも立たない。この映画から自分自身が何を感じ、何を受け取ったのかだけ考えればいい。

実はわたしは吉永小百合さんの映画をこれまでに観たことがなかった。どういう演技をする人なのか知らずに『ふしぎな岬の物語 』を観たのだが、とにかく所作が美しい。動きに無駄が一切ない。共演していた竹内結子さんも好きな女優の1人だけれども、吉永小百合さんの所作を見ていると無駄な動きがすごく気になる。別に竹内結子さんがよくないとか、そういうことではなく、吉永小百合に日本人の美しさを強烈に感じたというだけのことだ。

物語についてはネタバレになってしまうので簡単にイントロダクションだけ紹介するとしよう。吉永小百合さん演じるヒロイン、悦子が営む田舎町の小さなカフェ。そこに集う人々の生き方やつながりが描かれている。ものすごく簡単に説明するとこんな感じだろうか。ちょっと不思議な出来事は起こるが、人によっては本当に退屈な映画だろう。どんでん返しもなければ盛り上がるシーンもほとんどない。

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それでもわたしがブログでこの映画を紹介しようと思ったのは、わたしの感じた「言葉の力」を知ってもらいたかったからだ。この映画の中でいくつかの力を持った言葉が出てくる。言葉は人を救い、言葉は世界を変えることができる。そういう思いがずっしり伝わってくる。わたしもこうやってブログを書き、言葉を使う人の端くれとして言葉の力を信じているのだが、もっと言葉をうまく使っていこうと感じさせられた。

「いたいのいたいのとんでけ」は誰もが使ったことのある言葉だと思う。子どもにしてみれば本当に痛みがどこかに飛んでいくことがある。これも言葉の力だ。わたしは小さい子どもに時々「手当て」を行う。痛いところ、調子が悪いところに手を当てる。手を当てながら「しげは魔法を使えるからすぐ良くなるよ」と言うと言葉は魔法となって本当にすぐ良くなる。これが大人にはなかなか効かないのはなぜだろうかと思うのだが、言葉を信じる人に言葉は力となるのは間違いない。

この映画の中で使われる「言葉の力」は吉永小百合さんの所作が加わることで魔法の言葉になっていく。わたしもそういう魔法の言葉を使える日が来るのだろうか。できることならばそういうことができるようになる歳の重ね方をしていきたい。わたしの言葉によって誰かが救われるなんて言うと傲慢な気もするが、そこを目指すのは傲慢ではないだろう。なりたい自分を気づかせてくれた『ふしぎな岬の物語 』はわたしにとって、まぎれもなく素敵な映画と呼べる映画のひとつとなった。

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