言うまでもないですが、わたしは裸足ランナーです。ランニングシューズをこよなく愛する裸足ランナーなので、裸足ランニングの業界では異端児であることは自覚しています。
シューズのレビューもしているので、10足以上のランニングシューズも持っていますが、裸足で走っている距離に関しては他の裸足ランナーと比べてもそれほど劣らないとは思っています。月間走行距離は知りませんが。
裸足ランニングの何がいいのかと聞かれたら、ほとんどの裸足ランナーはフォアフットになってケガをしなくなったと答えるでしょう。それを全面的に否定するつもりはありませんが、安直だなとは感じています。
個人的には裸足になったことで、練習強度も走行距離も落ちたからケガが減ったというのが最大の理由だと思っています。裸足でもシューズのときと同じ質と量の練習をすればケガをします。
でもなぜかフォアフット神話のようなものがいつしか出来上がり、ランナーはフォアフットで走るべきというのが常識になりつつあります。
そういうのはブームみたいなものなので、別にフォアフットが主流になってもいいのですが、問題はフォアフットという名前にとらわれて、つま先走りをしているランナーが大勢いるということです。
完全にかかとを上げて、忍び足のような走り方をしている人もいます。シューズランナーもそうですが、裸足ランナーでもそういう人が少なからずいます。
そういう人に聞いてみたいのですが「大変じゃないですか?」
わたしは、基本的にフラット気味に着地します。どこが先に着くかといえば前足部ですが、ワンテンポ早いだけで、踵も指先もしっかりと地面をとらえるようにして走ります。
なぜか?
かかとを上げた状態で42kmも走れないからです。サブ3できるなら話は別ですが、わたしは裸足でフルマラソンを走るときはできるだけ長い時間をかけて走るようにしています。5時間台での完走が理想。
かかとを上げて5時間は絶対に無理です。また、わたしは24時間マラソンも裸足で走っていますが、言うまでもなく踵はしっかりと接地させます。他の人が見たら、ほぼフラットでの着地に見えるはずです。
繰り返しますが、スピードに乗ったときに踵がつかないというのはありです。目安としてはキロ4分くらいでしょうか。これよりもスピードを出す場合には、前足部で地面を押すようにして走る必要があり、踵をつけている余裕がなくなります。
でも裸足ランニングを始めたばかりという人や、サブ4くらいのペースで走るのなら、ペタペタ足裏をつけて走っても何の問題もありませんし、むしろそのほうがケガのリスクを減らすことはできます。
ランニング中のケガは、どんなケガであれ基本的には過負荷によって起こります。どこかに無理な力がかかり、それに耐えられなくなった部分が故障します。
だったら過負荷にならないようにすればいいのであって、着地なんてどこからしてもいいはずです。そして過負荷にならないようにするには、足裏全体で体重を受けるのが1番です。何のために人間に踵があるのかよく考えてください。
「でもトップランナーはみんなフォアフットで…」いや、トップランナーは命を削って走っていますから。彼らはみんなリミッターが解除された状態で命がけで走っています。70歳80歳まで走ろうなんて思っていませんから。
しかもトップランナーもリカバリー走やロング走ではほぼフラット気味に着地します。それはナイキのズーム ペガサス 35やズーム ペガサス ターボの設計上の着地ポイントから見ても明らかです。
この2つのシューズはいずれも、土踏まずのやや後ろ側が接地ポイントになるように設計されています。そしてそのシューズを履いて、ナイキ所属のトップランナーはリカバリーやロング走をしているという現実。
フォアフットがつま先走りではないということに関しては2年前にRUNNING STREET 365の記事でも書いていますが、市民ランナーのランニングはフラットにして足裏全体で体重を支えるので十分です。
フォアフットになるのはスピード走をするときとレース中だけ。それでもつま先走りではなく、やや踵が浮いている位の感覚で、がっつり踵を浮かすなんてことはありません。
本人がそれでいいと思っているなら別に細かいことは言いませんが、もう少し自分で考えるという習慣はつけたほうがいいかなとは思います。誰かが言っていたことを真に受けるのではなく、自分なりに噛み砕いて納得してから実行する。
そうすれば踵を上げて走るようなことにはならないと思うのですが。
自分ではよく分からないという人も、月1回開催しているわたしの裸足練習会や東京坂道ラン、ランレコード練習会に来ていただければアドバイスしますので、おかしな走り方が身につく前にぜひ声をかけてもらえればと思います。
著者:田中 宏暁
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