
ランナーにとって相棒ともいえるランニングシューズ。
おまえは裸足だろ?と言われそうですが、トレーニングの半分はランニングシューズを履いていますし、ランニングシューズをこよなく愛しています。そして、裸足で走っているからこそ、ランニングシューズの個性を感じ取れるようになりました。
とはいえわたしはこれまでに、あまりランニングシューズの選び方については説明してきませんでした。わたしが感じたことを、うまく共有することができないような気がして。
自分で言うのもなんですが、わたしはシューズの違いについて、かなり繊細に感じとることができますし、履いて走ればランニングシューズの設計意図を感じ取ることもできます。わたしにとって、それは特別なことではありませんが、おそらくほとんどの人が、この時点で「こいつは何を言っているのだ」となってるはずです。
それでも、やはりランニングシューズをもっと分かってもらいたい。ランニングシューズを理解した上で選んでほしいという思いがあり、ここではハダシスト流のランニングシューズの選び方について解説していきます。
ランニングシューズの選び方で大事な4つのポイント

ランニングシューズを選ぶにあたって、わたしが大事にしているのは4つあります。
- 足に合うこと
- 軽いこと
- シューズがエネルギーを持っていること
- 見た目が好みであること
これだけで納得してくれる人はいないと思うので、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
足に合うこと
いうまでもありませんが、シューズは足に合っていなくてはいけません。フィット感の悪いシューズは反応速度が遅れるので、物理的なデメリットがあります。それだけではなく、フィット感の悪いシューズは靴擦れや指の圧迫を起こします。
そうならないためには、まずシューズはきちんと試し履きすることが大事です。ランニングシューズの選び方を紹介しているサイトの中には、きちんとサイズを測って選ぶとしている人もいますが、これはあまり意味はありません。
例えば26cmのシューズが2種類あったとします。Aというシューズは親指の部分が最も長くなっていて、Bというシューズは人差し指の部分が最も長くなっているなど、使う木型によってどこが26cmになっているかに違いがあります。
わたしは親指が長い足型をしているので、シューズAはちょうどいいサイズに感じても、同じ26cmのシューズBは親指が圧迫されて、窮屈に感じてしまいます。あくまでもサイズは目安でしかなく、実際に履いて違和感のないものを選ばなくてはいけません。
とはいえ履いてみて「きついな」と感じたらワンサイズ上を選べばいいだけですし、「ゆるいな」と感じたらワンサイズ下げるだけのこと。
アッパー全体は足を包み込むようになっていて、自分の指が圧迫されすぎないようになっていることが選び方のポイントです。幅方向に多少圧迫されている分には気にしません。足はある程度拘束されている方が力を発揮できます。たた指先が圧迫されているのはNGです。
履きたいシューズと自分に合うシューズが、必ずしも一致するわけではありません。いくら履きたいシューズがあっても自分の足にフィットしないなら、そのシューズは諦めてください。
軽いこと
これに対して反論する人がたくさんいると思いますが、わたしはランニングシューズは軽くあるべきだと思っています。それはランニングシューズの選び方において唯一重視しなくてはいけ
それは初心者でも上級者でも同じことで、ランニングシューズの重さはマイナス要素でしかありません。
軽いほうがいいというと、クッション性のないシューズでは足が最後までもたないと言われますが、フルマラソンなんて裸足でも走れます。それはわたしだから特別ということはありません。
人間の体がそういうふうに出来ています。ただ、みんなその使い方を知らないだけで、そんな状態でクッション性の高いランニングシューズを履くので、着地が適当になりますし、走りそのものが雑になっています。
- 軽くてソールの薄いシューズだと足が痛くなる
- 足を守るためにクッション性の高いシューズを選ぶ
- 完走できたけど、やっぱりクッション性がないと不安
- 次もシューズに守ってもらおう
徐々に軽くて薄いシューズに切り替えていくなら、クッション性の高い重たいシューズから始めてもかまいませんが、ほとんどの人は過保護な状態から抜け出せなくなります。ちゃんと走れるようになりたければ、最初から軽くて薄いシューズを選んでください。
- 軽くてソールの薄いシューズだと足が痛くなる
- 痛くならない距離で走るのをやめる
- 徐々に距離を伸ばしていく
- 2〜3年後にフルマラソンを走れるようになる
これがわたしの描く理想の成長過程です。
マラソンは積み重ねのスポーツです。薄いソールのシューズでトレーニングを積み重ねて、徐々に走れる距離を増やしていく。そしてフルマラソンの距離を走れるようになったら、そこから本格的なシューズ選びが始まります。
