両方の手のひらを上に向けて、自分が持つべき責任の重さを想像してみる。
少なくとも万里の長城マラソン日本事務局からエントリーをしてもらった人たちが、嫌な思いをしないようにしなくてはいけない。決して安くない参加費に見合っただけのいい思いをしてもらわなくてはいけない。
その思いはわたしにとって目に見えない重圧として、両方の手のひらにずっしりとのしかかります。頭ではやるべきことをやるだけと分かっていても、70人もの参加者全員を喜ばせるには明らかな力不足。
本当は1人1人としっかり向き合いたいのに、人数が増える分だけそれぞれとの関係が希薄になっていくことを感じます。
マラソン大会を大きくするのはそういうことだと分かっていても、わたしの気持ちは「仕方ないか」では済みません。参加者が100人になっても1人対1人×100人。これがわたしの理想です。
ところが現実は70人分の思いを支えきれないわたしの両手。
それを嘆いても意味がないことは重々承知。そのうえで自分ができることをしっかりやればいい。でも、それだけでいいとは思えない自分がいます。
とはいえ、今年の万里の長城マラソンは小さなトラブルはありながらも、これまでの開催での数々の失敗に対する対策がここにきてようやく花が開いたような気がします。
でもそれは決してわたしの力ではなく、代表の朱さんや、常連ランナーさんたちのサポート、そしてボランティアスタッフの力があってのこと。
万里の長城マラソンでは本当に驚くべきほどの人たちがわたしを助けてくれます。わたし自身では何も出来ませんが、陰でわたしを支えてくれる人がいるから、こんな拙い運営でもなんとやっていけます。
万里の長城という世界最高と言ってもいい舞台があり、世界で一番苦しいコースがここにあるのに、まだ70人の日本人しか集められていない自分。そして70人でもいっぱいいっぱいになっている自分。
これから100人200人と日本人参加者を増やしていきたいという想いがあります。ただ、今のわたしではまだまだ力不足です。中国語も英語もきちんと勉強をしなきゃいけませんし、人間的にももっと成長しなくてはいけません。
わたし1人では何も出来ませんが、それでも毎年のように北京に集まってくれる人たちがいて、それぞれが大会を楽しみ、盛り上げてくれます。こんな苦しいマラソンはないと笑顔で言ってくれる人たちがいます。
その環がゆっくりと広がっていき、万里の長城マラソンという大会を多くの人に知ってもらえるという、いい循環ができつつあります。
今年は例年以上に「また走りたい」「来年こそは」の声を聞かせてもらいました。
その声にきちんと応えられるように。来年も参加してくれた人たちが、去年よりもさらに良くなったと言ってもらえるように、しっかりと気持ちを入れて1年間の準備を開始します。
来年に向けてやることは山積み。一つひとつをきちんと積み重ねて、自分自身も万里の長城マラソンも成長させていきます。
来年の目標は100人の日本人ランナーに参加してもらうこと。そして100人のランナーときちんと向き合っていくこと。他のマラソン大会にはない万里の長城マラソンならではの魅力を伝えていこうと思います。
そのための第一歩は北京の旅を楽しむための本作り。今日から3日間、しっかり取材をして北京の魅力を伝えられるように街を歩き回ってきます。
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