人間の心理というのは面白いもので、フルマラソンの距離を果てしなく遠いと思えていたはずなのに、いつしか「フルマラソンくらいの距離なら」と言い始め、ついには「たった43kmしか走らなかった」と言います。
昨日のウルトラマラソン練習会は、前回の「いざかまくらん」の続きで、神奈川県の大和市から鎌倉まで走ります。グーグル先生いわく「最短距離で21.2kmね」。ウルトラマラソンの練習会になりません。
そこであれこれ寄り道も含めて、なんとか35kmくらいまでの距離を設定して、あとは成り行きで決めようかと。
この企画で大事なことは、朝から日没まで走るということです。そりゃあ長い距離を走ることも大事ですが、長い距離を無理に走ってもケガをします。それよりも9〜10時間動き続けることが大切とわたしは考えています。
あとは食事です。
こういう練習会をするときは、食事はコンビニなどでおにぎりやパスタを食べておしまいということが多いのですが、わたしの基本的な考え方は「食はすべての源」です。昼ごはんはゆっくり落ち着いて食べること。
そうすることで、食べても走れる内蔵を作ります。1日のレースなら無理してもいいのですが、長期間長い距離を走るという人間本来の能力を引き出すには、しっかり食べてしっかり走ることです。
最初は適量がわからずに食べすぎてしまうこともありますが、慣れてくれば「これくらいまでなら大丈夫」ということが感覚的にわかってきます。そういう感覚を身につけることも、このウルトラマラソン練習会の目的のひとつです。
さて「いざかまくらん」の続き。最初は鎌倉街道を走っていたのですが、交通量が多く走りにくいのもあって、一本路地に入ったら、どうやらそこが旧鎌倉街道らしく、新田義貞進軍の道との案内あり。
昔の鎌倉街道は馬がなんとかすれ違えるくらいの道幅しかなかったそうで、その道も車がなんとかすれ違えるくらいの細い路地。それでもちゃんと整備されていてちょっと驚きです。
その近くの道を何度も走っていたのに、そういう歴史街道の存在すら知らなかったという不覚。
日本にはこういう道がいくつも隠されているんでしょうね。松尾芭蕉が歩いた奥の細道や、参勤交代に使った江戸時代の五街道。それだけでなく、もっと小さな歴史ある道がいくつもあります。この国は思った以上に歴史があります。
世界的に見ても、有史以来歴史がきちんとつながっている国はそれほど多くありません。それを誇りに思う必要はありませんが、そういう歴史を持った国だということを意識することでちょっとしたことを深く楽しむことができます。
ちなみに、前回の「いざかまくらん」前に読み始めた吉川英治さんの私本太平記。長すぎてまだ鎌倉攻めどころか、後醍醐天皇が隠岐の島から脱出して、足利高氏が京都に進軍したところ。
こういうランをしなければ見向きもしなかった歴史を、こうやって楽しめている。これがわたしにとっての街道ランや旅ランをするモチベーションのひとつです。
途中から道を境川沿いのサイクルロードに移し、途中の飯田牧場で美味しジェラートを。このイベントに参加する人はみんな食いしん坊です。美味しものに目がない人ばかりですので、美味しいジェラートと聞いてスルーできる強い心は持ち合わせていません。
こういう買い食いをエイド代わりに活用するのが、この練習会の特徴でもあります。食いしん坊の嗅覚が集まっていますので、誰か1人が見逃しても、他のメンバーが気づいてエイドにチェックインします。
今回は飯田牧場以外にも江ノ島のアイスクリーム、鎌倉では力餅とたい焼き、そして参加メンバーがもってきてくれた塩をつけたアンパンを食べました。アンパンに岩塩を降るというのは前回のランで学んだ知識だとか。
大和駅から20km走って藤沢本町。ここで途中参加のメンバーをピックアップします。
ウルトラマラソンの練習会ですが、途中参加も途中離脱も当然ありです。1回目はフルマラソンの練習として30kmで離脱したメンバーもいました。それぞれの予定合わせて参加してもらえればそれでかまいません。
ただジェラートを食べることができなくて悔しがっていましたが。
合流をして藤沢本町にある白旗神社へ。白旗は源氏の証です。足利高氏が京都に進軍するときに、北条高時から白旗を渡されたのは何の因果か。歴史の教科書で学んだように、そのあと足利高氏は鎌倉幕府を裏切り、再び幕府を源氏のものとします。
白旗神社は、源義経が祀られている神社で、その近くには義経の首を洗ったと言われている源義経首洗井戸があります。藤沢本町には長く住んでいましたが、首洗井戸に行ったのは実はこれが始めてです。
白旗神社から江ノ島まで走って、そこでランチです。江ノ島ですからもちろんしらす丼です。最近は何もなくても江ノ島には人が溢れかえっていますので、有名店での食事は叶わず、小さなお店でしらす丼をいただきます。
小さなお店だからと侮ることなかれ。手を抜かずにきちんと作られたしらす丼とお味噌汁。美味しくいただくことができました。
そのあと腹ごなしに江ノ島を散策したのが今回の失敗。片道約3kmで往復で6km。1時間30分のロスです。
もう少しスムーズに進めると思ったのですが、観光地としての江ノ島を見誤っていました。ここでの時間がなければ、50km近くまで走れたような気がします。これも経験。次回からは食後の散策は30分くらいにしておきます。
江ノ島を出たのが15時前でしたので、そこから前回のゴール予定地だった稲村ヶ崎まで走り、そこからは、極楽寺、長谷へと向かって、銭洗弁財天から源氏山、化粧坂の切通しを通って鶴岡八幡宮へ。
途中に先に書いたように力餅とたい焼きを買い食いしながら、途中で気になる地下足袋屋さん「Shop TABI-JI」があり入店。わたしはsousouというメーカーの地下足袋を愛用していますが、このお店は奈良に本店があるのだとか。
かなり興味深い地下足袋が揃っていて、わたしが愛用しているFLOPEEZEのサンダルも置いてます。テンションが上りすぎて地下足袋を買いかけましたが、なんとか思いとどまりました。でも次に行ったら間違いなく買ってしまいます。
sousouにはない走れる地下足袋。いい出会いがありました。これも旅ランの魅力です。
最終目的地の清水湯にはちょうど日没時刻の18時くらいに到着しました。距離はそれぞれのGPS時計によって違いますが、おそらく45kmでなんとかフルマラソンの距離は超えて、ウルトラマラソン練習会の面目躍如?
そのときの言葉が冒頭の「たった45kmしか走らなかった」につながります。
距離はやっぱりもう少しは踏みたいところですが、今回はコース設定から難しかったので、42kmを超えただけでもよしとします。しかも銭湯で終われるという最高の終わり方。
終わりよければすべてよし……となりかけたのですが、ここからひと騒動。打ち上げをするために鎌倉のお店を回ると、どこに行っても満席。完全に打ち上げ難民です。もうチェーン店でいいやとなったときに、食いしん坊のひとりが鼻を聞かせて向かったのは湘南の名店アマルフィ。
いやいや、絶対開いてるわけないやんと思いきや、なぜか席が空いているというミラクル。
わたしたち、美味しいものに導かれています。というわけで、第3回の締めはアマルフィ。結果的にはやはり「終わりよければ……」でした。
次回も美味しいものを食べる旅ラン……じゃなくて、ウルトラマラソン練習会を楽しみます。次回開催は4月22日です。そろそろウルトラマラソンの練習をしたいなという人は、ぜひ参加してください。
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