帰宅ランのすすめ【何があっても自宅まで自力で帰るために】

自然災害というのは、いつだって思わぬときにやってきます。阪神淡路大震災、新潟県中越大震災、東日本大震災などの震災だけでなく、近年は水害も増えていますし、台風などによって居住地域が陸の孤島になることも珍しくありません。

そういうときにランナーというのは、自分の足で移動できます。東日本大震災のときに、走って職場から自宅まで帰ったというランナーさんも多いのではないでしょうか。こういうときに自分の足を頼れるというのは、ランナーの強みでもあります。

でも、すべてのランナーが自宅まで走れるわけではなく、それ以前に自宅までの道がわからないという人もいると思うので、ここでは帰宅ランのコツや気をつけるべきポイントについてお話していきます。

目次

まずはGoogle Mapで自宅までの距離を測る

災害時にぶっつけ本番で自宅まで走って帰るというのは、ややリスクがあります。途中でスマホの電池が切れて、自分の現在地がわからなくなったなんてことも考えられますので、できることなら普段から、ときどき帰宅ランすることをおすすめします。

その前段階として、まずは職場から自宅までどれくらいの距離があるのかを、Google Mapで調べておきましょう。

どれくらいの距離なら「走って帰る」と判断していいのかは走力によって違いますが、20〜30km程度がいいところかなとは思います。それ以上の距離を走ると5〜6時間くらいかかりますので、家で待っている家族も心配します。

停電になっている場合などは、飲み物や食べ物も購入できない可能性がありますので、無補給で走ることにもなります。そう考えると、20〜30kmがいいところではないかと思います。もちろん、ウルトラランナーなどは40〜50kmでも問題なく走れるかもしれませんが。

いずれにしても、職場から自宅までの距離とおおよそのルートを調べておくのはとても大事なことです。たった1回のことですので、今すぐにでも確認しておきましょう。

普段の通勤着で金曜日の夜に試してみる

単純に帰宅ランをするだけなら、できるだけ走りやすい格好にして、荷物もコンパクトにする。さらにはランニングシューズを持っていくというのがベストですが、災害を想定した帰宅ランをするのであれば、まずは普段の通勤着で走って帰ってみましょう。

スーツに革靴という人は、かなり厳しくなると思いますが、現状を知ることから始めなくてはいけません。「革靴は無理」「スーツはつらい」とわかったら、通勤の服装を見直すか、職場にランニングウェアを置いておくなどの準備ができます。

こういうことは、頭で理解するのではなく、体で知ることが重要です。自分できつさを体感して、その経験をもとに改善方法を考えるというのが理想です。だから、まずは普段の通勤着で走って帰りましょう。

実行するのは金曜日の夜。走る距離にもよりますが、他の曜日だと次の日の仕事に影響がでる可能性があります。金曜日の夜に走って、「あれを買ったほうがいい」という気付きがあれば、土日ですぐに買いに行くこともできます。

ただ、道が不安だというのであれば、土日の明るい時間に1度走っておいたほうがいいかもしれません。

帰宅ランに必要なアイテム

帰宅ランをする場合に、持っておきたいアイテムがいくつかあります。なくてもなんとかなりますが、防災グッズとしても役立ちますので、できるだけ普段から持ち歩いておきましょう。

  • 懐中電灯
  • モバイルバッテリー
  • 手袋・軍手
  • エナジージェル
  • 簡易救急セット

これくらいは普段から持ち歩いておくことをおすすめします。それぞれのアイテムについて、少し詳しく解説していきます。

懐中電灯

帰宅ランのルートに必ず街灯があるとは限りませんし、歩道のない道を走らなくてはいけないこともあります。足元を照らすのと、自分の存在をアピールするために懐中電灯を持っておきましょう。コンパクトなものでかまいません。

スマホのライトで十分だと思うかもしれませんが、スマホはバッテリーが切れると何の役にも立ちません。いざというときのために、できるだけスマホには頼らないようにしてください。

