第一回富士山頂プロレス王者決定戦・初代王者についたのは…

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もう二度と登ることはないだろうと思っていたのだが、気がつけば富士山五合目の富士宮口に立っていた。プロレスラーでクレイジーランナーの三州さんの富士山頂でのタイトルマッチ。これを見逃すわけにはいかない。

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午前5時にスタートするために、御殿場の温泉施設を午前2時に出発する。わたしは仮眠することができたが、一緒に登ったメンバーの多くが寝不足状態だっただろう。富士山に登るには最悪のコンディション。

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それぞれの体調に反して富士山そのものは最高のコンディションだ。出発時の五合目付近こそ雲中だったが、標高が上がるにつれて太陽もその存在感を増し、そしてこれでもかというほどの青空が広がる。

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わたしは裸足でのスタートとなった。この詳細はわたしが新しく立ちあげたランニングウェブマガジン「RUNNING STREET 365」にてレポートするとしよう。

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富士山に登るのは初めてというメンバーもいたのだが、順調に歩みを進める。この時点では悪夢のような下りになることは誰も予想はしていなかった。

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山頂到着は12時ちょうど。7時間かかったことになるのだが、このあと山頂でプロレスをすると考えると十分な高度順応が必要になる。ただの富士登山ではないのだから、計画性が重要になってくる。

P8090188頂に特設リンクを設営し、いざゴング……という状況でマッチョ・マイケルさんが高山病のため嘔吐。戦う前から苦しい展開だが、そこはさすがプロ。ゴングとともに富士山狭しと動き回る。

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信じられるだろうか。標高3776mでプロレスを行う5人の格闘家たち。普通の人であれば歩くだけでも息が切れるのに、彼らはプロレスをしているのだ。空気が薄くて頭が回らない状態でも体がプロレスを覚えている。

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第一回富士山頂プロレス王者決定戦の勝者は三州さんが勝ち取った。だが、それぞれのスタイルで魅せてくれた他の選手も本当に素晴らしい。心からプロレスが好きだという情熱がビシビシと伝わってきた。

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と、すべて順調だったのはここまでだ。わたしが剣ヶ峰に言っている間にプロレスラー3人が嘔吐し、三州さんを除くほぼ全員が高山病の状態になってしまった。当然だろう。楽しすぎて戦う側も見る側もはしゃぎすぎた。

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富士宮口まで順調に下れば2時間強なのだが、まともに歩くこともままならないメンバーもいる。高山病で頭が割れそうに痛いという人もいたが、とにかく降りるしかない。

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それぞれが自分の体をだましだまししながら降りてくる。ただ、こんなイベントに集まるメンバーはさすがに精神力が違う。言葉数は少なくなっていたが、眼光は鋭くなっていく。

全員が五合目にたどり着いたのは19時近くだっただろうか。

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その時点で高山病が抜けていないメンバーもいたが、大きな怪我なく下山できたことを喜ぶべきだろう。下山途中に大きく足を滑らせてあわや大惨事というシーンもあったことを考えれば上出来だろう。

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富士登山そのものは決して難しいものではない。それでも「初めて」だったり「プロレス」が加わるとあっという間に難しい登山になってしまう。もちろん「プロレス」は普通はやらない。

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それでも「やれば面白いはず」という思いだけで、まずはやってみようという姿勢が素晴らしい。やる前から「無理だろう」というのは賢い人たちに任せておけばいい。わたしたちは自分たちでやってみないと納得しない。

大事なのは結果ではない。挑戦し続ける気持ちと、人生を楽しもうという気持ちを持ち続けていたいという思いを忘れずにいたい。

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