まず足づくりありきです。ヴェイパーを履くのもBOOSTを履くにしても、まずは足づくりから。最初から足を守るためのシューズを選ぶのは邪道です。それではいつまで経っても成長は期待できません。
ちなみに軽いといっても、100gのシューズがいいというわけではなく、200g程度であればOKです。厳密に測る必要はありません。手で持って「軽い」と感じたらそれで十分です。
シューズがエネルギーを持っていること
これは伝わる人とそうでない人がいます。感覚の違いというか、センスの違いみたいなものですので、理解できない人は気にしなくてもかまいません。
サイズを合わせるのに試し履きは必要ですが、試し履きをしてもわかるのは、静止時のフィット感だけです。ランニングは動きながら行います。止っているときのフィット感がわかっても、自分の走りにプラスになるかどうか判断できません。
では、試し履きはフィット感だけを確認すればいいのかというと、そうではありません。ランニングシューズにはそれぞれが持つエネルギーというのがあります。信じるかどうかは自由ですが、作り手が魂を込めて作ったシューズはエネルギーに満ちています。
M.Lab(ミムラボ)のシューズがトップアスリートに重宝されるのは、自分の足に最適化されているというのもありますが、それだけでなくシューズに魂が込められているから、それがいい走りにつながります。
アディダスのジャパンブースト4は、よりよいシューズを作りたいという気持ちがこもっているので、足を入れた瞬間に戦闘モードになります。ヴェイパーも初期の頃には、開発者の執念がこめられていたので、扱いづらさを感じるほどパワフルでした。
このエネルギーを感じられるかどうか。これがお店でシューズを選ぶときの最大のポイントになります。とはいえ、エネルギーを感じられないという人にはなんのことだかわからないと思います。
ヒントになるかどうかはわかりませんが、エネルギーを持ったシューズは走り出したい気分にさせてくれます。履いた瞬間に「走れ」と訴えかけてきます。ときどき「お前のポテンシャルを引き出してやるよ」と上から目線で語りかけてくるシューズもあります。
そういう意思を持ったシューズは間違いなく、心地いい走りを与えてくれます。
ちなみにアディダスのジャパンブースト4は、モデルチェンジ前なのかAmazonでも楽天でもかなりの割引価格で売られていますので、気になる人は下記リンク先をチェックしておきましょう。
見た目が好みであること
シューズの色やデザインなんて、走りには関係ないないと思っている人もいますよね。でもシューズ選びにおいて、自分の好みの色やデザインであることはかなり重要です。
自分の好きなものを身にまとっているという感覚は、心理的にもかなりプラスの作用をもたらします。
購入予定のシューズの赤色が欲しかったのに、青色しか在庫がないということがあります。そういうときに、わたしは妥協して青色を買うことはしません。赤と青の両方があって青色だけ半額だったとしても、赤色を選びます。
神は細部にやどります。シューズ選びで自分の感覚に合わないものを選ぶようでは、走りに神が宿ることはありません。色やデザインを妥協して選ぶランナーは、トレーニングも走りもどこかで妥協してしまいます。
完璧になる必要はありませんが、完璧を追い求める姿勢は大事です。
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自分を成長させてくれるランニングシューズを選ぶ

正直なところどんなシューズを履いても、そのシューズの設計意図を読み取り、ポテンシャルを引き出しさえすれば、どんなシューズでもそこそこ走れます。でもランニングシューズは、自分のポテンシャルを引き出すアイテムであるべきです。
だからエネルギーのあるシューズや、色やデザインの気に入ったシューズであることを選び方の基準として挙げました。走るだけならシューズは何でもいいのですが、いい走りをするとなると何でもいいわけではありません。
1kmを走るのに適したシューズと200kmを走るのに適したシューズは違いますし、同じ距離でも追い込むのとリカバリーをするのとでは適したシューズは違います。でも、基本はやはり「軽いこと」です。
片足280gくらいあるシューズを、初心者用としてラインナップしているメーカーもありますが、あのランニングシューズの存在意義がわたしにはわかりません。
手に入れたいのがフルマラソン完走という実績なら、シューズに守ってもらうのもいいかもしれません。でもマラソンにおける本質として大事なのは、自分の成長にあるはずです。だからランニングシューズは、自分を成長させてくれる1足を選ぶべきです。
そういう観点で選ぶと、これまで一般的に言われてきた「シューズの選び方」の概念が180度かわってきます。
そろそろ足を守るという考え方を捨ててみませんか?人間の足は思った以上にがんばれます。過保護にしていたら、いつまで経っても弱々しい足のままです。自分を信じて、軽くて薄いシューズを履いてみてください。