モバイルバッテリー

スマホは最も重要なライフラインです。最近は大容量で1日くらい充電なしで使えるスマホも増えてきましたが、思わぬところでバッテリー切れをすると困るので、スマホを1回充電できるくらいのモバイルバッテリーを持っておきましょう。

モバイルバッテリーは普段から役立つアイテムですので、すでに持っているという人もいるかと思います。その場合は追加で購入する必要はありません。ただし、きちんと充電はしておきましょう。

手袋・軍手

冬は言うまでもなく防寒に使えますが、冬以外でも手袋や軍手を持っておくと、帰宅ランをするときに何かと役に立ちます。道の途中で困っている人を助けるときなどに、手袋があったほうがいいというケースも少なくありません。

それほどかさばるものではないかと思いますので、通勤用のバッグの中に1セットだけでも忍ばしておきましょう。

エナジージェル

帰宅ランの距離が10km程度なら必要ありませんが、2時間以上走ることになるなら、エネルギー補給が必要です。災害時にはお店が閉まっていることも想定して、エナジージェルを持っておきましょう。効率よくエネルギー補給できますので、2〜3個くらい持っておくと安心です。

レース毎に新しものを購入して、それと入れ替えれば賞味期限切れの心配もありません。

簡易救急セット

人によってランニングシューズ以外で走ることになるので、靴擦れを起こす可能性があります。地震の場合は余震でケガをすることも考えられます。そういうときの対処をするために、簡易的なものでいいので救急セットを持っておきましょう。

もちろん自分だけでなく、帰宅ランの途中でケガをしている人の救助にも役立ちます。日常生活でも何かあったときに助かりますので、簡易救急セットの1つくらいは常備しておきましょう。

はじめて帰宅ランをするときの注意点

短い距離の帰宅ランなら、普段のランニングとそれほど変わらない感覚で走れますが、はじめて帰宅ランをするときには、いくつかの注意点があります。

  • 距離に不安があれば分割でもOK
  • 無理して走りきろうとしない
  • エスケープ方法を考えておく

帰宅ランをするようなランナーの方は真面目な人が多く「最後までやりきらなきゃ」という感覚になりがちです。でも、いずれ職場から自宅まで走れるようになるにしても、最初から走りきらないといけないわけではありません。

これはマラソン大会ではないので、自分のペースでできるようになればOKです。なので、最初は2〜4回に分割して走るのもおすすめです。徐々に分割数を減らして、1年くらいかけて1回で帰れるようになれば問題ありません。

その際も「走りきらなきゃ」と真面目に取り組まなくてもかまいません。調子が悪い場合は、途中で電車に乗り込んでもよくて、その経験を次に活かすことが大事です。無理して走って、足に故障をかかえたのでは意味がありません。

ですので、途中でリタイアできるようにエスケープ方法を確認しておきましょう。線路沿いを走るのがベストですが、安心していたら終電の時間を過ぎてしまったということもあります。終電が何時になるか調べておき、慣れるまでは終電前に切り上げましょう。

まとめ

関東はそれほど遠くない未来に、関東大震災クラスの地震が発生すると言われ続けていますが、時間が経過するごとにリスクは高まっているにも関わらず、わたしたちの防災への意識は下がりつつあります。このままだと、また東日本大震災と同じことを繰り返す可能性があります。

なので、まずはランナーにできることとして、自分の足で職場から自宅まで走って帰れるようになりませんか?きっとそれはフルマラソンやウルトラマラソンを完走するよりも大事なことです。むしろ、自分の足でどこでも行けるようになるのが、ランナーの最終目標だとわたしは思っています。

職場から自宅までの距離は人それぞれ違いますし、走力にも違いがあるので全ての人にアドバイスするのは難しいのですが、共通するのは「とにかく走ってみて」ということです。すべてはそこからですので、都合のいい金曜日の夜に帰宅ランに挑戦してみましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次