万里の長城マラソン事務局という立場からみたUTMF/STYの理想と現実

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STYのゴールから1日経ってもまだ興奮が冷めやらない。自分が走ったわけでもないのに、思い出しただけでも胸の鼓動が早くなる。これほどまでに気持ちを高ぶらせるUTMFとはいったい何なのだろう。行く前に抱いていたイメージをはるかに上回る壮大なトレイルランであり、旅である。ただ、興奮ばかりもしていられない。万里の長城マラソンの事務局という立場からすると、UTMFやSTYは大きな目標でもある。同じ世界遺産を走る大会でありながら、日本での注目度は雲泥の差だ。わたしはこの差を埋めていかなければいけない。

UTMFやSTYと比較して万里の長城マラソンのコースの厳しさはそれほど変わらない。実際に両方を走った友人はSTYのコースはこれまででもっとも厳しいコースだけど、その次は万里の長城マラソンだと言ってくれた。彼女が走った時よりも倍近く時間がかかるコースになったので、厳しさは負けていない自信はある。それは挑みがいのあるコースということになる。万里の長城マラソンは難コースであることをもっともっと伝えていきたい。

しかし、難コースを強調し過ぎるとその反面普通の人が走りにくくなるという問題もある。どちらもを手にすることはできない。幸い、万里の長城マラソンにはハーフマラソンも10キロも5キロもある。これをどううまく表現できるかは事務局次第だろう。

実際のところUTMFの魅力はどこにあるのだろう。UTMFにしてもSTYにしてもトレイルランのコースとしては厳しいけれども、トレイルランを普段から楽しんでいる人には制限時間も余裕があり、ほかのトレイルランに比べて難易度が高いわけではないように思える。もちろんコースが難コースではあるのだけれども。

UTMFやSTYの魅力はスタートラインに立つことの難しさにあるのではないかと思う。どちらも事前にほかのトレイルランの大会に出場し完走していなければいけない。最近のトレラン人気で人気の大会はなかなか取れないということも聞いている。例えばいまからわたしが来年のSTYに出場しようと思うとかなり難しくなる。9月までに指定の大会に出なければいけない
のだけれども、すでに募集は終わっていたりする。

そのうえ、エントリー後は抽選になる。出場までのハードルは東京マラソン級かもしれない。UTMFやSTYはそのプレミア感が最大の人気の秘密ではないだろうか。

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そのUTMF/STYもあらゆることが完璧な大会というわけではない。おそらくサポーターついては大会の運営にかかわる問題になるだろう。人気が高すぎるためか、サポートするということもひとつのイベントになっている。素晴らしいことだとは思うけど、実際はインフラが整っていない。

西富士中学校や本栖のエイドでは多くの人が車を停めることが出来ず路駐することになった。本栖はともかく西富士中学校付近での路駐は非常に危険であり、地元の人に迷惑になる。でもサポートなので停めないわけにもいかない。今後はシャトルバスを利用してでも駐車場の確保が求められる。

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エイドステーションでの混乱も問題があるかもしれない。ランナー1人につきサポートは1人ということになっている。実際にほとんどの人がそうしているが、そもそも誰がサポーターなのかがわからない。だからサポーターのみ入れるエリアでも誰もが入れるようになっている。その結果、エイドステーションが混雑し、混乱する。

トレイルの大会はロードのマラソン大会に比べて、参加者のモラルに頼る部分が大きいような気がする。それがトレイルの文化かもしれない。なんでもかんでも規則でしばるのではなく、こうあるるべきを提示してそこを目指させる。モラルなき勝者よりもモラルある敗者であるべきなのがトレイルランの精神。勝つことが目的ではなく、自分と向き合うのがトレイルの目的。だからあえて細かいことは何も言わない。それがUTMFの理想とするところのように感じている。

でも現実はこれだけの人気の大会になると細かいルールが必要になってくるのかもしれない。ルールを守れないランナーやサポーターが失格になる。このまま大会が進むとそういうことも現実的にありえるかもしれない。UTMFの精神が根付く前に人気が出過ぎてしまった弊害が間違いなくある。そこをどう改善していくのか万里の長城マラソン事務局の立場からするととても興味がある。

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そして万里の長城マラソンも参加者が急激に増えている。万里の長城マラソンがどうあるべきなのかをしっかり考えなきゃいけない。それが2014年大会以降の課題かもしれない。まずは5月1日に開催される大会に参加してくれる人たちにひとつの繋がりを持ってもらえるようにしたいと思う。今回わたしがサポートした友人とは万里の長城マラソンで知り合った。ほかにも毎年、深い付き合いになった出会いがある。そういう繋がりが増えていくことが万里の長城マラソンの楽しみになってほしい。

そしていつか万里の長城マラソンがUTMFと並ぶ大会になるために何が出来るかを考え続けようと思う。先駆者から学ぶことは多い。

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