ピラティスを10年以上習っています。最初からずっと同じ先生に教わっているのですが、先日のレッスンで「来月で40歳になる」と先生に言われたのが、2019年最大の驚きでした。出会ったのが20代だったのでそのときのイメージのままだったので。
それはいいとしましょう。
前回のピラティスレッスンで、右肩が前に出過ぎているという指摘を受けたという話をTwitterに投稿しました。
昨日のピラティスで右肩が前に入りすぎていると指摘されたので、軽く右肩を後ろ側に巻いてみたら、走りの左右バランスが笑えるほど整った。
ランニングフォームはこだわらなくてもいいけど、生活習慣で身についた悪いクセは直したほうがいいという例。ただし、体は作り直しになるけど。— しげ@ハダシスト (@tshige07) December 1, 2019
それを意識して、体のアライメントを取りながら走ったら、自分の走りで気になっていた部分がいきなり解決してしまいました。何が起きたのか、そしてそれが何を意味しているのかについて、お話ししていきます。
右側の肩甲骨を内側に巻き込んだことで着地の左右バランスが整った
自分ではまっすぐに立っているつもりでも、まっすぐになっていない。ピラティスの動きをするときに、ときどき指摘されて直されます。むしろ、10年もやっていると、グループレッスンではそれくらいしか指摘されません。
ただ、その姿勢の問題はずっと左右で足の長さが違うから仕方がないと考えていました。でも、先日指摘をされたときには「毎日パソコン作業をしてるから、肩が前に入る」と言われて、ハッとしました。骨格の問題ではなく、生活習慣で身についたものかもしれないとという可能性。
だとしたら、これを直すことで走りにプラスになるのでは?と考えたわけです。
思いたったらすぐに試したくなります。翌日にはだの丹沢水無川マラソンの会場に行くのに10キロのランニング(自主取材です)。ほんの少しだけ右側の肩甲骨を内側に巻き込んでみました。引くのではなく「巻く」です。1〜2cmくらいなので、どちらでも構わなそうですが。
すると、これまで不自由さを感じていた左足が自由になりました。反対に右足が固定されてしっかりと地面を掴めるように。肩の位置を微調整すると、経験したことのないレベルでの左右バランスになり、走りがスムーズになりました。
正しい体の使い方になればランニングフォームが自然と変わる
簡単な話が、これまでは右肩が前に出ていたから、右足が左足よりも前側にあったのですが、右側の肩甲骨を内側に巻き込んだことで左右が同じ位置になり、これまで左右がバラバラだった足のバランスが整ったのです。
これまでは左足を軸にして右足で漕いでいるような感じがあり、何も考えないと、体がどんどん左に流れていましたが、それがきれいに消えました。そして左足でも漕げるようになり、走りが一気に軽くなっています。
これはランニングフォームを変えたのではなく、正しい体の使い方にしたら自然とランニングフォームが変わっただけのことです。同じことだろうと思うかもしれませんが、フォームを変えるのと、フォームが変わるは似て非なるものです。
以前の記事でも書きましたが、わたしはランニングフォームは変える必要はないと考えています。自然と変わるのであればいいけど、強引にいじるのは違うと思っています。
ただ、今回の話で大事なのはそこではなく、わたしたちは知らず知らずのうちに、生活習慣によって悪いクセが付いているということで、そして可能な限り悪いクセは直したほうがいいということです。
例えば猫背やストレートネックなどは、人間の本来持つ体の状態ではなく、悪い方向に適応してしまった結果です。これらを改善することで、間違いなく走りが良くなります。走れる前にきれいに歩ける体であるべきで、歩ける前にきれいに立てる体であるべきで、きれいに立つには人間本来の姿を取り戻さなくてはいけません。
[adchord]
取り戻すのにも長い時間がかかる
わたしの場合は、右側の肩甲骨を内側に巻き込むことで、左右バランスがきれいに整いました。これからガンガン走っていける。ドラマならそんな感じのハッピーエンドになりますが、現実はここからがスタート地点になります。
走り方が変わったわけですから、筋肉の使い方が変わります。これまで長い年月をかけて、改善前の走り方を作り上げてきました。それは筋肉をつける作業でもあります。
右側の肩甲骨を内側に巻き込むほうが正しい姿勢だったとしても、そのフォームで走る体はできていません。圧倒的に筋力が不足しているわけで、実際に取材も合わせて26キロ走ったくらいで、その日のうちに全身がバキバキになってしまいました。上半身のあちこちが悲鳴を上げています。
ペースが遅かったので足には影響が出ていませんが、これでペース走やインターバルをしたらどうなるのかわかったものではありません。そもそも、生活での悪い姿勢を改善しなくては意味がありません。
走りながら改善するという方法もありますが、このようになってしまった原因を取り除かないと、体は元には戻りません。ランニングフォームは走っていない時間をどう過ごしてるかということに影響を受けます。だから、本当に直さなくてはいけないのはフォームではなく、日常生活での所作。
10年かけて身についたクセを取り除くには、かなりの長い時間がかかります。目先のタイムは落ちる可能性がありますが、わたしの場合はやらないという選択肢はありません。
改善することが必ずしもベストとは限らない
わたしは今回、このタイミングで体の問題に気づき、ひとつの悩みを抱えることになりました。もし、右側の肩甲骨を内側に巻き込むフォームを選ぶなら、愛媛マラソンは大失敗する可能性があります。
正しい動きになることが、体にとって必ずしも良いこととは限りません。
あと2ヶ月ちょっとで、新しいフォームが身につくほどマラソンは甘いものではありません。もし、強引に切り替えたら、必ずどこかに負担がかかって破綻します。シンプルにケガのリスクが高まります。
これは多くのランナーがハマりやすいミスなので気をつけてください。ランニングフォームチェックなどを受けたときに「こうしたほうがいいですよ」と言われて、変えてみたら走りやすくなったとしても、それは短い距離だからいいだけで、42kmになると話は変わってきます。
正しい動きにすればケガをしなくなる。ランニングに関する様々なメディアでそう語られています。確かに長い目で見ればそうなりますが、移行は緩やかにしないと体がついていきません。
マラソン初心者のように、走る距離を短くしたり、スピードを抑えたりして過負荷にならないように慎重にトレーニングを積み重ねていくこと(半分は自分に言い聞かせています)。そうしないと、必ず体のどこかに不具合が発生します。
わたしは欲張りなので、フォームを変えながらも愛媛マラソンでのサブ3達成を狙いますが、そのリスクをわかった上での選択です。でも、時間に余裕がある人が走り方や生活習慣を改善するときには、2〜3年計画で行ってください。
すぐに結果を求めるのが現代人のよくないところです。体はIT化されていないのですから、アナログにゆっくり変えていくしかありません。