普段はあまりしないお金の話。宵越しのお金を持たないと言われる江戸っ子もびっくりなぐらいわたしはお金を持っていない。とにかく貯めない。もらったものはすべて使うという社会人としてあるまじき行為を平気にやってしまう愚か者だ。それはこれからも変わらないのだが、お金についてはいろいろと考えている。
お金のことを学ぶにはお金持ちに聞くのが一番いい。わたしの知り合いにもお金持ちはいるが、さすがに身近な人には恥ずかしくて聞くことが出来ない。そうなると、お金については本から学ぶしかない。ただ、ここで誰から学ぶのかということがとても大事になってくる。できるだけ自分の感性に近い人がいいんじゃないかとわたしは考えた。
10年ぐらい前は邱永漢さんの本をよく読んでいた。邱永漢さんはわたしにとって一番最初のお金の先生かもしれない。日本統治時代に台湾で生まれた邱永漢さんは、実業家であり、作家であり、経営コンサルタントでもある。彼の本はどれもおもしろく、学ぶことが多くある。こういう人が成功者になるのだと感じられる人物だ。
いまのわたしのお金の先生は松浦弥太郎さんだ。暮しの手帖の前編集長で、わたしがあえていまここで紹介するまでもない人物だろう。わたしは彼の書くエッセイが大好きなだ。わたしもこの歳になると尊敬できる人のすべてを受け入れるようなことはなくなってきたので、彼の考え方を全肯定はしないが、彼の語るお金の話は目からうろこだった。
彼のお金に対する考え方を出来る範囲で実践したところ、人生において初めてひと月の収支が明確なプラスになった。今までどうやって生きてきたのかは気にしないでほしい。もちろん手放す暮らしをしているから新しく買うものが少ないというのもある。それでも社会人15年目にしての初の快挙である。
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何をしたかについては松浦弥太郎さんの『松浦弥太郎の新しいお金術』を読んでもらいたい。わたしがここで伝えるよりも百倍わかりやすく説明してくれている。図書館なんかにも置いてあったりするが、松浦弥太郎さんの本は順番待ちがすごく、なかなか借りることが出来ないので要注意。
もっとも、これを読んだところで宵越しのお金を持たない生き方は変わらないだろう。大勢の人たちが見えない将来への不安のために際限のない貯蓄をしているあいだ、わたしは美味しいものを食べ、知らない土地を走る。徹底的にキリギリスでいるつもりだ。
そんなわたしは老後に泣くことになるのだろうか。それならばそれでかまわないといまは強がっておこう。これだけの貯蓄大国にひとりぐらい刹那的に生きているやつがいてもはたから見るぶんには面白いのではないだろうか。みんなができない経験をしてそれを伝えていく。それもわたしの役割のひとつだ。
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